問題振り返り㉒.決勝「10○4×」

 準決勝の振り返りの続きをやろうかと思っていたのですが、そろそろこの振り返りシリーズも終わりに向かっていかないといけない気がし始めてきました。準決勝の問題はあと1問だけ振り返って、そのまま決勝の方に進んでいきたいと思います。

 こちらは準決勝早押しボードの31問目。
 No.256「中国の文学者・林語堂(りん・ごどう)の「人生の黄金時代は老いていく将来にあり、過ぎ去った若年無知の時代にあるにあらず」という言葉が巻末に付されている歌野/晶午の長編小説は何でしょう?」
 A.『葉桜の季節に君を想うということ』
 特別に変哲の無い問題なのですが、今回の準決勝で唯一、全員正解した問題でした。作品の内容には触れていない問題ながらきちん正解してくださるということは、さすがの有名作だと改めて思いました。

 ということで決勝戦の早押し問題に進んでいきます。

 No.267「使用された小説はのちに小学館文庫にまとめられた、ケータイ小説を視聴者に送信し犯人あてに挑戦してもらうという、2009年から11年の間にNHK総合で放送された視聴者参加企画は何でしょう?」
 A.『探偵Xからの挑戦状!』
 ケータイ小説が6日間にわたってメールで送られてきて、6日目には犯人あての投稿フォームがあり推理を応募することができる。7日目に解決編がテレビドラマで放送され、投票結果の発表と解決編小説が送信された。
 私は残念ながらリアルタイムでは視聴していなかったのですが、もしまた放送する機会があればぜひとも参加してみたい企画ですね。

 No.272「1991年発表の作品『身分帳』は映画『すばらしき/世界』の原案となった、その他の代表作に『復讐するは我にあり』がある作家は誰でしょう?」
 A.佐木隆三
 こちらは時事問題ですね。映画『すばらしき世界』は役所広司主演で2020年9月に公開されました。刑務所を出所した男と彼を取り巻く人々や社会の様子を描いた、硬質で優れた社会派ドラマです。

 No.275「2014年からNHKで放送された人形劇『シャーロックホームズ』や、ドラマ『古/畑任三郎』シリーズの脚本を担当した脚本家は誰でしょう?」
 A.三谷幸喜
 コメディでもミステリーでもすぐれた作品を発表し続けている三谷幸喜ですが、ミステリについては既存の作品への理解の深さと高い敬意をもって優れた翻案をこなしています。
 人形劇『シャーロックホームズ』は、舞台を学校にして、ホームズやワトソンは生徒、ハドソン夫人は寮母さんになり、アイリーン・アドラーは保健室の先生として、モリアーティは教頭先生として出てきたりします。
 ご存じ『古畑任三郎』は『刑事コロンボ』へのオマージュですし、2015年以降はアガサ・クリスティの名作群を日本を舞台にしたドラマとして製作しています。
 どれを観ても本当にミステリーが好きなことが伝わってくる作品ばかりです。

 No.281「M-1グランプリ2016年の「エレベーター」のネタと2017年の「コンパ」のネタにはいずれも叙述トリックが用いられていた、田中一彦/と武智(たけち)によるお笑いコンビは何でしょう?」
 A.スーパーマラドーナ
 お笑いのコントでは、見えないものがたくさん登場します。コンビによるコントでも何もない空間に向かって話しかけていれば、そこに3人目の登場人物がいることを観客に伝えることができます。「ウィーン」と言いながら手を左右に広げて前へ踏み出せば自動ドアをくぐったことがわかります。
 しかし、もしかしたらそこにいるのは3人目の登場人物ではなくカカシかもしれませんし、本当に何にもない空間に話しかけているヤバい奴なのかもしれません。自動ドアをくぐったと思われた人物は、横断歩道を渡るときに手を左右に広げながら「ウィーン」としゃべる癖を持っているだけの人物かもしれません。今回はM1出場経験もあるスーパーマラドーナを出題しましたが、そうしたコントを作っている若手の芸人さんは多くいます。お笑いとミステリも概念としては意外と近くにあるものだと感じます。

 いよいよ決勝戦の問題に入ってきました。あと何回くらいでこの振り返りシリーズは終わってくれるのでしょうか。引き続き次回もよろしくお願いいたします。

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