問題振り返り⑮.コース別R「映像・コミック関連」(3)

 前回に引き続き「映像・コミック関連」コースの振り返りです。紹介したい作品が多くて嬉しいです。

 No.181「過去にSMAPの稲垣吾郎や乃木坂46の伊藤純奈(いとう・じゅんな)が舞台で演じている、どんな役でもこなす代役/専門の舞台俳優にして泥棒である、手塚治虫の漫画の登場人物は誰でしょう?」
 A.七色いんこ
 『七色いんこ』は手塚治虫の演劇好きがこれでもかというくらいに反映された作品です。『ブラックジャック』の舞台を医療から演劇界に移した作品といえばイメージがしやすいでしょうか。怪盗の七色いんこは依頼があれば代役として舞台に立ちますが、その条件はいつも「上映中に何が起きても見逃すこと」、自分の盗みを黙認しろというのです。しかし演劇への熱い想いから、自分の儲けを度外視しても舞台の成功や他の俳優の成長を後押しをすることも多く、そうした義賊的な振る舞いもブラックジャックと重なります。
 そして特筆すべきは、全7巻の各話ごとにモチーフとなった演劇作品があることです。ちなみに第1巻の目次は以下の通り「ハムレット」「どん底」「人形の家」「修善寺物語」「ガラスの動物園」「検察官」。古今東西の名作を現代の怪盗ものへの翻案をみごとにやってのけていて、元の作品と併せて読めば楽しさは何倍にも膨れ上がることでしょう。

 No.182「古沢良太(こさわ・りょうた)が脚本をつとめた、1年前に死亡したアイドルの死の謎について5人の関係/者が密室でのディスカッションを繰り広げるという内容の、2007年公開の映画は何でしょう?」
 A.『キサラギ』
 ストーリーとしては上の問題文以上に付け加えることはなくシンプルな推理劇なのですが、ディスカッションを深めていくにつれ明かされる関係者たちの正体や、アイドル・如月ミキの人物像など、情報の出し方が抜群にうまい作品です。小出恵介や香川照之が主要人物として出演しているのでソフト化がされづらくなっていたりしたら悲しいのですが、推理物が好きな人にはぜひとも見て欲しい傑作です。核心には触れていないものの、後半で明かされる各登場人物の秘密などがWikipediaにはポロポロと書かれてしまっているので、これから見ようと思っている方はWikipediaは読まないようにしてください。

 No.189「【名字だけで正解】『女(わたし)には向かない職業』では推理作家として、『ののちゃん』ではのの子の担任として登場する、いしいひさいち漫画のキャラクターは誰でしょう?」
 A.藤原先生(藤原瞳)
 いしいひさいちは、年配の野球ファンにとっては『がんばれ!!タブチくん!!』、いまでは『となりのやまだ君』『ののちゃん』の作者としておなじみでしょうか。ミステリファンにとってはやはり『コミカル・ミステリー・ツアー』ですね。著者のミステリへの深い造詣とパロディ精神が融合した、ユーモアミステリ漫画の嚆矢だと思います。なんとなくですが、どこのBOOKOFFの漫画文庫棚にも一冊は差さっているようなイメージがあるので、見かけることがあればぜひお手に取ってみてください。

 「コミック・映像関連」こーすの紹介は次回で終わりになりそうですね。引き続きよろしくお願いします。

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