騎手はペースがわからない?

今回の議題は、「騎手のペース判断」について。

ペースを算数して速度に換算してみる。
乱暴な計算ではあるが、2000mのレースで前半1000mを1分、ラップタイム的には1ハロン(200m)12sを平均ペースと暫定的に定義し、200m11.5sをハイペース、200m12.5sをスローペースと仮定する。

すると、それぞれの速度は、
ハイペース:62.60km/h
平均ペース:60.00km/h
スローペース:57.60km/h
そう、時速にすると約2km/hしか変わらないのである。

全てのレースでこれで良ければ慣れも生まれるであろうが、競馬には馬場差というものが有り、それによってそもそもの平均ペースだって変わる。全体時計が1s速くなる高速馬場だとしたら、単純計算で1000mだと0.5s速くなり、
平均ペース:60.50km/h
また、土砂降りで全体時計が3s遅くなる不良馬場だとしたら、同様に1000mで1.5s遅くなり、
平均ペース:58.53km/h
と変化する。

また、実際の速度だけではなく、風が吹いていたりすると、体感の速度も勿論変わる。レース中3m/sの風が吹いているとすると、無風の時と比べて時速にして10.8km/hのズレが発生する。
そもそも騎手には3m/sの風か2m/sの風かなどわかりようがない。
・車やバイクに乗ってる時のようにメーターを見られるわけではない
・そもそも馬場差なんて後でわかるもの
・風で体感もずれる
このような状況で、騎手は1km/hの差を感じ取って乗れるのかと考えると……
現実的ではないと考えざるを得ない。騎手は速度を感じてペースを判断しているわけではないのではないか。というのが結論。
つまり、「上手い騎手は正確な体内時計で~」などというのはまやかし。
そもそも人の体内時計でどうこうできる問題でもない気もしてくる。
もの凄いあがり3ハロンのタイムを出しながら「最後伸びなかった」などというコメントが出てくるあたりも、ちゃんと時間と速度が把握できているわけではないことの論拠になるかもしれない。

それでも上手い騎手はどこかでペース判断をしているわけで、それが何かと考えると、自分の馬の余力&周りの馬に余力がありそうか?ぐらいでしかなさそうな気がする。
馬上ではそれぐらいでしか考える余地が無さそうというのもある。
ここの体感、判断の上手い騎手が、ペースを読める騎手ということなのかもしれない。