短距離偏重時代

私が競馬を知るはるか昔、グレード制導入前の競馬は、長距離偏重と言われていたそうです。

天皇賞や有馬記念などといった格のある、高額賞金レースは尽く長距離にカテゴライズされる距離で、当時の短距離馬は、無理矢理にでも長めのレースに出るしか無かった、という時代でした。
ですが、長距離戦は賞金こそ高いもののレース数が少なく、メンテナンスも大変(ここは今も一緒ですが)。に対して短距離戦は、賞金こそ高くはないもののレース数は多く、1レース毎の消耗が少なくてレース数を数多くこなすことができた。という、ある程度のバランスはあったのではないでしょうか?当時競馬やってた人がどういう認識、感覚を持っていたかは知る由も無いので推測だったり疑問形で書かないとしょうがないのですが。

対して現在は、3000m以上のレースはたったの6つ(万葉S、ダイヤモンドS、阪神大賞典、春天、菊花賞、ステイヤーズS)ですが、実はこれ自体は30年前から2つしか減っていません。1400m以下の短距離戦が数え切れないぐらいあるのは昔とおそらくそうは変わらないでしょう。ではどの点で短距離偏重になったかというと、賞金のバランスです。先日のスプリンターズSの賞金を見て驚きました。と言いながら調べ直すのですが。
春天:15000万円
スプリンターズS:11000万円
これだけを見ると十分差があるんじゃない?と思うかもしれませんが、それを取り巻く路線のレースの数、さらに短距離にはもう一つG1があることを考えると、短距離は自由にレース使えてそこそこ稼げる路線、長距離はレースも無いしそこまで稼げるわけでもない路線、となっていると言い切って良いでしょう。これで長距離馬を作ろうなんて考える人は希少だと思います。