母からハハへ

暑い中家に帰ると、一通の封筒が郵便受けに入っていた。差出人を見てみると姉だった
最近音沙汰無いのに急に封筒で送ってくるような用事とは何か気になり、暑さとは別の汗が流れる
涼むのもそこそこに封を開け、中身を確かめると、

"私はこの度、母からハハになりました"
との一文のみが書かれた便箋が一枚だけ入っていた

私は安心して、麦茶を飲みながら電話に手を伸ばす。相手側はどうやら暇だったのか、たった2コールで繋がった
「もしもし、姉さん?封筒読んだよ。子供生んだみたいだね。おめでとう、でいいのかな?」
「めでたいと思うなら出産祝いでもくれないかしら」
「どうやら正解みたいだね。その分まけてよ」
「いつも金ないって言ってるあんたから取ろうなんて思ってないわよ」
このあと世間話を数十分して、休みが取れたら実家に一度帰ることを約束させられてから電話を終えた