お釣り

夏休みの今ぐらいの時期のこと
普段から授業の終わり頃に1つ問題を出しているのだが、暑いし今日は全員が解けたらジュースをおごってもいいよという話をすると、いつもは誰かしら解けないのでタカをくくっていたのが仇となり、本当にジュースをおごるとこになってしまった
授業が終わるとコンビニに走り、1000円を出して生徒たち用と自分用のジュースを買って戻る途上で、
「これで普通におごって終わりじゃ流石につまらんぞ。何か話したいな」
とふとレシートを見た瞬間に話す内容が決まった

塾に置いてるコップに、生徒たちにジュースを配り、一息ついたあたりで、
「みんなは店で1000円出したとき、どうお釣り計算してる?」
と問いかけると、
「普通に引き算するけど」
というのはまだいいが、
「店を信頼して計算なんかしない」
などという残念な声も聞かれたので、一応たしなめておいた
「じゃあどう計算してる?」
「4桁ぐらい普通にできる」
「頭に筆算書いてる」
「その筆算する必要ないよ」
「マジで?」
というところで、これまでしていた授業と全く無関係の授業開始
「次の桁から1借りてきてとかめんどくない?」
「めんどいけどそうするものなんじゃないの?」
「まずそもそも筆算がいらんよ。
例えば543円の買い物をするとする。
1000円を999+1に分解したら、計算は
999-543+1=456+1=457 とできる。9から引く分には繰り下がりの計算がいらなくなるだろ?」
「それそんなに凄い?」
「1000円だとそこまで恩恵ないし俺もすぐ計算できてしまうけど、1桁上がるともうちょっと楽になるよ」
「そんなもんかなー」
「まあ頭に筆算作るよりは確実で速くなるとは思うよ。それにこの考え方知ってたら応用もきくし、片隅に置いといて損はないはず」
こんな感じで新たな授業終了

「数学なんて勉強して何の役に立つの?」と言う人は多いです
現に授業が始まる4月ぐらいには私も言われました
そういうときは私は、
「役に立たんと思うのは使おうと思わないから。役に立たせようと初めから考えてないから。ちょっとの工夫で実生活でも使えることはあるし、考え方を知っておいて損することなんてそうはない」
というのと、
「数学の楽しさを少しでも伝えられるような授業を目指す」というのは恐らく毎年言っていたように思います
5月ぐらいには、大体の生徒を「ちょっとぐらい向き合ってあげてもいいかな」ぐらいには数学毛嫌いを解消することは出来たのですが、100%とはいかず、そこは純然たる私の実力不足を感じていました