steam版うみねこのなく頃にプレイ記Ep2

あれ?Ep1の答え合わせみたいなの無いの?とTeaPartyとかを読みながら思っていました。どうやら無さそうですね。どこかでやる機会はあるのでしょうか。
そしてEp2を進めてみると……舞台設定と人物関係は同じっぽいですが、Ep1とは全く別物のようですね?一応私は別物と認識して考えることにしています。

Ep2では赤の真実なる、赤文字で明言された部分は真実であるという条項が追加されました。
一応大体まとめてメモしておいてはいたので、まずはこれを列挙してから考察に入ることにしましょう。
※太字部分が赤字で示されていた部分です。


少し話は前後しますが、TeaPartyやEp2中より、この作品はベアトリーチェvs右代宮戦人の構図が鮮明になってきています。館と異なる時空?で話していることを考えると、作者vsプレイヤーと言い換えた方が良いのかもしれません。
推理小説にも視点整理上の考え方は色々あって、対決構造であれば、作中探偵視点で解けることを意識した設計であるものと、プレイヤー(小説なら読者ですか。今やってるのはゲームなのでプレイヤーで統一しますね)自身に解かせるものがあります。この「うみねこのなく頃に」は、恐らく後者なのではないかと。
こんなメタ話で何を言いたいのかというと、例えば同じ密室ものでも、前者であれば"作中探偵に対して密室状況を打破し得る何かが見えている"必要がありますが、後者であれば"作中探偵に対しては別に完全密室であっても良い"ことになります。プレイヤーに対して問題を提示し、解答可能であれば良いわけですから。
何となくですが、うみねこではこの視点整理の考え方が非常に重要になっている気がします。そういえば視点整理のお話は以前記事にした記憶があります。まさか試されることになるとは。


~最初の6人の殺人~
・6人は生死を問わず正面扉から中に入った
・礼拝堂の鍵は一本しか存在しない
・礼拝堂の施錠は礼拝堂の鍵以外では不可能
・礼拝堂の扉は、施錠時にはいかなる方法での出入りも拒む
・楼座は今朝真里亞の手提げから封筒を取り出し、そこから礼拝堂の鍵を手に入れた
・ベアトが真里亞に預けた封筒の中身は礼拝堂の鍵だった
・ベアトが真里亞に渡した封筒と楼座が開封した封筒は同一

これらの赤の真実から導き出される答えって、もはや"礼拝堂は最初からずっと密室じゃなかった(施錠されていなかった)"ぐらいしか無いように思うのですが。戦人が礼拝堂に初めて行った時には既に開放されていたので、戦人視点では本当に鍵がかかっていたかどうかなんてわからない、ということではないでしょうか?
とすると、鍵に最も関わりのある楼座、先に礼拝堂に行き、施錠されていないにもかかわらず施錠されていたと確か証言していた源次、紗音、嘉音、郷田は間違いなく犯人サイドということになりますが……こんな大人数犯人サイドにするか?という疑問もあります。

この事件の流れは、
・事件の前段階として、礼拝堂の鍵を開けておく
→これは前提条件です。この時点で、犯人サイドに元々館にいる人物が関わっていることは確定事項です。もっと言うと、使用人側で鍵を管理していたとなると、源治、郷田、紗音、嘉音の四人の最低一人は犯人サイドだと言えます。逆にこれによって、楼座の単独犯の線が消えます
・夜、被害者六人を礼拝堂に連れ込む
→礼拝堂は金蔵にとって大いに意味のある場所だという描写はありましたし、例えば「金蔵が礼拝堂で遺産(や金塊)についての話をする」とでも源次辺りが言えば、六人(と楼座もですか)を連れ込む事は可能そうですよね
・六人を殺害、ハロウィンの装飾を施す
→装飾がどの程度かはちゃんとはわかりませんが、六人を一気に殺害した上でとなると、単独犯ではなさそうに思います。流石に忙しすぎでしょう。一人で六人を一気に殺害というのも相当な難易度のはずですし
・朝になって紗音と源治で礼拝堂に行き、その後楼座と合流し……
→これ以降は作中で流れが描写されていますね。ただ、施錠されてる辺りのくだりは全て嘘でしょう。戦人は扉解錠後しか見ていないため、本当に施錠されていたか?を確認する術はありません

多分に想像と飛躍はありますが、大体こんなところではないでしょうか?




~朱志香の殺人~
・マスターキーは使用人たちがそれぞれ持つ一本のみ
・隠し扉は存在しない。出入りは扉のみ。
・扉の施錠は、朱志香の鍵が一本と、使用人たちが一本ずつ持つマスターキーのみ
・嘉音はこの部屋で殺された
・扉と窓以外に出入りする方法はない
・部屋の外から鍵を使わずに施錠するようなカラクリはない
・朱志香の死体発見時、朱志香の部屋にいたのは、戦人、譲治、真里亞、楼座、源次、郷田、紗音、熊沢、南條のみ(死体の朱志香も含む)
・戦人が認識していた以外の人間は存在しない
・誰も隠れていない

赤の真実から導き出されることは"マスターキーを持つ使用人の誰かによって殺された"ぐらいしか無いんじゃないですかね。
上の方でEp1とEp2は別物として考えると書きましたが、Ep1の考察より持ち出したい説があります。それは、
1.金蔵の登場シーンは全て事件日より前のものである
2.紗音=嘉音
の二説です。
説1が生きているなら、源治と紗音は朱志香殺害の時間帯において全くのフリーだったことになります。金蔵の遺書のシーンは別の時間だということになるわけですから。そこにいたのは源治と紗音と……あと南條もいましたっけ。この、金蔵の遺書のシーンがこの時間帯でなかったことを指摘しなかった(=口裏を合わせた)南條も非常に怪しい人物ということになるでしょう。この事件に直接は関わってはいないとしても、犯人サイドにいると考えて差し支えないはずです。
説2はまあ……数割は戯言です。残りは本気ということでもあります。二重人格(三重かもしれませんが)の一つの人格を消滅させるというのを、"その人格を殺す"と表現するのは決して誇大では無いでしょう。人格を消滅させただけだから死体が見つかるわけもない、ということで、嘉音の死体が見つからない説明もできていますね?しかも、Ep2でも引き続き戦人が紗音と嘉音を同時に見ていた事はないんですよね。
Ep1でも途中で多重人格の一本化みたいな話をした気がします。もしかしたらこれが今作全体のテーマか?と思わなくもないです。
こういう、状況証拠しかないけど一見辻褄は合っている、みたいなのって何か決定的な抜けがありそうで怖いです。





~第三の事件〜
・使用人室の鍵は全て使用人室のキーボックスに収められている
・出入りは唯一の扉と唯一の窓以外からは不可能
・扉と窓は施錠されており、施錠時はいかなる出入りを許さない
・扉の解錠は使用人室の鍵とマスターキー以外では不可能
・使用人室内には戦人、譲治、真里亞、楼座、源次、郷田、紗音以外存在しない
・使用人室内に戦人が認識していた以外の人間は存在しない


第二の事件で紗音=嘉音としたという説は、ここに嘉音が現れることと矛盾します。私の論理展開上では、紗音=嘉音がそもそも間違いか、嘉音が現れたのが嘘かのどちらかです。
ここで、"嘉音は殺された"と第二の事件中の赤の真実で言っている以上、嘉音は確実に死んでいると考えるべきなはずです。死んでいる以上現れることはできないとなると、嘉音が現れたことが嘘と考える方が自然ではないでしょうか?よって、ここでは紗音=嘉音説のまま進めさせて頂きます。
嘉音が現れたと証言、またはそれを否定しなかった人物は、源治、郷田、紗音の三人です。第一の事件で犯人サイドと断定した三人でもあります。構図に特に違和感は残りません。
では、次に問題としたいのは「南條と熊沢はどうなったのか?」のいう点です。これは、第二の事件と第三の事件での赤の真実を見比べれば大体想像はつきます。第二の事件で"嘉音は殺された"と言っているのに、この事件中では"南條と熊沢は殺された"とは言っていません。どちらも現場から消えているというのにこの差はどういうことかと考えると、"この時点では南條と熊沢は死んではいなかった"という結論になるのは決して不自然ではないでしょう。館のどこかに監禁でもしておいたのかもしれません。ですが、この瞬間の使用人室は、明らかに犯人サイドが飽和状態で、殺さずに取っておいてる理由が今一つわからないんですよねぇ……見立てと合わせるには基本的には身内切りもしないと足りないので、犯人サイド中で一人でも残しにかかったなんてことも無さそうですし。これは本当にわからない。

この事件の流れは、
・使用人室に争った形跡を偽装し、南條と熊沢を館のどこかに隠した
→争った形跡は作中何らかの描写があったはずです
・応接室の連中に"嘉音が現れたこと"、"南條と熊沢が殺されたこと"を偽証する
→最も発言力があるのが第一の事件より確定犯人サイドてまある楼座であることより、全くの偽証でもそこまで問題にはならなそうです
・使用人室で二人の死体が消えたと言う
→そもそも死んでいないし使用人室にもいないんだから消えたもクソもありません
大体こんな感じではないでしょうか?これで密室の説明もつきます。


それ以降のことも少しお話しましょうか。
とはいえ、犯人サイドの枠組みが大体想像できているいる以上、大して違和感覚えるような場面は無いんですよね。
使用人室に行った組は犯人サイド三人と譲治どからいつ殺ろうと問題ないですし、源次が単独になろうと犯人サイドどうしでの分割だから危険でも何でもありません。もしかしたら、源次が残ったのは南條と熊沢を始末するためなのかもしれませんね。どうせ殺すんなら生かしておいたのは何故?というのは残りますが。

あ、譲治、郷田、紗音が死んだ夏妃の部屋の密室は流石に飛ばせませんか。
でもこれは簡単でしょう。赤の真実いくつかあった気がしますが省略しますね。紗音だけ杭が刺さっていなかったのが答えだと思います。
紗音が二人を殺害し、見立てにするために杭を刺し、その後紗音は自殺。死んだ自分に杭は刺せない。単純にこれだけではないでしょうか?これで密室の説明もつきます。誰も出ていないんだから密室でも問題にならない、それだけのことです。

その後源次と戦人が金蔵の部屋に行きますが、これは金蔵登場シーンで唯一の同一時間軸上のお話だと思います。館にいた人物ではなく、館に来た人物が金蔵の姿を見、話をする初めての場面ですから。
そういえばEp2だと金蔵は生きててもおかしくは無かったんですね。途中で死んだような描写も無ければ、存在が俎上に上がる場面も無く、存在感が無さ過ぎて忘れていました。勝手にとっくに死んでるものと思ってたというのもあります。


Ep2の概要で、'難易度は跳ね上がって極上"みたいなことが書かれていましたが、Ep1の時点である程度舞台背景、視点管理を行った状態で読むと、そこまで難しいかな?という思いはあります。ある程度論理の破綻の無い説明はできたという自負はあります。勿論正解かどうかは知りません。ですが、"起こっている状況と赤の真実を読み解いて魔女、19人目の存在を否定できれば良い"というだけならば、ここでの私の説明で十分なんですよね。
怪物やベアトリーチェの登場シーンを完全にノイズとして除去してしまえば、案外スッキリした構図になると思います。