ハゲ頭のパラドックス

まず本編に入る前に、砂山のパラドックスというのをご存知だろうか?

知らない人のために一応解説すると、
a.砂山は膨大な数の砂からできている
b.数粒の砂を取り去っても砂山は砂山のままである
という前提を用いて、
2を繰り返し行ない砂山が1粒になったとき、それは砂山と呼べるか?という問題
大雑把に言うとこんな感じ

数学的に表現すると、
まず砂山は十分に大きな数N個の砂から構成されている
1.砂山から1粒砂を除いても砂山のままである→ここに疑問の余地はないだろう
2.n粒の砂を除いた時まだ砂山であると仮定すると、n+1粒の砂を取り除いてもまだ砂山は砂山のままである
→ここもまだ大丈夫なはず。n粒取った(N-n粒残った)状態がまだ砂山であれば、
N-n-1粒の砂山はまだ十分砂山と呼べるだろう
数学的帰納法的にはこれで終わり
だが、Nは十分に大きい数とはいえ加算有限の数字。
2のnは、 1,2,…,n,n+1,…,N-1,N,…と続くので、
最終的には1粒の砂山、0粒の砂山となってしまうのは明白
これは砂山と呼べるのか? こんな感じか

数学的帰納法の展開としては何の問題もない、ように見える
実際は残り2桁あたりから砂山とは呼べなくなってそうな感じはするが、
実はこれこそが砂山のパラドックスの肝である
それは、何粒以上の砂が集まると砂山になるか が定義されていないから
そして、何粒以上の砂を砂山とするか?という定義は難しい
例えば10000粒以上を砂山としたとき、9999粒の砂だと砂山ではないことになるが、
そのたった1粒の差で何が違うのか?ということになり、これは数学的帰納法の2の部分をクリアできないことになる

この砂山のパラドックスを裏返すと、面白いことになる
a'.1粒の砂山では砂山ではない
b'.数粒の砂を加えてもまだ砂山とは言えない
b'を繰り返すと、限りなく無限に近い砂が集まってもまだ砂山と呼べない

つまり、1粒でも砂山だけど∞粒でも砂山ではないという素晴らしいパラドックスがここに完成
これは全て「どこからが砂山か?」という部分が曖昧だから、という一点に起因する


非常に長くなってしまったが、ここまでが前置き
ハゲ頭のパラドックスというのは実は既にあるもので、
これは、砂→髪の毛、砂山→フサフサに置き換えただけである
なので説明は無しにさせて頂く

ここで私が何を言いたいのかというと、
ツルッパゲ(髪の毛0本)でもフサフサ、髪ボーボーでもハゲ ということ
もっと突っ込んで言うなら、
ハゲはどれだけ植毛しようとハゲだし、八つ当たりでフサフサの人から髪の毛をどれだけむしり取ったとしてもその人はフサフサということだ