ダイイングメッセージ

まず、ダイイングメッセージとは?
被害者が死に際に残したメッセージのことです。
このダイイングメッセージ、犯人に直接言及してくれていればいいのですが、そんなことはまずありません。それはそうです。犯人の名前が書かれていたら身も蓋もないですがミステリー要素が無くなってしまいますし、犯人が見つければそんな不都合なもの消してしまうでしょう。また、犯人を示すヒントとしてのメッセージだと、死に際の切羽詰まった人間が考えて残したものとなると、とりとめの無い、脈絡のわかりづらい内容になり、これによって余計に悩むことになるのです。
こういった事情からどういったダイイングメッセージものが生まれたかというと、作者にしかわかりようのない薄い接点によるヒントとか、犯人が元あったメッセージを書き換える、などといった、ダイイングメッセージというパズル要素を大元から否定するようなものでした。
そういう悪く言えば作者の自己満足でしかない、アンフェアな作品が多くなりがちなところが、私がこのダイイングメッセージものが好きではない理由なのだと思われます。
ですが、これはダイイングメッセージさんが悪いのではありません。都合のいい解釈によって出題側の義務を放棄したような作品を書いた人が悪いのです。

こういった実情からか、最近はダイイングメッセージ一発ものは少なくなっているような気がします。あっても、他に推理する材料はある上でダイイングメッセージもある、といったような、最初から別解を与えられてるような状態。他の材料で推理はできるからダイイングメッセージは別にどんなものでも問題ない、というスタンスですね。
こんな登場の仕方ならダイイングメッセージ別に無くても……?と思わなくもないですが、そこは、最近下火がちのダイイングメッセージを絶やさないようにする作家さんのちょっとした意思表示なのかもしれませんね。