怪奇トンネル
※この物語はフィクションです
昨年、友人2人と車で旅行に行った時の話
友1「そういえばこの辺りに”お化けトンネル”ってあるの知ってる?有名らしいけど」
俺「へえ 初めて聞いたな。それってどこ?」
友1「ここから車で10分ぐらい進んだところ。行ってみる?」
友2「え、やめとこうよ。私そういうの苦手だし」
友1「大丈夫だって。大体ガセだし」
そう言って、友1が運転する車でお化けトンネルへ向かった
きっちり10分後。着いた先は、いかにも何か出そうな雰囲気のトンネルだった
友1は近くにあった駐車場に車を止め、調べてきていたらしいトンネルの説明を始めた。どうあってもトンネルには来るつもりだったらしい
友1「ここがその○○トンネルで、通称”お化けトンネル”。○○山を掘り抜くように作られてて、全長は約1km。ゆっくり話しながらでも30分あれば抜けられるはず」
友2「歩いていくの!?やめとこうよ・・・」
怖がる友2を半ば強引に連れ出し、俺たち3人はトンネルに入っていった
○○トンネルは、ところどころ点滅しているオレンジ色のライトが奥まで続いて、それがトンネル内を染めていた。外は乾燥した冬の空気だというのに内部は少しジメっとしていて、冬の寒さとはまた違った寒さを感じさせた
そして適当に歩いたところで、[→500m・500m←]との看板を目にしたらしき友2が指差した
友1「お、ちゃんと看板がついてる」
言う通り、進行方向左に、現在位置を示す看板が怪しく光りながら貼り付けられていた。おそらく通行量が極度に少ないところでもなく、自治体が作ったのであろう
俺「ここが真ん中か。せっかくだし写真でも撮っておこうぜ」
友2が絶対嫌だと言うので、看板をバックに友1と俺の2人の写真を友2に撮らせると、再び出口へ向かって歩みを進めた
しかし、特に何も起こることなく出口が近づき、
「これホントにお化けトンネルだったのか?」などと首を傾げ合う始末だった
友1「結局何も出なかったし、何も起こらなかったな」
友2「でももうこんなとこいたくない!早く車でどっか行こうよ!」
そう言って友1から車のキーを受け取り、駐車場に停めてある俺たちが乗ってきた車の元へ走っていった
友2が離れたところで、俺は話し始めた
俺「・・・お前、本当に何もなかったと思ってる?」
友1「あ、ああ。まあ強いて言えばトンネルの中だけジメジメしてたとは思うけど、そんなの大した問題じゃないだろ?」
俺「確かにそんなのは問題じゃない。とんでもないことが起こってたんだよ」
友1「まさか!?普通のトンネルだったじゃないか」
俺「整理してみようか。まず、俺たちはトンネル入口付近の駐車場に車を停めてトンネルに入った。その後いくつか標識はあったがそれに従って進行方向を変えることなく進んでいった」
友1「そうだったな。写真撮ったけどそこから間違って逆方向行ったってこともないと思う」
俺「うん、ここからが問題なんだ。この状況でトンネルを出たらどうなる?」
友1「今の状態じゃないか。出口に出ただけだろ?」
俺「・・・どっちの?俺らの車のある方か?」
友1「・・・・・・!?」
俺「そう、おかしいんだ。車はないはずなんだ。なのにある」
友1「つまり・・・出口がなかったってことか!?」
俺「それはわからん。もしかしたらその写真、何か写ってるかもな」
友1「かもな・・・」