将来の夢 : 灯台守

 灯台守になりたい。ずーっと高いところにいたい。ネットフリックスをずっと見てたい。サルゲッチュとかやっていたい。野菜のスープを作って飲んでいたい。時たま良い望遠鏡を持って下界を見下ろしたい。人々が動いているのを見たい。小さい灯台ではなく馬鹿でかい灯台に住みたい。海の方になくて、町から少し外れた場所くらいにあるとよい。猫と一緒に住みたい。ギターとか暇なら弾く。STEAMのゲームを全部やる。タバコはそろそろ辞めたい。一人で住みたいけど、掃除する元気はないと思うのでたまに掃除してくれる人が来てほしい。サウナ室もほしい。暖かい場所が好きだけど、見下ろすならこの寒い場所がいい。田舎者を見下ろしたい。元カノもいるかもしれない。下界を見ていたい。そのうち人付き合いに飢えるかもしれないけど、そこは我慢したい。孤独な灯台守の方がかっこいいから。灯台守と言っても、別になんか光るやつを整備したいとかではない。勝手に光っていてほしい。それでいて、守りたい。灯台を。信号を発したい。高いところから。俺はここにいる。孤独だが孤高に灯台を守っている。星のようになりたい。遠くにいて、遠すぎるけど、確かに光っているし、そこにいるはず。星のやつめ、今日も元気だな。俺もそのようになりたい。俺はたった一人で人知れず光っている。このクソ田舎で。俺は誰にも見られずとも、ここにいる。そういうことにびっくりする。誰にも見られないものも、ちゃんと見てみれば存在する。世界はちゃんとしている。誰も踏み入らない森の深くの、誰も気にしたことがないようなその他大勢に紛れる木の一本だって、10年経ってまた来てみれば立っている。すごい。こういうことに感動する。あの大きな灯台の中には灯台守が住んでいるらしい。見てみれば、確かに居た。誰も見ようなんて思わないけども。誰も見に来ないかもしれない。そういう灯台を、30年だろうが60年だろうが孤独に守りたい。

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