LOVE MASTER　〜思い出の克服〜

　恋人ができた！恋人が！

　2018年10月17日に5年付き合って婚約もしていた元カノに振られてからというもの、彼女のために頑張って田舎で就活し、内定を決めていた田舎企業でそのまま働いて忙殺されてぜーんぜん新たな女性と関わることがなかった。

　「あなたにはもっと良い人がいると思います」クソみてーな文章をバカの癖に送ってきた元カノ！死ね！めちゃくちゃかわいい恋人ができました。せめてお前が考えた文章を書け。それ書けば勝ちだと思ったのか？ぜんぜんバイブス足りてねーよ。

　情、懐かしさ、エモさ、長い付き合い……そういうものを全部ひっくるめて勘定に入れたとしても、ぜったいに今の恋人のほうがチョー愛してるし、価値しかない。おい元カノ！見てるか！生きてるか！？死ね！本当にもっと良い人がいたよ！君ってときどきすごく正しいことを言うね！前からそうだったぜ！死ね！

　いままで元カノが人生に再登場するのがとても怖かった。でも今は違う。恋人にチューでもしてればいいんだ。ガハハ！お前の顔なんて見るのも面倒だから、一生死んでてくれ。ひとりで。

　元カノはもう、ただの人だ。たくさんいる馬鹿の一人になっちゃった。いやー、悲しいですね。がんばってください。

　本当に書いてていま気付いたんだけど、彼女の顔や姿がはっきりと思い出せることに気付いた。いままではできなかった。なぜだろう。恋は盲目ってやつか？君の憎たらしい顔、ありのままの姿をくっきり思い出せる……。本当に恋が終わったんですかね。今まさに。いま呪縛が解けたのかな。しっかり君の姿が見える。他の馬鹿共と同じように。見えるなら何も怖くねぇな。どこから飛んできてもワンパンで撃ち落としてやるから、ぶち殺されたかったら出てくればいいよ。テメーは馬鹿だから一人で死んでるしかないだろうけどね。

　寒さが沁みる。急に豪雪って感じになってきて、町は真っ白だ。だけどもこの雪が溶けるころには、テメーへの情もかんぜんに溶けちゃってどっか滲みちゃって、無くなっちゃってるだろうね。じゃ、さいなら〜。