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【デュエプレ】シナジーについての考察(+演習問題)

はじめに

 本記事はデュエルマスターズ・プレイスを題材に、カードゲームの曖昧な概念である「シナジー」についての知見を深める目的で執筆された。一般的にシナジーとは、カード同士の「相性の良さ」のことだと説明される。しかしシナジーの種類・分類を明確に示したり、強いシナジーは何かということに踏み込んだ文献はあまりない。そこで本記事では筆者独自のやり方でシナジーを多角的に解釈し、主にデッキビルディングの際に実用的な考え方に落とし込んでみた。

 (…というのは建前で、本記事の真の目的は、筆者の頭の中に長い間漠然と存在していたアイデアを自分のために言語化して吐き出しておくことである。)

 参考文献など何もなく完全にオリジナルの未完成理論であるが、現時点の出来でも読者にとって初めて見る考え方や、構築の助けになるようなヒントが沢山散りばめられていると思うので、よかったら読んでいってほしい。

 本記事は三節から構成されており、各節ごとにシナジー解釈の「切り口」を提示する。各節の最後には、理解を深めるための演習問題を偉そうにも用意しておいた。実験的な取り組みであるが、興味があれば少し立ち止まって考えてみてほしい(解答を送ってくれたらすごく嬉しい!)。筆者による解答例は後日加筆する予定である。

 記事の中で登場する全てのカードについてテキストを補足説明しているわけではないので、知らないカードが出てきた場合は適宜読者自身で調べてもらいたい(ごめんね)。

筆者:ミョガちゃん
https://twitter.com/myondamin


1. 「目指す状況」の切り口

 この節では複数種類のカード間にシナジーがあることの定義を、プレイヤーがどのような試合状況になることを期待してそのカードをプレイするか、がそのカード間である程度共通していることであるとしてみる。このとき、シナジーし合ったカードの組み合わせによって「目指す状況」はより具体性を強め、状況の実現もしやすくなるだろう。この「目指す状況」の種類によって個々のシナジーを特徴づける考え方をまずは提唱する。

 「目指す状況」は、最も粗い解像度で語るならば「デュエルの勝利」である。勝負事としてカードゲームをやっている以上、デッキに入っているカードは全て勝利に向けて搭載されたものである。すなわち全てのカードは互いにシナジーし合っている…と結論づけるのが実用的でないことは明らかである。

 プレイヤーの感覚として実際に「デュエルの勝利」として目指しているのは、例えば「相手の手札と盤面がすっからかん」とか「相手の盾が残り2枚で、こちらの攻撃可能なクリーチャーが4体並んでいる」といった状況ではないだろうか。またこれらのような勝利目前状態(勝ち筋)が訪れる前には、いくつものパターンの漠然とした有利状況が生じているだろう※1。例えば「相手より手札の総数が多い」「相手の盾が4枚に減っている」等である。イメージとしては、複数の有利状況の組み合わせにより一つの勝ち筋に進み、そのまま勝利へとゴールインする感じだろうか(図)。

矢印のあまりの見にくさに自分でも絶句したが、作り直す気力がないのでこのまま決行。

 このように「目指す状況」にはいくつかの階層が存在していて、カード同士のシナジーによってどのような有利状況が生み出され、勝ち筋を追いやすくなるのかを意識することで、納得のいくデッキビルディングを行いやすくだろう。

※1 最近は1枚のカードを使うだけで一気に勝勢までスキップできてしまうような場合もあり、細かいアドバンテージの組み合わせで勝ちに近づくという発想が若干古いものであることは否めない。

演習問題1

A「ゴースト・タッチ」と「コアクアンのおつかい」
B「ゴースト・タッチ」と「超次元ドラヴィタ・ホール」
C「ゴースト・タッチ」と「コアクアンのおつかい」と「超次元ドラヴィタ・ホール」

(1)AおよびBのカードの組み合わせによってそれぞれどのような有利状況が生まれやすくなるか考察せよ。

(2)Cのカードの組み合わせによって最終的にどのような勝ち筋が生まれやすくなるか考察せよ。


2. 「追撃と挟撃」の切り口

この節では「追撃型シナジー」と「挟撃型シナジー」という大雑把な分類を提唱したい。

★追撃型シナジー
複数種類のカードを一緒に使うことで相乗的なパフォーマンスが得られるようなシナジー
★挟撃型シナジー
複数種類のカードを状況に合わせて選択して使用したり、片方のカードが通らなかったときにもう片方を保険として構えておくことができるようなシナジー

追撃型シナジーはわかりやすくコンボと言い換えることもできる。
 『ガントラ・マキシバス』&『ガルべリアス・ドラゴン』を追撃型シナジーの例として挙げてみよう。自分が4マナの時点でガントラが攻撃することで、次ターン6マナになりガルべリアスが召喚できるようになる。さらに火・自然文明のガントラが場に残っていればガルベリアスがSAを得て、召喚時にマナブーストもできる。これはガントラとガルベリアスを立て続けにプレイすることで相乗効果が得られていると言える。

これに対して挟撃型シナジーの例を挙げてみる。
 上記のようなガントラデッキにおいて、『ガルベリアス・ドラゴン』&『霊翼の宝アルバトロス』は挟撃型シナジーの関係にある。ガントラが攻撃した次のターンまでに破壊されてしまうと、ガルベリアスは一気に強みを失う。反対にアルバトロスは墓地にクリーチャーがいるときに力を発揮するカードである。プレイヤーからすれば、「ガントラが生きていればガルベリアス、死んでいればアルバトロスを出す」という状況に合わせた二択をとることができる。コンボとは毛色が異なるが、この補完関係は立派なシナジーである。

 カード同士の関係性は追撃型と挟撃型のどちらか一方にしか属さないとは限らず、本節の演習問題のように両面でのシナジーが存在する組み合わせもある。

 追撃型・挟撃型シナジーは全く特別な概念ではなく、解釈を広範囲に広げることができる。進化クリーチャーは進化元と進化先の追撃型シナジーと言える。またザンゲキマッハアーマーとボルット紫郎バルットのように本命カードとそのサーチカードが合計2種類以上(5枚以上)デッキに採用されるのは、本命が引けなかった場合にもう片方を引けていれば保険になるという挟撃型シナジーが期待されているからである。

 追撃型シナジーが充実しているデッキは出力の高さや押しつけ性能が売りになることが多い。対して挟撃型シナジーが充実しているデッキは戦術の幅広さや対応力、対戦相手に対する裏目の強制力が強みになりやすい。知人が話していたことであるが、デュエプレの歴代のデザイナーズデッキの中で強いとされているものには挟撃型のシナジーが多く組み込まれている傾向にある(全盛期のリースNEXなんて、相手のどんな構え方に対しても回答持ってたしすごかったよね、、、)。

 挟撃型シナジーは戦術面での重要性の割に、デッキビルディング時に盲点となりやすい。コンボを前面に押し出したデッキは派手で楽しいが、勝率の高いデッキ構築を目指すなら挟撃型構造にも意識を向けてみるとよい。

演習問題2

(1)一般的な青単ツヴァイデッキにおいて、「クリスタル・ツヴァイランサー」と「超神星マーキュリー・ギガブリザード」の間にあるシナジーを、追撃型・挟撃型それぞれの観点から説明せよ。

(2)コントロールデッキに「サウザンド・スピア」と「ロスト・ソウル」を同時採用することで、どのような戦術的利点があるか考察せよ。


3. 「構築単位のシナジー」の切り口

「デッキ内の全ての緑のカードはフェアリーライフとシナジーしている」
「SA持ちや進化クリーチャーはホーリースパークとシナジーしている」

これらは間違っていない考え方だが、

「フェアリーライフは緑の枚数が多い構築とシナジーしている」
「ホーリースパークはSA持ちや進化クリーチャーの枚数が多い構築とシナジーしている」

こう言い換えた方が思考のフォーマットとしては扱いやすい。
このように、個々のカード同士のシナジーを考えるより構築単位でシナジーを考えることで見えてくるものがある。
 
 通常シナジーとはカード同士の関係性で語られる(定義される)ものであり、本節の内容はそこを逸脱してしまう部分がある。それでも上記の「目指す状況」「追撃と挟撃」と並んで知っておいて損はない考え方だと思うので取り扱うことにした。

 実際のデッキビルディングにおいて、シナジーの有無や強弱に考えを巡らせるのは「カードの採用理由」と結びつけるためである。そしてカードの採用・不採用の決め手になるのは、デッキ内の特定のカードとのシナジーというより「残りの36~39枚」と総合的にマッチしているか否かであることが多いのではないだろうか。

 例えば、電磁勇騎ソウジはザンゲキ・マッハアーマーと非常に強くシナジーしており、青赤サムライデッキの中核となりうる性能を持っている。しかしデッキ単位で剣誠ドラゴンの早期着地をメインプランとした場合には多色濁りがキツかったり、3コストが単純に重かったりで嚙み合いが悪くなってしまい、不採用にしている構築も多数あった。これはデッキの総体とソウジの間にシナジーがあまりなかったということである。


 上記とは逆方向で、中核となるカードとのシナジーにデッキ単位で寄せていく構築方法もよくある。剣誠ドラゴンやアヴァラルド公はその良い例だろう。

 また、「相手の○○がキツいから対策としてこのカードを4枚入れよう」という発想でデッキをチューニングするのを殆どの読者は経験したことがあると思う。36枚のカードの束と1種類のカードの間で補完をとろうとしているわけであるから、これは「構築単位のシナジー」と「挟撃型シナジー」の二つを合体させたような考え方として説明できる。

 いくつかの例を出してみたが、なんとなくでも構築単位のシナジーという考え方は理解していただけただろうか。デッキビルディングの際に無意識に考えていることが多いであろう領域であるが、今後は意識的に使っていくことでより納得のいくデッキが作れるようになれば幸いである。

演習問題3

(1)「ホーリー・スパーク」はどのような特徴を持つデッキに入れると強みが発揮されやすいか。理由とともに2点挙げよ。

(2)一般的な白青グレートメカオーデッキにおける「魔鳥機フェニコーラー」の立ち位置を、構築単位のシナジーに着目して考察せよ。


おわりに 

 以上、シナジーを実践的に解釈するための三つの視点を紹介した。今後うまいこと活かしたり活かさなかったりしてほしい。そして是非とも批判やツッコミのコメントをいただきたい。

 なお、演習問題の解答例は公開から数日後に加筆する予定である(解答を考えるのがめんどくさいので記事を一旦公開することで書かないといけない状況に自分を追い込む作戦)。

ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました!

ちなみに、先日twitterで行ったアンケートの結果がこちら

別に逆張ったつもりはない。


以下、演習問題の解答例(加筆予定)


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