架空のRPG 「動物の神様」

~プロローグ~

彼女の名はミュカ。17歳。

幼いころから羊たちと一緒に暮らしている彼女は、動物を愛する心を持って育ってきた。

ミュカが暮らす沿岸のムベイ村では、羊たちは庭に生えた雑草を食べてくれたり、暖かな毛糸を授けてくれる大切な家族である。食肉にするために羊たちの命を奪うなんて非道なことは決して行われない。村の人々はみな、野菜や果物を食べ、動物の肉は口にしない、所謂ヴィーガンと呼ばれる生き方をしていた。

ムベイ村で信仰されているのは、動物の神様である。教会での教えはただ一つ。「生きていく上で他の動物の命を奪わないこと。それを守っている限り、動物の神様があなたのことをいつくしみたまわるだろう。」

ある日、どこかの町の旅団が海を渡ってムベイ村へとやってきた。旅団の人達は、野菜と豆と穀物しか出てこない村の料理に文句をつけ、肉食の文化をこの村に教えてやるなどと言っている。全く余計なお世話である。しかし彼らが言うには、彼らの町では動物は人間に害をなす存在であり、退治・駆除したものを食材として利用しているだけであると、、、、、

「人間が動物たちを駆除しているだなんて本当なの!?そんなこと、あってはいけない!」

ミュカは、村の外で動物たちと人間がどう関わっているのか知るために、旅に出ることを決意した。

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この記事に書いてあるのは、私が数年前に考えた架空のロールプレイング・ゲームのシナリオや設定です。といっても練りこまれたものとは程遠く、初期構想をとりあえず書き殴っただけになります。私はしがないゲーム好きの大学院生であり、物書きやゲームプランナーの類ではありません。素人の空想だと思って読んで頂けたら幸いです。

このゲームはヴィーガニズムを風刺したような要素が含まれますので、あらかじめ私の立場を明らかにしておくと、私は「自分は肉を食べた方が心身共に健康になる体質であり、今のところヴィーガンになる気はさらさらない。しかしヴィーガンの活動は支持するし、生き方の選択肢としては常に存在している」という考えです。

1.ゲームシステム


・主人公は動物を愛する人間で、動物の命を奪わないことを信条にし「動物の神様」からの恩寵を受けている。

・モンスターと戦いながらストーリーは進む。「恩寵値」と「HP」が戦闘ステータスとなる。また「バイタル」という戦闘外ステータスもある。

・神様の恩寵によって、主人公は戦うための力を得る。恩寵値は基礎戦闘力に相当し、攻撃力や防御力に補正がかかる形で反映される。初期値は500で、動物系モンスターを殺すと恩寵値は減少し(最小1)、動物系モンスターの命を救うことで増加する(最大999)。植物系モンスターを殺したり助けても変動しない。

・HPは戦闘ダメージで減少する。魔法・アイテムや町の宿屋で回復できる。

・バイタルは0から100で表される満腹度のようなものである。バイタルは時間経過(マップ移動や戦闘で進行)や戦闘ダメージの経験で減少する。バイタルの回復は摂食によってのみ行える。摂食は戦闘で倒したモンスターを食材として調理することや、金と引き換えに町の飲食店で行える。動物系食材を摂食するとバイタルが大きく回復するが植物系食材を摂食しても少量しか回復しない。

HPまたはバイタルが0になるとゲームオーバーになる。普通にストーリーを進めるならバイタルは必ずどこかで回復しないといけない。

動物の神様説明

2.ストーリーの方向性

・主人公が旅をする目的は、村の外で動物と人間がどのように関わり合っているのかを知ること。旅の中で様々なモンスターと出会い、倒したり、逃げたり、命を助けたりしていく。

・ボスと戦うための戦闘力、つまり恩寵値を得るには、危機に瀕した動物系モンスターの命を救うサブイベントをこなしていく。ただし恩寵値が低くてもプレイヤーの操作技術次第でボスは倒せる。つまり恩寵値を高める方針のプレイ(ヴィーガンプレイ)はイージーで、動物をかまわず倒して低ステータスプレイを行うとハードモードとなる。

・動物系と植物系のグルーピングについては、各地の町の教会で聖書を回覧することで情報を得られる。しかし初見ではどちらかわかりづらいような種族もいる。

・動物系モンスターを殺さないことを徹底するためには、バイタルを回復するために植物系モンスターを大量に殺して摂食(または金銭ドロップ)する必要がある。つまり恩寵値を高めようとするほどトータルで奪った生命の数は多くなっていく。

物語が進行するにつれて植物系と動物系の区別が曖昧になっていき、明らかに植物系の見た目なのに聖書により動物系にカテゴライズされていたりする。またイベント戦でセットで出てくる「つがいモンスター」の一方(植物)だけを倒して摂食し、他方(動物)を見逃すといった行動がヴィーガンプレイのために必要になってくる。当然見逃した方のモンスターの恨みを買い、報復による悲劇が起きる。

・物語後半では、モンスターの命を選別することの意義が疑われだす最後には奪った命の総数と、最終的な恩寵値によってマルチエンドを迎える。雑食エンド(キル数大、恩寵小)、肉食エンド(キル数小、恩寵小)、植物食エンド(恩寵大)、断食エンド(バイタル回復を一切せず、最短距離でエンディングに向かった場合)など。

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とりあえず考え付いた設定は以上になります。ここからアイデアが広がって実際のゲーム制作までたどり着くのか、インターネットの海に沈んでいくだけなのかは、神のみぞ知る。

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