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【阪神新助っ人 ラウル・アルカンタラ】いったいどんな投手?徹底解剖!

先日、阪神と契約を合意し8人目の助っ人となったラウル・アルカンタラ。いったいどのような投手なのか徹底解剖していこう!

KBOリーグで最多勝&最優秀防御率&GG賞!

まずは今シーズンの成績をご覧頂きたい。

ご覧の通り20勝6敗 2.54という圧倒的な数字を残した今季。中でも特筆すべきなのは四球の少なさである。

最速は160㌔をマークする剛腕だが、制球は非常に安定しており約200イニングを投げ四球は僅か30個。1試合完投しても2個出さないという精密さである。また奪三振能力も秀でており、奪三振と四球の比率を表したK/BBという指標で3.5を越すと優秀だとされているが、アルカンタラは4.67という数字をマーク。日本だとこの数字は阪神西勇輝巨人菅野智之と同等の数値であり、韓国の菅野が来日したと思えば想像し易いだろうか。

気になるのが与死球9という数字であるが、右打者が内角のツーシームを避けない為死球が多くなっている可能性もある。四球の数を見るにそれほど制球を乱す投手ではないと感じるので、内角を厳しく攻めた結果なのではないか。 今季GG賞を受賞していることもあり、四死球や自身のエラーで自滅するタイプの投手では無いだろう。

決め球はあのメジャーリーガー並!?

続いて球種別に解説していこう。

まずはストレートだが、韓国に渡り大きく投球割合を上げている。また、平均球速が152㌔と先発投手としては異次元の数字。今季NPB全先発投手の平均球速トップ千賀滉大の153.4㌔2位がバーヘイゲンの152.8㌔なのでそれに次ぐ数字となりNPBで3番目に平均球速が速い先発投手となる。ただ千賀滉大121イニングで57四球バーヘイゲン119イニングで29四球両者制球はアバウトである。日本の打者に適応されることは想定されるが、それでもこの平均球速と制球力を持ち合わせたアルカンタラは稀有な存在と言えるのではないか。

【ツーシーム】

ツーシームも平均150㌔を超えている。シュート成分が強く空振りを取るのに適してはいないが、この球速のツーシームを投じるピッチャーは中々いないので球数を減らすのにはベストなボールだろう。

【スライダー】

次に私が1番通用すると思っているスライダー。メジャー最終年の2107年に空振り率14.5%を記録しているアルカンタラのウイニングショットだ。下記の表をご覧頂きたい。

これはどの球種がどれだけ変化したかを表したグラフで、上が2017年のアルカンタラ、下が2018年の元巨人・マイコラスの表である。

黄色の点がスライダーの変化幅なのだが、両者同じような変化幅であることがお分かり頂けるだろう。

マイコラスの2018年のスライダーは、空振り率は42%バットに当たった場合のゴロ率は84%と驚異的な数値を残している。アルカンタラが2017年の様に、この変化幅のスライダーを投げれるのならば日本の打者でもコンタクトするのは中々難しいのではないか。

【カーブ】

カーブは今季、メジャー時代共に2%程度しか投じていないことから得意でないボールだろうか。130㌔近い球速と先程のグラフから見るにスライダーに近いカーブなので、スピードを落とすなどのアクセントがあると投球割合も上がってくるかもしれない。

【フォーク】

最後に2020年シーズンから投げ始めたというフォークなのだが非常に疑問に残ることがある。

メジャー時代は落ちる球にチェンジアップを使っており、投球の約2割を占め、空振り率16.9%をマークするなど非常に効果的になっていた。しかし今季に入りチェンジアップは全体の1%しか投げておらず、変わりに投げているフォークも14%と、落ちる球の割合が減っている。今季のデータが無いため空振り率等は分からないが割合が減っているということは使いづらかったのではないか。圧倒的なストレートとメジャークラスのスライダーで韓国時代は支配していたが、NPBではどうなるか。長いイニングを投げるには落ちる球が必須に近いので、どういった調整をしてくるかが見物である。



《総評》

・ストレートの球速と制球の良さは日本でも上位クラス。守備も良く自身のエラーや四死球で自滅するタイプではない。



・ただストレートの回転数、回転効率共に平均に近く球速が落ちると途端に捕まる可能性も。



・スライダーはメジャークラス。近年スラッター等が流行っているので間違いなく投球の軸になる。



・フォークやチェンジアップなどの落ちる球が完成すると完璧。梅野がいる為パスボールも怖くなく、投げて損はしないはず。



以上がラウル・アルカンタラの解説である。

次回も阪神の新入団投手の解説を行っていく。

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