リスク賢者と普及曲線
コロッケ枠、打っても大丈夫ですか?に関する書籍が売れているそうだ。
医学関係ではないけれど、昨日取り上げた『賢く決めるリスク思考』がここに並べば、この騒ぎも終わるだろうし、税金を大量投入する医療王国も終了するだろう。
大橋眞先生が、元凶はあの検査にあるとおっしゃっているけれど、医療そのものも検査に支えられているだろうし、医者が勧めるその薬、その治療法で治るのか?という判断にも役に立つ本だ。だから、この本が医療部門にあってもよいと思う。
もちろん、そんなことを考えるのが難しいとか、めんどくさいという人は一定数いるだろう。そこはターゲットではない。枠に疑問を持っている人にこそ、読んでほしい。
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普及曲線というのがある。
横軸は市場の成長に伴う時間的経過、縦軸はその製品やサービスを採用するユーザーの数を表す。
A イノベーター(革新者):最初期に製品、サービスを採用する。市場全体の約2.5%
B アーリーアダプター(初期採用者):イノベーターほど急進的ではないが、これから普及するかもしれない製品やサービスにいち早く目をつけて、購入するユーザー層。市場全体の約13.5%
C レイトマジョリティ(後期追随者):新しい製品やサービスについては消極的で、なかなか導入しない。市場の34%程度
D ラガード(遅滞者):市場の中でも最も保守的な層。市場全体の約16%。
A、Bを合わせて全体の16%。ここを超えれば普及していくと言われている。何か新しい製品を売っていくだけが"普及”ではない。言葉もそうだろうし、思想もそうかもしれない。
この騒ぎがおかしいと思っている人は、今どのくらいいるのだろうか?吉野先生などは、10倍増えて、今は1割くらいが気づいているかなって、以前おっしゃっていた。
が、BとCには深い溝があると言われている。
初期市場の消費者は新しいことに価値を感じ、製品やサービスを購入する傾向にありますが、メインストリーム市場のユーザーはそうとは限りません。誰かがお墨付きを与えている、商品のクオリティが安定している、費用対効果が高い、周囲の人々が使っているなど、安心して購入できる理由が必要になります。
アーリーアダプターは世間や業界のトレンドに敏感で、常にアンテナを高く張って情報を判断し、これから流行りそうなものを採用するので、世間や業界のオピニオンリーダーやインフルエンサーになりやすい層です。
アーリーアダプターはこの後の層に対する影響力も大きく、5つの層の中でもアーリーアダプターの攻略は特に重要だと言われています。
Aのイノベーターはおそらくすでにリスク賢者だろう。Bのアーリーアダプターの人は、まだぼんやりとしているかもしれない。そういう人にこそ読んでもらって、リスク賢者になっていただきたい。Bの質を高め、数が増えることが、後続にも繋がっていく。
あの検査をやめるという話もある。また次の新しい恐怖が煽られるだろう。そのときに冷静に判断できる“リスク賢者”は一人でも多いほうがいい。
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画像のとおり、私の本は付箋だらけだが、貼ったのは何年か前のことだ。今、もう一度、読み直さなければいけない。前に読んで、「目からうろこ」だった箇所ではなく、今読んでなるほどと思ったことを取り上げていきたいと思う。
ちなみに初回読んで最も衝撃的だったのは、911の話だ。
ビルに飛行機が突っ込んでいく衝撃的な映像(CGという話もあるが)、多くの人が亡くなった。それで飛行機が怖くなって、車で移動する人が増え、交通事故が増えた。テロに使われた4機の飛行機に搭乗していた人の総数は256人。飛行機に乗るリスクを避けるために車で移動して命を落とした人は1600人と見られる。約6倍の人が亡くなっている。
テロリストは攻撃を2度加える。まず物理的な力で攻撃し、それから被害者の脳の力を利用して2度目の攻撃にかかる。しかし、すべての注目は最初の攻撃だけに集まる。・・・第2の攻撃にはほとんど注意が向けられない。(第1章 人間はバカなのか p22、23)
「物理的な力」を別にすれば、今と全く同じ。コロッケが怖い!は注目されても、これだけ被害が出ても、枠が怖い!はスルーされる。
第二の攻撃への対処の方法も書かれている。
9・11と同様の攻撃がまた起きた場合には、第2の攻撃のために再び私たちの脳が悪用されるのを許してはならない。テロリストによる操作に抵抗してもっと安全で強靭な社会をつくるには、リスク賢者になるしかない。リスク賢者になるのに不可欠な手段が3つある。
①恐怖リスクに対する危倶の正体を理解すること
②理性が通用しない場合には対立する感情を呼び起こして恐怖心をコントロールすること
③飛行機に乗る場合の実際のリスクを知ること
(第1章 人間はバカなのか p26 一部改変)
合理的な話が通じないから、私はもっぱら②を使っていた。これも突破されてしまった・・・。"インボー論”に負けた。私に対処する術がなかった。
だから、ちゃんと説明できるリスク賢者にならなければいけないと思う。それがリスク賢者を増やすことに繋がる。それが回り回って、ウチの子たちにも届けばいいと思う。
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