没作品
彼女と付き合ってもう二年だ。もう二年か。早いものだなと外から吹いてくる冷たい風でそう感じる。彼女に告白されたのはこんな冷たい風が吹く時だったけ。彼女と出会ったのは部活だった。部活は写真部だ。俺の学校は絶対に部活に入らなければならない。俺は部活に入らずに家でゴロゴロした生活をしたかったのだが、もし入らなかったらクソ怖い先生から説教があるらしい。なんだよそれ、そんなの個人の自由だろ。でも怖い先生からの説教は嫌だし、なんか適当に入ろうと思った。それで見つけたのが写真部だった。写真を撮ることが好きって訳ではなかったが、楽そうだと思い申し込むことにした。部活の内容は週に一回部室に集まり、写真交換をすること。たったそれだけだった。クソ楽だと思い、部活申込書に写真部と名前を書き写真部の部室に行った。ガラガラと扉を開けると三人の生徒がいた。一人は男子で、もう二人は女子だ。多分上級生だろう。俺はこんにちはと挨拶をし、写真部に入りたいんですけどと言うと感激された。今回は申込書を出したら帰るつもりだったのだが、無理矢理部室に入らされ、俺は椅子に座った。俺の目の前に今から面接しますって感じで部員の三人が座った。俺はその時にいろいろ聞かれた。なぜこの部活に入ろうとしたのか、どんな写真が好きだとか。まさか、こんな感じになるとは思わなかったから少し驚いたが雰囲気は嫌いではなかった。そんなことで俺は写真部に入った。なんか嫌な予感がするが、まぁ大丈夫だろうと思い、その日は用事があるから帰りますと言いそそくさと帰った。俺が写真部に入って一週間経った。今日は写真部の集まりがある。行くのか迷っているとある女子から話しかけられた。その女子は写真部の部長だった。
『帰ろうとしてない?』
『..…今から行こうとしてまし.…た』
『何、その間は。まぁ行くよー』
腕をがっしりと掴まれ、引っ張られる様に連れてかれた。おいおい、なんだよこの力、バカ強いじゃん。本当に写真部かよ。何も対抗できないまま俺は連れてかれた。扉を開けるとそこには残りの部員の二人がいた。
『この子。帰ろうとしてたよー』
『嘘でしょー。今日は集まりなのにー。新入部員も来ると思って早く来たのにー』
『後輩よー!待ってたぜー!今日は新入歓迎会するだからな!』
今日は俺の入部を記念に、新入歓迎会をする予定だったらしい。嘘だろ。めんどくせぇ。早く帰ってゲームしたいんだけど。そう言いたかったが、言える感じではなく俺は三人に付いて行くことにした。
『どこに行ってるんですか?』
『今から、カラオケに行こうかなーって思ってる』
カラオケ?新入歓迎会でカラオケ?なんだそのチョイス。陽キャかよ。陽キャでもそのチョイスしないと思うけど、まぁいっか。カラオケ店に着き、まず誰が歌うのかと思ったらまさかの俺だった。今日の主役は君だから、思う存分に歌ってねと言われた。嘘だろー。カラオケなんて何年ぶりだろ、そうやって最近気に入っている曲を入れ、俺は歌った。
『は?クソうめぇーじゃん!』
『後輩!バカうめぇな!俺も負けてられねぇーな!俺も歌うわ!』
『君。うまいね』
『そうですか?ありがとうございます』
俺が歌った後、残りの三人も歌った。俺も楽しくなってきて、思う存分に楽しんだ。
『楽しかった..…』
『それはよかったー』
今回のカラオケで、俺はこの部活好きかもしれないと思った。でも写真部みたいなこと今回全くしてないなと思ったが、一週間後、写真見せ合い大会が始まった。昔の写真を持ってきて、この時はどんなことをしたのかを話すと言うシンプルなものだった。俺は別に面白い話は出来なかったが、昔の楽しかった話をするだけでも、楽しかった。三人も楽しそうに話して、笑ってくれた。家でゴロゴロするのもいいけど、これはこれでいいなと思えた。
写真部に入って数ヶ月が経ち、夏休みに入った。俺も少しだが、写真を撮ることが好きになっていた。他の三人程ではないが、少なくとも前より、写真を撮ることが増えた気がする。風景の写真なんか今まで撮ったことなかったが、最近は綺麗だなと思ったらスマホでカシャと一枚撮る。そんな生活が続き、とあるメッセージが来た。
『あのさー。そういえば君。カメラ持ってないよね?持ってなかったらさ、一緒に買いに行こうよ』
部長からのメッセージだった。確かにカメラは持ってなかった。カメラ一台くらい持っていても損はないだろうし、学校でスマホを出したら没収されるが、カメラは大丈夫だから買ってもいいなと思えた。僕はカメラを買うことにした。
『持ってないから、欲しいです』
『お。いいねー、だったら二日後ここに集合ね』
『分かりました』
俺は返事をし、そのまま就寝した。二日後、俺は集合場所に行った。少し遅れそうになったので走ったが、まだ部長は居なかった。少しホッとし、部長を待つことにした。数分後、部長が遅れて来た。
『はぁはぁはぁ。ごめん、遅れた』
『大丈夫です。俺も今来たところなんで』
『なんかそれ。彼氏ぽいねー』
『............え?』
確かにカップルとか言いそうだが、完全に無意識だった。少し、カップルという言葉に引っかかった。よく考えてみれば、これデートなのでは?女子と二人きりって、もうデートじゃん。今までは四人で遊ぶことが殆どだった。しかし、今回は違う。完全に二人きりだ。そう考えるとドキドキしてきた。女子と二人きりで買い物は初めてだからだ。でも違う今回はカメラを買いに来ただけだ。あまり考えないようにしよう。
『よくカップルとかが言うじゃん』
『まぁ、確かに』
『取り敢えず、カメラ買いに行こうか』
『はい』
俺たちはカメラを買うために家電量販店に行った。沢山のカメラがあった。こんなにもあるんだと思い、少し驚いた。いっぱいありすぎで、どれを買えばいいのかが分からなかった。部長にいろいろ聞いたりして、小さくてあまり高くないシンプルなものを買った。高校生である俺からしたら、ちょうどよかった。これだといつでも持ち運び出来るし、学校でも使える。これにしてよかったと思った。
『この後どうする?』
『え。帰ろうかなと』
『えー。なんか勿体ないじゃん。せっかくここまで来たし、少し遊ぼうよ』
もうデートじゃん。完璧デートじゃん。少し胸がざわめいた。その後は食事をし、ゲームセンターや服を見に行った。完璧にデートだ。ずっとドキドキしっぱなしだった。もう帰り時って頃に部長が最後に寄りたい所あるから、そこ行こと言い俺は部長について行った。寄りたい所っていうのは公園だった。ただの普通の公園。ここの公園には思い出が詰まった場所らしい。どんな思い出なのか聞いてみると、昔飼っていた犬とよく遊び場だったようだ。その犬のことが大好きで、ずっと一緒だったのだ。部長の家は四人家族なのだが、両親は忙しく帰ってくるのが二.三週間に一回くらいで、兄がいるが大学を出ているから、今は東京で一人暮らしの真っ最中らしい。だからずっと家では独りぼっちだったのだ。その寂しさを紛らわしてくれるのが、部長の家で飼っている犬だった。その子がいるだけで楽しかった。寂しくなかったのだ。でも数年前に病気でなくなり、今は天国にいると部長が悲しそうに言った。
『ごめんね、少し悲しい話をして。あ、良いこと教えてあげる』
少し、涙を流しながらそう言った。触れない方がいいだろうと思い、俺は部長の良いことを聞くことにした。良いこととは、あの部員の二人は付き合っているということだった。
『え?!付き合ってるんですか?!あの二人!?!?』
『え?意外?結構イチャイチャしてると思うけど...…』
まぁ、確かに明らかに二人の距離は近いとは思っていたが、まさか付き合っているとは思わなかった。二人基本喧嘩してるし、仲悪いのか?と思ってた。でも喧嘩はよくするけど、よく二人で笑い合ってるよなとは思った。喧嘩するほど仲が良いとはこのことかと実感した。
『もうすぐで、暗くなるね』
『そうですね。今日は楽しかったです』
『良かった。あ。せっかくだし、今日買ったカメラで記念写真撮ろうよ』
そう部長が提案して、夕日を背景に俺たちは写真を撮った。初めて買ったカメラでの写真は部長とのツーショットだった。別に特別な写真ではないとは思う。だってただのツーショットだから。でも俺には特別でしかなかった。こんなに楽しいとドキドキとなったのは初めてだった。その楽しいとドキドキを味わせてくれた人とのツーショットだ。特別に決まっている。写真を撮り終わって、俺は部長を送ることにした。
『ここまででいいよ。ありがとう』
そう言われ、俺たちは解散をした。スタスタと家に帰り、風呂に入った。勢いよく風呂場に浸かり今日のことを考えてみるとまたドキドキした。これは恋なのかと思った。俺は今回のデートで部長のことを好きになったのか?と思った。そんなことを思いながら、風呂に上がって、体と髪を乾かしてベッドに横になった。横に置いてあったカメラを手に取り、写真を見た。部長とのツーショットだ。現地で撮った時も撮れているか確認はしたが、しっかりとは確認してなかったため、もう一度確認してみた。少し顔が赤くなっている俺の横で、笑顔が素敵な部長の顔。それを見たらまた、胸が騒めいた。これで確信した。俺は部長が好きになったんだ。あの笑顔が見たいと思った。あの顔を写真に収めないと思った。俺の恋が始まった。
部長と買い物してから、完全に部長のことを意識するようになった。意識するようになってから、変わったことが二つある。一つは目は合わせれなくなり、少しのボディータッチも過剰に反応するようになったこと。二つ目は写真をよく撮るようになったことだ。写真は四人との写真や背景、料理、動物などだが、圧倒的に多いのが部長の写真だ。完全に好きになっている。だって可愛すぎる。たった一回の買い物だけでこうなるとは思わなかった。そんだけ女慣れしてないのがよくわかる。でも男なんてこんな感じで単純でしょと自分に言い聞かせて、納得させた〜
作者
めんどくさくなった。続き今度書く。
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