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10曲目: 中山美穂「愛してるっていわない!」とVII♭→IV→Iというコード進行に惹かれがちなことについて、など

曲名: 愛してるっていわない!
アーティスト: 中山美穂
作詞: 安藤芳彦
作曲: 羽場仁志
編曲: 樫原伸彦
初出盤の発売年: 1990年
収録CD:『COLLECTION II』(KICS 60)
曲のキー: F#(嬰へ長調)

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正直に言うと、筆者は中山美穂の大ファンというわけではなく、他の曲もベスト盤などで聞く程度である。テレビドラマ『すてきな片想い』も見たことがない。
それでも、当時この曲がどこからか聞こえてきて、好きになった。今に至るまでずっとお気に入りの曲である。

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シーケンサーのフレーズがユラユラと左右に揺れ、リン・ドラム?のフィルインを合図に、第2イントロが始まる。いかにもこの時代のサウンドという感じだが、本編のドラムスの音は必要以上にバンバンいわないところがいい。

ちょっとゴスペルっぽさも感じさせる賑やかな伴奏をバックに、中山美穂独特の細い声で歌う。ミスマッチになる可能性もあったかもしれないが、この曲に関してはいい塩梅に聞こえる。
基本的にF#のキーで進行するが、ヴァースの後半からA(イ長調)に転調し、コーラス部分でF#のキーに戻る。

コーラス部分のメロディは、特に好きな部分だ。

♪ かたかた思い JINとしちゃう こんな気持
♪ 少しわけてあげたい

メロディはいいのだが...主人公の女性は、いわゆる「ツンデレ」な人で、他人にも自分に対しても焦らすことが大好きな性格なのだろうか?
郷ひろみの「よろしく哀愁」の時にも感じたけれど、あらためて歌詞全体を文字として眺めてみると、どうもしっくりこない(特に日本語の歌は)。しかし、歌として聞く分にはまったく気にはならない。
歌詞はやはり歌われてナンボのもので、筆者はあまり書かれた歌詞を重視しないタイプなのかもしれない。

♪ TRY TO LOVE ●●●●● TRY TO BE LOVED

(●●●●●は毎回歌詞が変わる)

と歌われる部分は、E→B→F#というコード進行になっているが、これはどうやら筆者の好みだということに気づいた。キーと小節数は異なるが、ボブ・ディランの「Tangled Up In Blue」でもタイトルを歌う部分で使われている(G→D→A)。

しかし、筆者にとって本当のクライマックスは、ミポリンが歌い終わって、ピアノがド派手なグリッサンドを決めた後に訪れる。
(老婆心ながら、最初から聞くからこそ、このエンディングがいいと思える。)

上記のコード進行にのせてバックコーラスが「TRY TO LOVE, TRY TO BE LOVED」と繰り返す中で、特定不明なギタリストがうねるようなブツ切りのフレーズを繰り出し、フェードアウトへと突き進む。その間わずか10秒あまりなのがものすごく残念だ。
筆者が聞いていて「楽しい」と思える要素が、この後奏には含まれている。

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