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『COCOON-月の翳り編-』

『COCOON -月の翳り編-』
脚本・演出 末満健一

【東京公演】
2019年5月11日(土)~5月26日(日)
@サンシャイン劇場
【大阪公演】
2019年5月30日(木)~6月5日(水)
@サンケイホールブリーゼ

5/17夜公演を見た!

星ひとつ編はデリコ家のお葬式で。何もかもが空回ってしまってやりきれなさが蔓延る中で、たったひとつウルが手にした星に、苦しく、喜ばしく、温かく、切なく、悲しくなって、ものすごいカタルシスに包まれたものだけど、それとはまた違う。月の翳り編は、意味もなく投げだされたこの世界で生きなきゃいけないその意味を、求めれば求めるほどに遠ざかっていく、やるせなさと絶望だけを残す話だった。

月と星は表裏一体で上演されているけど、全然感触が違う。面白い............このシリーズ、作品を重ねるほどにどんどん毒が回ってきてどんどん飲み込まれていく感じがする......正直なところ、『グランギニョル』でTRUMPシリーズに初めて触れたときはこんなに引き込まれる作品だと思ってなかった...してやられた...........クソッ....

すえみつおじさんはニーチェとかハイデガーの世界に生きてるのかな?神は死んだ、人間は意味もなく世界に投げ出された存在である、みたいな.........あまりにも虚無が虚無を呼ぶんだけど...なんとかしてくれよ..........

アンジェリコはラファエロになりたくて、ラファエロはディエゴになりたくて、ディエゴはラファエロやアンジェリコのようになりたくて、しかし3人は自分以外のものになりたいから3人それぞれの理想は理想のままでいてくれない訳で。どこまで行ったって堂々巡り。救いなんてどこにもない。そして繰り返され続ける悲劇。ソフィのようになりたかったウルと、ディエゴのようになりたがったラファエロは鏡写しだし、父親のようにはなれないと嘆くラファエロもダリの鏡写しだし、、、、悲劇の繰り返しだよ!やめれ!

もうひたすら苦しい。

現状と戦う者だけが居場所を手に入れられるんだ。逃げてるだけなんじゃないか?自由ってなんだ?本当に自由なのか?がんじがらめじゃないのか?なんで自分は生きるんだ?家のため?血筋の呪いに生かされてるだけ?自分は本当に親から愛されているのか?

なんかもうだめ。だめ。これぜんぶ思春期に悩むやつ。思春期に揺り戻される。繭期ってこういうことね。あかんですわ。

にしても、アンジェリコは気高く美しいな......自分の血筋について知り得なかったことは本当に救い.........それだけが救い.....................

もう一回見たいな....

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