サクラダリセット

読み終えたあとの感動を
残しておきたくて書いています。
本作品は文庫本7冊で構成され、
アニメ化、映画化もされた作品です。
デビュー作とは思えないです。

私はアニメでこの作品を知りました。
アニメも面白くて2度見ましたが、
そこで出てくる言葉達がどれも素敵で
もっと一つ一つの言葉を噛みしめながら
ゆっくりと読みたいと思い小説を読もうと
おもいました。

この物語の中で何より好きだったところが、
゛正しくないところを含んでいることを
理解しているものが本当の正しさ″と
いうことを一貫して伝えられていたことです。
物語の中には色んなパターンの自分の正しさを持った人達が登場します。
一見正しく見える人やそもそも自分の正しさを持っているのかもわからない人など様々です。
ですが、それぞれが自分の正しさを持っていて
それは必ず完璧ではないと語られています。
そんな中で、浅井ケイは他の登場人物から正しい存在として扱われます。
それは彼が自分の正しくなさを理解し、自分の正しさを求めることを我儘だと考え、誰もが幸せである世界を求めることを正しさと考えているからです。
誰もが幸せであることを嫌だという人はなかなかいないですからね。
誰もが幸せであることを願うことを諦めない少年がいるのだとフィクションだと分かっていても救われました。
この少年がいる世界なら生きていたいとおもいました。

正しいものですら正しくないところがあるということは、逆にいうと正しくないところがある人も正しいところがある可能性はあります。
物語の中で浅井ケイと敵対する人は出て来ますが、決して彼らは悪者のように扱われません。それが河野さんの作品のとても好きなところです。

皆さんにとって正しさて、優しさて何ですか?
みんながみんな幸せである世界を望むことは難しいと浅井ケイは知っています。
でも彼は諦めないで、後世へ伝えて目標がいつか達成されることを祈っています。

また全てを言葉にすることの難しさもこの物語ではえがかれています。
心がなぜそちらを向くのか、言葉にならなければそれは正しくないと判断されるのか。
そんな見えない言葉にまで思いを馳せることが許される物語にとても安心しました。

河野さんの作品は他にも沢山読ませていただきましたがどれも優しい物語で、心に残る言葉を沢山頂きました。
心に残った言葉もまた書きたいと考えています。