見出し画像

春山満。この名前を聞いてすぐにはわからない人も多いと思う。

ハンディネットワークインターナショナル創業者。1990年代、テレビの特番やワイドショーで奥様と一緒によく紹介されていた。1954年生まれ。24歳で進行性筋ジストロフィーを発症し、首から下は動かず、奥様の助けがなくては毎日が送れない。そんな春山さんが、自身の体験と体感をもとに、介護や福祉で役立つ商品やサービスを提供する会社を始めた。そんな番組だった。

その春山さんが、私の地元の高齢者介護施設で講演をすると知り、社会勉強のつもりで小学生の娘を連れて聞きに行った。首から下は不自由だが、冴えわたる頭脳と優秀な部下の協力。「やりたいことがいっぱいある。」とパワーに溢れていた。

休憩時間、海が見えるテラスに出ると、春山さんが煙草を吸っていた。社員らしき男性が煙草を口もとへ運び、実においしそうに。
びっくりした。そして、
「自分で煙草が持てないのに煙草を吸っている」と私は思った。
これは私の偏見。何をしたって構わないのに。

その春山満さんは2014年に、進行性筋ジストロフィーによる呼吸不全で亡くなった。享年60歳。周りの助けがなくては生活できないのだから、奥さんや社員と衝突もあっただろう。しかし春山さんは、自分の人生を生き切った。

亡くなった後に、FBの公式ファンページとラジオ番組の存在を知った。
明るく、はつらつと仕事に取り組むバイタリティーの源は何だったのか。
「周りの助け」などとは次元の違う、実践者だからこその発想と気概を春山さんから学べるような気がする。
青い海と空の見えるテラスで煙草をくゆらせる春山さんの横顔を今も時々思い出す。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?