Prologue of #明日世界が終わる前に
『――全世界のみなさんに大事なお知らせがあります』
2018年11月16日、21時ちょうど。
あなたが見ているスマートフォンを含めた、ネットワークに接続されている全世界の画面という画面が突然暗転し、女性の姿をかたどった3Dモデルが映し出された。
『信じてもらえないと思いますけど、今から24時間後――この世界が終わります』
機械の合成音声とも人間の声を加工したとも取れる、しかし女性的な声で発せられたその突拍子もない話に、あなたの周りから嘲笑と怒りの声が聞こえてくる。
『どのように終わるかはわかりません。この”世界の終り”を止める、もしくは回避する方法はありません。世界が終わったら私たちがどうなるのかもわかりません』
あちこちから聞こえてくる怒声が聞こえているのかどうか。
画面の向こうの女性のような存在は、少し苦しそうな表情で続ける。
『みなさん。ほんとうにあと24時間――といってももう23時間20分になりましたけど――しかありません。この24時間を、ぜひ、悔いのないよう精一杯生きてください』
「――っざけんな!なんだよそれ!」
隣にいた若者がスマホに向けて怒鳴り声をあげると、それに呼応するようにあちこちから非難の声が上がるが、おそらく画面の向こう側にいるその存在には届いていない。
『――ああ、もう時間がない。最後にもう一度言います。
24時間後に世界が終わります。それまで精一杯生きてくださ――』
謎の女性らしき存在の演説はそこで途切れ、画面が暗転すると、再びいつものスマートフォンの画面が表示される。
あなたが慌ててTwitterを開くと、タイムラインの一番上に、noteというSNSのリンクがシェアされていて、そのタイトルを見て思わずタップしてしまう。
そして、画面にそのnoteが表示された――
(Prologue)
#明日世界が終わる前に
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