Prologue 『サンタの村のモミノキの話』
――ん?どうした?眠れないのか?
さっきも言ったけど、早く寝ないとサンタさんは来ないんだぞ。
――よし、わかった。
お母さんは忙しいから、眠くなるまでお父さんが少しサンタさんのお話をしてあげよう。
※
――よし、じゃあ始めるか。
途中で眠くなったら、ちゃんと寝るんだよ。いいね?
サンタさんって、フィンランド、って言う国に住んでいてね。
とても寒いところなんだけど、サンタさんの居る『サンタ村』の周りだけは、いつも春みたいにポカポカと暖かいんだ。
なんでだと思う?
――って、わかんないか。
実はその村には東京タワーみたいにおっきなモミノキがあってね。
あまりにおっきなもんだから、木の下にあるサンタ村には雪も寒い風も来なくてね。
だからサンタ村のみんなは、張り切ってクリスマスの支度ができたんだな。
――え?
おっきなモミノキは、何を食べておっきくなったか、って?
うん、それがね、
モミノキは、人の『夢』や『物語』を食べておっきくなったんだ。
ほら。思い出してごらん。
どんな人もクリスマスに近づくとクリスマスにちなんだお話をするけど、
クリスマスを過ぎた途端にみんな、まるでクリスマスなんて無かったみたいに話をしなくなるだろ?
あれはね、サンタ村のサンタさん達が、プレゼントを配る時に集めて回ってね、あの白いおっきな袋に詰めて村に持って帰って、おっきなモミノキに食べさせちゃうからなんだ。
サンタさんが持ち帰った『夢』や『お話』は、どんなに悲しくても、どんなに暗くても、モミノキに差し出すと、――ほら、あの部屋の隅にあるクリスマスツリーの飾りみたいにキラキラ輝きだしてね。
まるでモミノキがでっかいクリスマスツリーみたいに綺麗になるんだ――
――って、もう寝ちゃったか。
よしよし、いい子で寝てるんだぞ。
あとでまた来るからね。
――あ、サンタさんが、ね。
【ShowTime START】
#Xmas2014
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