乳がん検診で「精密検査が必要」と言われたらやるべきこと


検診の受診率が低い、もっと受診率を上げなくては、ということがよく話題になる日本。最近わたしは、何人かの女性と話をしていて、一般の方や受診者の立場から、「検診を受けよう」と啓蒙するだけでは足りない、と、思うようになりました。

ここでは、基本的には、検診を受けたいと考えている方や、検診を受けた方に向けて書きますので、そもそも検診を受ける必要があるのか、過剰診断の問題はどうなのか、といったことは一旦脇に置こうと思います。
また、自治体や企業で40歳以上に行われているマンモグラフィ検診を前提にしており、超音波検診やMRI検診の話ではないことも明記しておきます。

検診は、殆どの場合が「受けたらそれで終わり」です。マンモグラフィによる乳がん検診でも、「要精査」(精密検査が必要、ということ)になる確率は、各自治体で4-8%くらいのことが多いと思いますので、100人中90人から95人は、「異常なし」で、精密検査もフォローアップも必要ないという結果になります。

では、「要精査」という判定が出たら、どうすればいいのでしょうか。イコール癌というわけではないものの、要精査の結果を見て、戸惑う方は実は少なくありません。どんな医療機関に行けばいいの? どんな検査を受ければいいの? と、わからないことだらけですよね。

1) どんな医療機関に行けばいい?
あなたが検診を受けたのはどこでしょうか? もし、乳腺専門のクリニックであったり、乳腺外科のあるクリニックであったりすれば、そのままそこで診てもらいましょう。多くは予約制だと思いますので、まずは外来を予約しましょう。
検診専門施設(バス検診などを含めて)、乳腺外科のない病院などで検査を受けた場合は、「乳腺専門医」を持っている外科医のいる病院を探しましょう。乳腺専門医は、外科手術・抗がん剤など、乳癌診療を専門的にやってきた医師である証明でもあります。日本乳癌学会のウェブページからも見ることができます(http://jbcs.gr.jp/member/aboutus/senmonilist/)。
いちがいには言えませんが、乳癌診療は、長期にわたる診療が必要なので、大学病院よりも、癌研究センタ−などの専門病院、あるいは、私立の病院でも、乳癌に力を入れているところが強いことが多いです。大学の中では、国立大学よりも私立大学が強い傾向にあります(あくまで一般論です)。


2) どんな検査を受ければいい?
まずは、医師による診察や触診のあとで、追加で検査をするのは超音波になります。マンモグラフィで異常が疑われても、超音波検査で何もなければ、そのまま終了になります。「また検診を受ければいいですよ」と、言われると思いますが、この場合はあまり心配はいりませんので、引き続き検診を受けていきましょう。明らかに良性の病気が見つかったときも、検診でのフォローアップで十分です。
超音波で異常が疑われると、その内容にもよりますが、生検といって、針を刺して組織をとる検査や、MRIが行われます。場合によって、生検が先のこともありますし、MRIが先になることもありますが、悪性の場合はここで診断がつきます。そこからの診療は、主治医の話をしっかりときいて、指示に従ってください。

3) 「3ヶ月後に受診してください」と言われたら? →ココ重要!
超音波やMRIで、悪性と良性がはっきりしないことがたまにあります。組織をとる検査も、病気のあるところの全体をとってくるわけではないので、「うまく悪性の部分がとれなかった」ということもあり得ます。そういう場合は、「3ヶ月後にもう一回来てね」と、比較的短期間での来院を指示されます。経過観察という、一見消極的な指示ですが、実はこれがめちゃくちゃ重要で、「また検診を受けてくださいね」という指示とは似ているようで天と地ほども違います。悪性という結果は出ていないけれど、悪性の可能性があるから、短い期間で大きくなるか、変化を見ているのです。患者さん側は、あまり深刻にとらずに、そのまま2,3年放置してしまうこともあるようですが、小林麻央さんは、その選択をしたために、癌が進行してしまいました。わたしは、あまり脅すことはしたくないのですが、短期間での経過観察を、と言われた方は、どんなに忙しくても、どんなに遅くとも1年以内には、できれば半年以内には必ず受診してください。

検診で異常を言われたら? について書かせていただきました。検診を受けるだけでは終わらないことがあります。そのときにきちんとした判断ができるように、普段から知識を持っておくことが大切ですね。

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