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練習試合を間近でみて

 スポーツ心理学的には、試合の中で自分がやるべきことに意識を集中投下できれば、余計なことにエネルギーが消費されないので、自分のポテンシャルが発揮され、良いパフォーマンスが出やすくなると言います。また、結果に一喜一憂しなくてもいいので、失敗を気にせず、どんどん挑戦行動を起こすことができ、改善データが集まりやすくなるとも言います。自分の成長にもつながるんですね。逆に、結果を気にしたり、「いいところで一本出したいなー」といった漫然とした目標を考えるだけでは、良いパフォーマンスは発揮しにくくなるということですね。

 今日の自分が見た試合の感想です。
 まず、初めて間近で試合を見させていただいたのですが、まず良かったところとしては、選手間の情報共有に関する声掛けがよくできていたなと感じました。また、次の塁をとりにいく姿勢も見えて、選手それぞれが行動目標を考えて、実行しようとする姿勢を感じてきたのが良かったです。試合も接戦の中、終盤に勝ち越しができて率直に嬉しかったですね。

 一方で、以下の点を習慣化できれば、もっと、一人ひとりのパフォーマンスは発揮しやすくなっていくと思いました。

「やるべきこと」に集中できる環境を

 まず、良い結果が出たときを思い出してください。
 今日の試合を観て感じたことは、良い結果に対しては、「ナイスプレー!」「グッドや!」と言った声がとてもよく出ていた、ということです。ここでもう1つ深掘りしてみたいのです。結果の前には必ず行動があります。その行動、つまりその選手がしっかり「やるべきこと」(※今回はやるべきことと言っていますが行動目標であると考えてください)をやりきれていたか、に注目してみるということです。例えば、5回表の守備の場面で、2アウトランナー3塁(だったかな?)の場面、ショート前のゴロをショートが思い切って前に出てとろうとし、弾いてしまいましたが、すぐに拾って送球しアウトにすることができました。このとき、「ナイスプレー!」はもちろんなのですが、「弾いた前の猛チャージがナイスプレー!」と、この声を出せるともっといいと思いました。そのときのショートのやるべきことは、ミスを恐れて、確実に捕りにいく、のではなく、思い切って前に出て少しでも早くボールにタッチし送球につなげること、だとすると、このように、結果ではなく、行動をしっかり評価してあげるのです。

 これは悪い結果をどう捉えるのかというところにつながっていきます。先ほど、良いプレーに対しては、ポジティブな声が出ていたと言いましたが、悪い結果が出たときはあまり声が出ていないように感じました。強いて言えば「切り替えていこう」とか。例えば今日はこんな結果がありました。
・チャンスでの三振
・盗塁失敗
・ヒットを打たれた
・四球や死球
・とれそうなファールフライが取れなかった
 そのような場面では、少しの間沈黙の時間が続き、一瞬雰囲気が悪くなった感じというか、なんか悪いことしちゃったなとか、あーだめだといった感じが漂ってきました。

 なぜ、このようなことになってしまうのか。

 それは失敗やミスは悪いもの、ダメなものという捉え方があるからではないかなと思います。このときに「やるべきこと」に注目していくことを思い出すのです。結果は自分ではコントロールできません。ゴロがイレギュラーするかもしれないし、ピッチャーの投球がコースギリギリにくるかもしれない。だからこそ、その選手の行動に注目し、その選手が「やるべきこと」がしっかりできていたかを評価してあげるのです。もちろん「やるべきこと」ができてないように見えたときは、それを指摘してあげる必要はあります。「~ができていないようにみえるよ!次意識していこう!」と。

 今日の試合をみていると、ある選手は低めの球を思い切って振る、ということを決めて、それをきっちり体現していました。結果は三振でしたが、「それでいい!」のです。そのアプローチがどうだったかは振り返りのデータにし、次につなげていけばいいのです。大事なことは「やるべきこと」や行動目標をしっかりやりきれたかどうかです。

 これができてくれば、ベンチの声の質も変わってきます。相手チームの情報だけを伝えるだけでなく、フィールドの選手たちの「やるべきこと」や行動目標をリマインドさせてあげることはできるはずです。例えば、ピッチャーがヒットを打たれたあとも、「狙ったコースにしっかり腕を振れていたぞ!それでいい!できてるよ!」とか内野に向かって「かかとあげて、全球、常に動いておこう!」といった声掛けができるはずです。そうすることで、選手たちは「やるべきことをやればいいいんだ!」と思えることができ、結果を気にせず、次も思い切ってやれるのです。やるべきことをやって結果がでなかったときは「それでいい」のです。その失敗のデータをしっかり分析して次につなげていけばいいのです。データはあればあるほど、学びにつながります。

結果で一憂するところに挑戦する環境はできず

 結果で一憂するところに挑戦する環境は生まれにくいと思います。
結果だけを評価すると、「結局、結果が良くなければだめなんだ・・・」という思考停止に陥りかねません。そうすると、「三振はダメだ」、「エラーはだめだ」となってしまいます。そうすると、負ける理由は「失敗するから」となってしまいます。そうすると、失敗やミスをしないようにするためにはどうすればいいのか?選手は考えるようになります。そうすると、失敗やミスを生み出す行動を起こしたくなくなります。すると、挑戦する行動が生まれず、データがとれません。すると、学習・成長しません。で、結果が出ません。とんだ悪循環です。これは避けたいです。

 選手ひとりひとりのポテンシャルが発揮しやすいチームになるためには、どんなときでも自分の「やるべきこと」をできるように日々の練習に取り組むことが大事になってくると思いますし、お互いの「やるべきこと」がわかっているという状態をつくりだすことも重要になってくると思います。そのようなチームビルディングのサポートを引き続きしていこうと思います。

以上


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