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No.17 八ヶ岳 赤岳

八ヶ岳最高峰。

この山に憧れる登山者は数しれず。

日本百名山の一つであり、ビギナー〜上級者まで楽しめる

豊富なコース取りが可能で何度言っても登山者を魅了する山大人気の山。

赤岳(2899m)。

当初、私の中で赤岳は冬山のイメージだった。

冬の赤岳に登れれば一人前。

登らないうちはなんとなくまだまだ山のペーペー扱い。

そんなイメージ。

危険も伴う冬の赤岳、登頂すれば箔が付く。

それはそうなのかもしれないが、

私としては出来れば怖い思い、

危険な思いをして山に登りたくはない。

とは言えどんな山でも必ず危険はつきもののな訳だけど、

リスクは少ない方が良い。

まして、怖い思いをしたらその山はトラウマになってしまう。

そんな勿体ないことはしたくない。

冬の赤岳への憧れは無いわけでは無いが、

比較的登りやすい

夏の清々しい赤岳で十分だ

内心、そう思っていた。

そしてやっぱり八ヶ岳は急ぎ足ではなく、

ゆっくり堪能したい。

そんな中、願ったり叶ったりのイベント依頼を頂けたのが2016年の8月。

赤岳の拠点となる山小屋、

「行者小屋で餃子祭り」への出演だ。

普段は山で餃子を食べられる事はそうそう無い。

山小屋の食事で餃子を食べたことなんて一度もなかった。

しかし、生ビールと餃子を食せる山小屋があるとするなら……

私はそれを目的にわざわざ登りたいと思う。

そんな夢のようなイベントが開催され、

そこでのLive依頼を頂いたのだ。

こんな幸せな事はない。

早速自分の夢を詰め込んだ山行プランを立てた。

初日は行者小屋まで歩き、イベントでLiveを行う。

その後、

赤岳を眺めながら餃子と生ビール。

翌日はご来光を見に赤岳に登り

下山するという完璧なプラン。

今でも心に強く焼き付く夢のような山行だった。

初日は美濃戸口から南沢を登り行者小屋まで約3時間半。

スタートは苔が木漏れ日に照らされキラキラ輝くトレイルを進んで行く。

沢の音を聞きながら、

真夏とは思えないひんやりとした空気を纏いながら歩いていけば

空は次第に広くなり夏山らしい景色に。

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日差しに疲れ始める頃、目的地の行者小屋へ到着。

3時間半のほどよいトレッキングを終えて、あとは小屋の時間を楽しむのみ。

イベントの模様、空気感は当時の動画を貼り付けておこう。

興味のある方は是非。

しかし、

山での餃子と生ビールは別格。

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そして何より、小屋のスタッフさんが明るく温かいのだ。

心もお腹も幸せで満たされたあの時間を是非もう一度、、、

いや、もう二度三度と味わいたい。

基本的には年に一度、開催されているみたいだが、

毎年の状況によっては開催がない年も。

こちらは小屋の情報をしっかりとチェックして

是非、一度あの幸せな時間を味わって欲しい。

小屋情報↓↓↓

二日目。

行者小屋ー地蔵の頭ー赤岳展望荘ー赤岳ー行者小屋ー美濃戸口のルートで歩く。

赤岳を登頂し下山まで、約6時間。

AM2:30の真夜中に小屋を出発し赤岳でのご来光を目指す。

行者小屋から地蔵尾根に出ると傾斜がきつくなる。

足元は岩場から始まり、

鉄のひんやりとした階段、鎖場、梯子と緊張感のある急登が続いて行く。

夜明け前と言う事で周りが見えない安心感と不安が同時に入り混じるが、

この日は思った以上に風が強く、恐怖の方が大きかった。

急登を登り切ると地蔵の頭。 いわゆる稜線上にたどり着く。

日が出ていれば最高の景色とご対面のはずだが、

辺りはまだまだ真っ暗。そして稜線に出たことによって更なる強風が私を煽る。

つかまっていないと飛ばされそうな勢いだ。

天気も安定せず、一気にガスの中。

赤岳展望荘で一時避難をさせてもらい、

少し明るくなって、風が治るのを待たせてもらう。

休ませてもらい本当に助かった。

山小屋のおかげで私たち登山者は楽しく安全に頂上を目指す事ができるのだ。

残念ながら一向に風は治らず、夜が明けてしまった。

今回はご来光は断念。

また来る楽しみとしてとっておこう。

風は俄然強いが、明るくなり視界がはっきりしたところで

山頂を目指す。

赤岳展望荘からはあと一息だ。

強風にガスの中、手をつきながら慎重に山頂を目指す。

ガスは抜けたりかかったりを繰り返す。

毎秒ごとに空の色は変わりなかなか安定しないが、

青空に包まれる希望はあった。

山頂についた頃、未だガスの中。

時間に余裕があったこともあり

赤岳頂上山荘で朝ごはんを食べ、天気が回復するのを待ってみることにした。

赤岳頂上荘はほぼ赤岳のてっぺんに立っているようなもの。

天気が晴れに変わったらすぐに外へ出れば、

赤岳山頂から最高の景色が拝める。

ここもとても魅力的な山小屋なので、いつか宿泊してみたい。

そして焦らず空のご機嫌が良くなるのを待っていて正解。

遂に晴れたのだ。

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焦って下山しなくてよかった。

こう言うこともあるのだ。

だから山は急ぎ足では勿体ない。

空の移り変わりも含めゆっくり楽しむ余裕を持って計画したいものだ。

今回のルートは小屋が豊富なところがとても安心感がある。

だからこそどこに宿泊するか迷ってしまうのも悩みだが……

今回みたいなイベントに合わせて小屋選びやルート選びをするのもまた楽しい。

山の楽しみは頂上を目指すだけではない。

眺めに行くのも良し。

美味しいものを食べに行くのもよし。

勿論、一つでも多くのPEAKを踏むのもよし。

自分の登山歴、体力、モチベーション、天気。

しっかりと自分自身とその都度向き合って山の楽しみ方を決めるのがベスト。

山小屋の温かさと有り難み、登山の楽しみ方のバリエーション、

そして改めて厳しさと奇跡を教えてくれた。

国民の休日「山の日」が執行された2016年に登った記憶に残る山。

それが

八ヶ岳 赤岳だ。

※この日はFm 横浜 「The Burn」のディレクターであり、自身もラジオパーソナリティやイベントMCをする辰巳健太郎さんも一緒でした。二人の幸せトークも合わせてご覧あれ。



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