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名曲74 「元祖天才バカボンの春」【こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会】[元祖天才バカボン]

ーーアニソンとは思えぬ哀愁の漂う名曲。ハチャメチャな作品のエンディングテーマであるーー

天才バカボンは私でも知っているギャグアニメである。その中でも異色の名曲を取り上げる。逆にこちらのほうが有名である可能性も高い。今回、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会については割愛。また別の作品で触れる。

元祖天才バカボンの春は1975年に放送された作品、1971年放送の「天才バカボン」シリーズの2作目である。こちらは元祖がついている。そのエンディングテーマとして流れた。

私がこの曲を知ったのは子どものころ、NHKかBSかで放送されたアニソンの祭典なる番組であった。林家こぶ平(現・林家正蔵)が司会で、数々のアーティストがアニソンを歌いあげていった。中にはジャングル大帝やゲゲゲの鬼太郎などの古い曲も取り上げられていて、(最後は出演者全員で鉄腕アトムを大合唱していた気がするが、それはウタエモンだったか。じゃ忍たま乱太郎の勇気100%だったかもしれない)とても名作だったのだがあいにく資料がなかった。もう記憶の中でしか書けない。

その番組内でこの曲を林家こぶ平が歌っていたのだ。こぶ平自身がこの曲を好きだからという理由だったからだと思う。天才バカボンといえばあの「これでいいのだ」というオープニングが有名で、ギャグで明るい作品だと思っていたのだが、この暗ーい感じの雰囲気の曲も同作品と知って驚いたものだった。

こぶ平の歌声は力が入っていた。{じっと見つめてほしいのよ}のところはカメラアップになり、特に「見つめて」のところは声を震わせていたのを覚えている。

小さいころは41歳をいいおじさんだと思っていた。自分よりも30歳以上も離れた存在を、どこか馬鹿にした思いすらもあった。この41という数字が絶妙である。キリの悪い数字もギャグなのかと当時思っていたが、なかなかに味わい深い。いまじわじわとその年齢に近づこうとしている私がいる。

{冷たい眼でみないで}という歌詞は名曲66のヒーローの父とはずいぶんかけ離れた感じでやはり哀愁が漂う。当時の父親像は関白めいたものだったのではないかと予想していたが、それはまたさらにひと昔前の姿なのだろう。父親像をマイルドにさせた意味でも天才バカボンのパパは大きな存在だったのではないか。

【今日の名歌詞】

四十一才の春だから 元祖天才バカボンの パパだから 冷たい眼でみないで

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