名曲659 「エンドレスサマー」【芹澤廣明】[ナイン 完結編]

ーー甘い歌声が醸し出すエンドレスーー

【ナイン 完結編】【主題歌・挿入歌】『エンドレスサマー』『八月のゆくえ』『Boys in love』『真夏のランナー』【chk2】🈑

 そういえばいつの間にか高校野球が終わっていた。私はかつて甲子園を目指していた球児だったのだが、儚く散ってしまった過去がある。いや、大嘘である。

 まったく野球をやったことのない私。なぜか中学3年生の頃、妙に高校野球にハマった記憶がある。理由はふたつ。ひとつは当時通っていた塾の仲間とテレビ観戦したのがきっかけだった(はず)。自分一人では何も思わないでいたプレーも、ほかの人と見ると妙にリアクションが大きくなってしまう。その中に野球経験者がいたのも大きかった。いろいろな意見を聞けて楽しかったものであった。もうひとつは、自分と同じように頑張る人を応援したかったのだ。

{夏のナイフでメモリー 切り抜いた君が微笑う 青い胸のアルバムに 人はそれぞれいちばん輝く季節を止める}

{変わらないでね 君がささやく 遠い夢を見てた八月さ 夏がいつか過ぎて 夢が色あせても あの日のまま生きていてねと}

 野球漫画といえばあだち充。『ナイン』もそうだ。若者の甘酸っぱい青春を描かせたら天下一品。ただ、この作品は何とも言えないところがある。アニメで放送されたのは単発が中心で、シリーズ化されていなかった。あの大ブームを巻き起こした『タッチ』はまだアニメ化されておらず、有名になるのはもう少しあとになる。恐らく、いまよりも過小評価されていたのではないかと推察する。

 実は私もこの曲はおろか、作品そのものを知ったのはかなり遅かった。あだち充作品は数多くあるので漏れてしまいがち。幸運だった。正直、まだ完全に把握はできていないので研究が必要である。

{人はそれぞれ真夏の輝き胸に秘めて 人はそれぞれ真夏の輝き胸に秘めて}

 この曲は芹澤廣明が歌っている。ザ・80年代という感じがして私は非常に好み。作詞は売野雅勇。作曲と編曲は芹澤廣明自身だ。個人的にはアニソン上位に入る。ただ、1984年の作品とあってもう昭和のアニソン感は薄い。それでもオシャレな感じはいまでいうシティポップらしさだ。

 比較的マイナーな作品なので、再評価はもっと時間がかかるだろう。シティポップとしてもどうだろうか。ああ、それにしてもエンドレスサマーとは胸が苦しい。確かにそう思った時期も私にはあったはず。いまじゃはよ夏が終わってくれと思うばかりである。

       【今日の名歌詞】

人はそれぞれ真夏の輝き胸に秘めて

 

 


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