名曲331 「ウバ・ウバ・ウキャキャ」【宮城まり子】[まんが世界昔ばなし]

ーー独特のオノマトペが癖になる小粋な名曲ーー

【ウバ・ウバ・ウキャキャ】

 宮城まり子は1927年3月21日に生まれ、2020年3月21日に93歳で亡くなられた。生没同日は非常に珍しい。この方は歌手でもあり、福祉事業家でもあった。

 「ねむの木学園」という民間社会福祉施設を設立。当時はこういった施設がなかったようで、日本で初の出来事であったそうだ。肢体不自由児や孤児、拒食症に悩む人を救済・支援する。当時は芸能人で煌びやかな生活を謳歌していたことだろう。それなのに社会のために身を粉にして(芸能活動を事実上やめたようだ)尽力したのはなかなかできることではない。

 そんな偉大な人物の歌う名曲がこちら。まんが世界昔ばなしの主題歌になった、独特なタイトルの「ウバ・ウバ・ウキャキャ」だ。

{ウバウバウキャウキャ チラチラオポッポ ウバウバウキャウキャポイ ドンガラチッタカポイ}

 なんだかクイズ問題に出そうである。作詞は宮城まり子自身。いかにもおばあちゃんの微笑ましい言葉遊び感があってほっこりする。実際、このころはすでに50歳くらいであった。それでいて子どものような優しい声を併せ持ち、そちらは年齢を感じさせない。

{あなぼこに おっこったら それは地球のおへそなのさ 石ころに つまずいたら それは地球のお鼻なのさ}

 詩人。なるほど参考になる表現である。

{なぜなぜなぜ どうしてなの それがぼくらのしりたいことさ}

{チラポ オラオラオラペ ポレレ ピラピラピラポ 世界 世界のはなし むかし むかしのはなし}

 またも登場する不思議な言葉。昔の偉人(これが重要)は言葉の紡ぎ方がうまかった。私の尊敬するドラえもんの生みの親も「奇妙キテレツ摩訶不思議、奇想天外四捨五入、出前迅速落書き無用」といった名文句を生み出している。そこに意味はない。意味はあってもそれを明かそうとしない堂々たる姿勢が素晴らしいのだ。

 現代でこんな意味不明なカタカナのオノマトペを繰り広げる作詞家は存在するだろうか。宮城まり子の詞をもっと見たくなった。惜しむらくは代表作が少ない事である。チラッとネット上でアニソンシンガーになりたいと見た気がするのだが、もし堀江美都子級の存在になっていたらまた歴史が変わっていたかもしれない。きれいな声だなあ。

       【今日の名歌詞】

ウバウバウキャウキャ チラチラオポッポ ウバウバウキャウキャポイ ドンガラチッタカポイ


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