名曲383 「希望に向かって~正太郎のテーマ」【ギミック】[太陽の使者 鉄人28号]

ーー大きな鉄人の影で隠れ過ぎた名曲ーー

【希望に向かって ~ 正太郎のテーマ(太陽の使者 『鉄人28号』)】

 鉄人28号といえばいつしか60年代の名曲として取り上げたことがあったが、今回はリメイク版を紹介。1980年から約1年間放送された「太陽の使者」版だ。当時はかつての名作アニメをリニューアルして放送するのがちょくちょくあった。有名なところでは鉄腕アトムがそうである。名作を後世に残す意味で重要なことではあるが、正直新たな芽が生まれず不作だったのではないかとも邪推してしまう。実際、この1980年代前半はインパクトのある作品が少ない。おじゃまんが山田くんは好きなんだけどね。

 今回取り上げるのは前期のエンディング曲。正太郎のテーマとあって主人公金田正太郎の心情を描いている。

{戦いすんだら遊びにおいで 心の奥までうちとけて 夢や希望を語ろうよ 信じあえればいい いつか花咲く あつい思いを伝えあおう}

 意外にもゆけーゆけーという感じではなく、戦いのあとを考えている。ここが肝なのだ。プチ反戦歌として現代にも通用しそうな歌詞である。

{戦いすんだらのんびりしよう 緑の木陰で寝ころんで 雲と世界をめぐりたい 涙はいらない明日があるさ}

 いい。こういった休息の一面もあるのがまさしくエンディングテーマだ。

{若い力で未来を開け 若い力で未来を開け}

 そして正太郎に言い聞かせているかのような熱いメッセージ。鉄人、鉄人どこへいく。思わず私も胸が。まあでも、20代後半では遅いか。10代以下の若者に授けたい。

{戦いすんだら歌でも歌おう やさしい心で手をつなぎ 夢や希望を伝えよう 涙はいらない 明日があるさ}

 鉄人28号はどうしても戦闘ロボットの感が強いが、実は争いを好まぬ思想の持ち主だったのではないか。世界平和のために。

 ちなみに後期エンディングの「無敵の鉄人28号」の作詞は亜蘭知子が担当している(今作は藤川桂介が担当)。昔のアニソンを調べてみると思わぬ有名人が飛び出るから面白い。掘り下げているときの小さな楽しみだ。

       【今日の名歌詞】

若い力で未来を開け 若い力で未来を開け


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