名曲419 「斗え!ゴライオン」【水木一郎/こおろぎ’73/コロムビアゆりかご会】[百獣王ゴライオン]

ーーこれぞ王道の主題歌。なんでこんなにワクワクするのだーー

【Hyakujuu-ou Golion OP (FULL)】

 久しぶりにロボットシリーズから。これまで何曲かスーパーロボットシリーズから取り上げているが、今回は特に完成度が高いのでぜひ聴いてほしい。最初の10秒を聴いてくれたら、もう抜け出せませんぜ。

 『百獣王ゴライオン』は1981年から1982年に放送された。マジンガーZの時代から比べるとちょっと全盛期は過ぎているが、その分作品に工夫が求められたころである。こういう作品こそ後年になって評価されることも多い。特撮のジェットマンみたいに。

 オープニング映像も調べれば見ることができる。

{ワン プラス・ワン プラス・ワン プラス・ワン プラス・ワン ゴライオン!}

 1から始まり、4回プラスワンとして5、ゴライオンになるのだ。こういったシンプルな理屈が子ども心をくすぐる。ほんの微かな謎解きがいいのだ。

 さて、この曲は一部界隈で有名なのだがご存知だろうか。それはこのあとの歌詞にある。

{おそれず ひるまず しりぞかず 勇気だ 闘志だ 友情だ}

 ここまでは普通なのだが

{”ギブアップせい”}

 まさかの降伏しろ宣言である。私はその歌詞を見て目を疑った。いや、確かに空耳でそうは聞こえるが本当にそれが歌詞だったとは。なんとなくふんわりと「キープアップセイ」だとか「ヒットアップシェイプ」(これも変か)みたいな感じだと思っていた。

{斗いの幕は切って落とされた 正義の名において 打ち破れ 勝利はぼくらに ゴーゴー ゴライオン}

 それでもかっこいいメロディーのサビによって違和感よりワクワクが勝つ。作曲は小林亜星。いい曲といったらもうだいたいこの方か菊池さまだ。

 作詞は千家和也。衝撃的な「ギブアップせい」だったが、これは何らかの意図がないと書けないはずだ。恐らく、言葉遊びをふまえていたとではないかと推測する。というのも1980年代前半というのがミソ。

 昭和のゴリゴリした力強さがある1970年代以前であれば、それこそ「あきらめろ」と書いていたかもしれない。そして1990年以降であれば、オシャレに英語で決めていただろう。つまりは時代のはざまではないかと。ちょうどぴったり両方の成分を足したかのような、絶妙の歌詞なのである。

 その歌詞がなくとも十分名曲入りだったのだが、歌詞でまた一工夫があったことに拍手喝采。ちなみに私のカラオケの持ち歌なので、50代の皆様、ぜひマイクを交わしましょう。

       【今日の名歌詞】

”ギブアップせい”

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