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広報の力

ジャックと音楽の木 田中素子です。

2020年度は広報の充実を図った1年になりました。休業要請が出て、更にオンラインレッスンはしない、と決めてから、やる事が本当になくなってしまった日々の中で、思い立ったのは、再開するために必要な準備をしっかり整えておこう、という事でした。

幸い、持続化給付金や休業協力金など、国や都から手厚い補助を頂いた事もあり、このお金を未来へ投資しようと、思い切って大掛かりな広報媒体の改変に着手したのでした。

コロナ禍で一番堪えたのは「地域に浸透していない」という事でした。

教室名「ジャックと音楽の木」に「恵比寿ダルクローズ音楽教室」という副タイトルをつけていたからか、とても遠くから、音楽が専門のお母様がお子さんを連れていらっしゃる教室になっていました。

それはそれで、とても誇らしく嬉しい事なのですが、まず最初にその子達の安全を考えると、いち早く教室を閉めなくてはならなくなり、再開も慎重に判断して開くことになったのです。

そもそも私がなぜ「恵比寿ダルクローズ音楽教室」と名乗ったかというと、強い宣言の気持ちがあったからです。リトミックはダルクローズメソッドの一部にしか過ぎず、3本柱と言われる「リトミック・ソルフェージュ・即興」の組み合わせが、バランスの取れた音楽感覚に必要で、全部で意味を成すのだ、という想いと、業界や近隣のリトミック教室にも「こだわっていきますので、よろしくお願いします。」という想いがありました。

実はそこまでこだわっていたのを、しれっと「恵比寿リトミック・ピアノ音楽教室」に変えてしまったのですが、誰にも何も突っ込まれることがありません。教室の先生方にも。恐る恐るだったので、拍子抜けしました。

今でも、本当は「ダルクローズ音楽教室」と名乗りたい気持ちはあります。「リトミック・ピアノ教室」ではなく「リトミック・ピアノ音楽教室」と「音楽」がついているのが、総合音楽教育の教室でありたいというささやかな主張なのですが、きっとそんな事も、私以外の人にはどうでもいい事なのでしょうね。

副タイトルを変えたら、ピアノの生徒さんが急増しました。

特に、ホームページからのお問い合わせと、電柱看板を見てというお問い合わせが増えました。

私は、理念やコンセプトを一番大切にしているけれど、だからといって広報に手を抜くのは怠慢だと思っています。

企業に勤めている時は、毎日毎日、電話したりメールしたり出掛けたり、怒られたりしながらも、あの手この手と一生懸命動き回っている営業の人たちがいるから会社は売上を上げているのに、音楽教室を運営している人達は、どうして人と同じ広報をして生徒さんが集まらない、と悩んでいるのだろう、と素朴に疑問に思っていました。

ところが、今回、ホームページや電柱看板を新たに作り変えただけでなく、こだわり続けた「ダルクローズ音楽教室」という名称を手放すことによって、ようやく必要としている人たちに届くようになったのです。

つまり、自分の想いの強さが、逆に邪魔をしていた事に気づいたのです。

必要としている人にちゃんと届けばいい、そうして来てくださった方に、大切にしたい音楽観や教育観をお伝えして、そこから一緒に進んでいけばいい。

広報は自分の伝えたい想いを伝えるだけでなく、必要としている人達にちゃんと届くように考えることだと、やっと気づく事ができました。

しかも、厄介なことに、一回うまく行った事が、翌年もうまくいくとは限らず、すぐに時代が進み、すぐに風化して、すぐに埋もれてしまうのです。

そう考えると、指導も運営も広報も全部一人でやってらっしゃるお教室はすごいなぁ、と思います。

私は、指導の殆どを手放し、広報のデザインも手放し、全体管理と企画と発信と財務経理、あと雑用もろもろ、それでもういっぱいいっぱいです。

自分が未熟だから仲間が必要。仲間がいるから大きな挑戦ができる。そして励まし合い、笑い合える。

私が優れた人だったらできなかった事です。そして、出逢えなかった発見や感動がたくさんあります。

だから、仲間の先生方やデザイナーさんやカメラマンさんに、そして、自分の力のなさにも、やっぱりありがとうと思うのです。


田中素子



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