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「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”」レポ

4月27日に開催された東京ドーム公演「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”」についての私的レポートです。
(ライブ中は夢見心地な者の記憶だよりですため、MCや演出内容のちょっとした誤りや順番の前後などは、ご容赦ください)

セットリストは公式から、こちらで公開されています。
https://theyellowmonkey.lnk.to/shineon_setlist

2020年11月3日にコロナ禍の中、観客数1万9,000人で開催された公演から、約3年半ぶりの東京ドーム公演。

過去最多動員数とライブ内で語られた通り、ドームには人が溢れんばかりです。

会場に入ると、スクリーンに大きく映し出されていたのは、カウントダウンの文字。
あと、何秒でステージが始まる。数字が減るにつれて会場の期待が高まっていくのを感じます。

カウントダウンが残り100秒となると、会場中から、秒数を刻む手拍子が聞こえてきます。
皆、この時を待っていたのだと。

カウントダウンが0になり、落ちる照明。聞こえてくる音。照明が付くと、そこにはメンバーの姿。2階席からは小さく見えるも、大きな存在を感じます。

観客の大きな拍手に迎えられた一曲目は「バラ色の日々」。聞こえてきたギターの音が始まりから最高潮を予期させます。吉井和哉さん= LOVIN(Vo.)に観客の大合唱が続き、広い会場中が彼らへ一気に引き摺り込まれていきます。

“東京ドーム”と呼びかけ、”ついにこの日がやってきました”と、メンバーと会場の気持ちがシンクロしたLOVINのMC。2020年11月、コロナ禍で声出しが叶わない中、開催された東京ドーム公演を思い返し、”声をここで復活させます”と宣言します。

“輝く夜にしましょう”という言葉に違わず、響いた2曲目は新アルバム一曲目より「SHINE ON」。黒の背景に色鮮やかな光のスクリーンを背負い、曲を奏でます。新入り曲ながら”Shine on”の後に続けて入る観客の手拍子が、今後もライブの盛り上げ曲として演奏されていくことを感じさせます。

その後も、”そんなにヒット曲はありませんが、代表曲のオンパレードです”と語られた通り、新旧織り交ぜの怒涛のラインナップが繰り広げられることになります。

“イエローモンキーのロックンロールをぶちかます”と語り、始まったのは「Romantist Taste」。LOVINの胸に当てた腕を広げる動作に合わせて、「ラヴ・ポーションで強引にシャドウ」と観客もアップテンポなリズムに乗ります。

“声はいらないから、体でください”とコロナ禍でのライブから一変し、”体も声も欲しいです”と観客に要求するLOVIN。
ギター合わせて“Oh Yeah”のコール&レスポンスが繰り広げられ、始まったのは「TACTICS」。“サラッとした髪をとき”で髪を触るしぐさなど、歌詞とシンクロした動作にドキッとさせられます。

会場中を踊らせる勢いを見せる、光に溢れたステージから一転。ドームが暗転します。
見えるのは、機材の明かりのみ。
そこに、オルガンのような音が響きました。
天井から降りてくる一本の青いライトに照らされる菊地英昭さん=EMMA(Gt.)を見て、その音がギターの音であると気づかされます。どこか聞いたことのあるフレーズを織り交ぜながらのギターソロ。そこにキーボードの音が加わります。

その聞き覚えのあるフレーズが確信に変わり、
始まったのは「聖なる海とサンシャイン」。
高音に低音・ビブラート・声の強弱、持てるポテンシャルを全て発揮した、祈るような歌に心が打たれます。

聞き入る観客に切り替えを求めるように始まった「BURN」。不穏なアルペジオから紡ぎ出される力強い歌声。”BURN BURN BURN BURN”と観客の声も響きます。ギターの歪みに、軽やかなキーボードが曲をドラマチックに演出します。

“平均年齢58歳”と語る吉井さんに、両人差し指を合わせていじけるように反応する、メンバー最年長の廣瀬洋一さん= HEESEY(Ba.)。61歳とは思えぬ眩しい笑みを浮かべた彼は、”興奮しすぎて一睡もしていない”というのに、軽やかにその場で回ってみせます。下手側のサポートキーボードの三国さんは来年70歳になられるそう。上手側のサポートキーボードの鶴谷さんも紹介され、”今日はLRで最高です”とLOVINが語ります。

そんな平均年齢58歳の彼らを表す曲の題名がスクリーンに映し出され、響いた「ROCK STAR」。”死んだら新聞に載るようなロックスターに”とアップテンポで皮肉なく純真に歌い上げる彼らの格好良さに圧倒されました。

観光客の増加によるホテルの予約や、家庭の事情などを乗り越えて、ここに集まった観客へ“楽園へ行きましょう”と誘い、始まった「楽園」。
”猫も連れていこう”では、猫を抱くような仕草をして、そのままジャケットの下の懐にしまうようなジェスチャーを見せました。
猫は楽園への必需品です。

9曲目に、息を吐く間も無く「SPARK」が始まります。メインステージに留まらず、サイドステージまで幅広く移動します。花道で近くを通る時のファンの興奮ぶりがスクリーンに映し出された画からも伝わってきます。サビでは周りからも歌声が聞こえ、会場の盛り上がりを感じます。

照明が落ち、ドラムの音が響き、照らし出される菊池英二さん=ANNIE(Dr.)。そこにHEESEYのベースも加わり、始まったのは「ソナタの暗闇」。スクリーンに映し出された歌詞が、歌われるとに白抜きされていきます。一言一言が重く、迫力を感じました。

勢いそのまま、鳴り出したのは「天道虫」。
ステージから強い火力の花火が上がり、会場のボルテージが上がります。スクリーンには分割された映像が映し出されます。私の位置からはステージ上が良くは見えなかったので詳しくは分かりませんでしたが、どうやら事前収録の映像も映し出されていたようです。全編通してスクリーン演出がとても凝っています。

後半戦に差し掛かる12曲目は「太陽が燃えている」。会場全体での”太陽が燃えている”のシンガロングで盛り上がりをみせます。EMMAが後方センターステージに移動し、ギターを奏でます。間奏のギターアクトは圧巻でした。

会場が暗転し『もう本編終了…?』と思うと同時にスクリーンに流れ出した映像は、吉井和哉さんの喉頭がん発覚からこれまでをメンバーが語るものでした。

病気を受け入れつつも、歌えないという事実にぶつかる吉井さん。必ず歌えるようになると疑わず信じるメンバーの姿。
今ここでステージに立っていることの強さと奇跡を感じます。

ステージ上が明るくなり、現れたメンバー。
「人生の終わり (FOR GRANDMOTHER)」を奏でます。遠目には魔法陣のように映し出されたスクリーン。よく見ると、小さい球でかたどられており、一つ一つが命の火を放っているように見えました。”僕が犯されたロックンロールに希望なんてないよ”。声が、楽器の音ひとつひとつが、命を叫んでいる。力強さを感じました。

空気の重さを吹き飛ばすように始まった
「SUCK OF LIFE」。アップテンポなリズムに合わせて声を響かせます。EMMAのギターをLOVINがマイクでスクラッチ。その後、EMMAの口との間に手を挟み、エアーキスのような仕草をしたLOVIN。これまでの流れが他の世界線だったかのよう。しかし、”I WANT TO LIVE “と叫ぶ光景に、今だからこそ歌う「SUCK OF LIFE」なのだと思わされました。

“席が端の方の人にも後方の人にも、ど真ん中に曲を届ける”その言葉に違わず全員を狙い撃ちにした「LOVE LOVE SHOW」。赤い羽根のマフラーをかけて、メインステージからサブステージまで会場を駆けるLOVIN。最後は観客全員で”Love love show”を歌い上げました。

予測しにくい世の中。その中で作成した新アルバムは”イエローモンキーの旨み成分”を残したまま新しく作ったと語ります。

“人生の7割は予告編” にこめた想いを語り、本編を…と始まった「ホテルニュートリノ」。スクリーンにはネオン街が映し出され、後方にはホテルニュートリノも見えます。イエローモンキーはここから始まるのだと、確信させる一曲でライブの本編は終わります。

ここまでの本編で16曲。喉の調子のこともあり、そんなに多く曲数はやらないのではないか。そう思ったのも束の間、アンコールの拍手に迎えられてメンバーがステージに戻ってきました。

“おこんばんは”と、ここからまた本編が始まるのではないかという調子で語り出したLOVIN。”260万枚を売り上げる予定だった曲です”と話し、歌い始めたのは替え歌ではなく正真正銘の「東京ヴギウギ」。そこから「アバンギャルドで行こうよ」に移ります。ラブコメ要素と格好良さのバランスが取れた一曲、観客の合いの手と共に歌い上げました。

そして、アンコール2曲目、イントロが響いた瞬間に会場が沸き立ちました。ドームを縦横無尽に使い盛り上げた「ALRIGHT」。メインステージにANNIE、上手下手両方のサブステージにEMMA、HEESEY、後方のセンターステージにLOVIN。”準備ALRIGHT!”と言わんばかりの完璧な布陣です。曲中ではLOVINが3人を、HEESEYがLOVINをメンバー紹介し、最高の演出でした。移動の最中にはLOVINが観客のタオルを奪い取り、汗を拭いて返す場面も見られ、ライブ感を最大限に引き出しました。

メンバーがメインステージに戻り、始まった「悲しき ASIAN BOY」。一度ステージに戻ったはずなのに、LOVINが会場を駆け巡ります。サブステージから降りると、花道に倒れ込み、そのまま匍匐(ほふく)前進でメインステージを目指すのかと思いきや、仰向けの英雄ポーズ(仰向けで足を外側に向けたさま)で歌います。御年57歳とは思えないパフォーマンスで、カメラさんを翻弄しました。

曲終わりに“アドレナリンが出た”と語るLOVINに反応して、頭の上で手を広げたポーズを取りおどけるHEESEY。すっごい元気じゃん。そう思ったであろう観客に、LOVINがこう語りました。
“完璧な声じゃなくてごめんね”
“でも皆さんの歓声があるからできると思った”

確かに、後半から少しハスキーボイスが混じっていると感じましたが、そうか、これは完全ではないのか、と驚いてしまいました。今が、そうでないのならば、完璧な状態では一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのだろう…
今回が初参戦の私にとっては、未来への希望に感じました。

ライブ全体を締めるかのように始まった「JAM」。会場全体が赤い光で満たされ、まさに真っ赤なジャムのよう。”Good Night”と全員で歌い上げる観客の声に、イヤモニを外して耳を澄ませるLOVINの姿。悲痛な願いにも聞こえる”君に逢いたくて”、救いのような”また明日を待ってる”。『きっとまた逢いにこよう』そう決めるには十分すぎる一曲でした。

メンバーがステージ上からはけて、ステージが暗転します。ちらほらと帰り始める人がいる中、スクリーンにLOVINのモノクロ映像が映し出されました。流れた曲は新アルバムより「復活の日 」。
“復活の日にぴったりだ”
”出発日にぴったりだ”と歌います。
まさに今日のことでしょう。
今日は復活の日であり、出発の日だと。
今日のライブを最初から思い出させる時間でした。

さて、終わりかな。会場の明かりがつくかな、と思いきや。まだ、電気がつきません。
始まる拍手。それに応えるようにメンバーが現れます。

“我々イエローモンキーは永遠に不滅です”
そう宣言して演奏が始まったのは「WELCOME TO MY DOGHOUSE 」。
国内トップ規模の東京ドームの正面ど真ん中、LOVINをEMMAとHEESEYが挟み、その上にANNIEが見える構図で”Welcome to my doghouse”と歌い上げる様は『かっこいい』の一言に尽きます。

曲が終わり、メンバー4人と観客の記念撮影。
ドラムセットから解き放たれたANNIEは鍛え抜かれた身体で会場を駆け巡り、サブステージに立つと、逞しい両上腕二頭筋を上げて、観客を煽ります。
他メンバーでも感じたことではありましたが、最後の最後にANNIEのあまり余った体力でのパフォーマンスを見せつけられ、凄いなあ、と感じました。

“治ったら2Daysやる”と宣言したLOVINに”3”と指で示すANNIE。この先には、アルバムツアーも待っていることでしょう。

最後に”THE YELLOW”の呼びかけに”MONKEY ”と応えた全員が、
いつかまたどこかの会場で逢える。
その時を信じて、今日を胸に出発します。

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