見出し画像

【シンフォギアXD】片翼世界のアダムについての妄想

シンフォギアXDには並行世界でifの人生を歩んだ原作キャラが出てくるんだけど、その中でも一際異色を放っているのは『片翼の奏者』の世界に出てくるアダム(以下「片翼アダム」と呼ぶ)だと思う。

一応説明しておくと原作アニメのアダムはとても悪いやつで最終的に装者と部下に殺されてしまうくらいなんだけど、片翼アダムは部下のことを大切な存在だと思っていて友人の形見を大事にしていたり人類守護のために働いているとてもイイやつになっている。トラブルメーカーなのが玉に傷。

ここまでの大改変は実はこのアプリだと珍しくて、他のifキャラは原作アニメとそこまで大きく外れてないし、性格が変わった理由もシナリオで語られているんだけど、片翼アダムだけは不明のまま2年近く経過していたりする。

空白部分があればそこを埋めたくなるのがオタクのサガ。というわけで、片翼アダムの過去に何があったか妄想してみた。

とりあえず明らかになっていること

完全な妄想だと自分が好きな話を垂れ流すだけになるので、まずはイベントシナリオ中に開示された情報を列挙しておく。カッコ内は情報が確定したイベント。

・自分は人間ではないと思っている(アルケミックオーダー)

・バフォメット形態が本来の姿(金色に輝く想い出)

・人類守護のために働いている(アルケミックオーダー)

・自分に人類を守護する資格は無いと思っている(金色に輝く想い出)

・イザーク(キャロルの父)と出会って人類守護の決意を固めた(金色に輝く想い出)

・イザークと出会う前から人類を守護していた(聖なる誓いの合重奏)

・親(アヌンナキ)離れはできていない(金色に輝く想い出)

こんなところだろうか。大まかに整理すると「出生に関する設定はほぼ原作アニメと変わらないが、ある出来事を機に性格が変わった」かな。これを素材として少し妄想してみよう。

たとえばこんな愛のはなし

そこら辺をブラついていたアダムは、ひょんなことから化け物に襲われていた女性を助けてしまう。

女性は圧倒的な力を持つアダムを「これは人類の守護者に違いない!」と勘違いしてしまい、以降彼に付きまとうようになる。とある聖遺物を探していたアダムにとっては人間社会に潜り込むいい機会だったため、彼女の勘違いを利用して旅をすることにした。

ことあるごとに女性が「人類の守護者」と扱うため行く先々で面倒事を押し付けられるアダムだったが、その能力の高さからなんやかんや解決し周りから信頼を集めていく。

すったもんだありつつ旅を続けていたふたりだが、なんやかんやあってアダムの正体が女性にバレてしまう。さらにすったもんだあり、その過程で女性が命を落としてしまう。

失意に暮れるアダムだったが、彼女が最期につぶやいた言葉を胸に、本当の「人類の守護者」となるべく再び歩き出すのだった…(現代に続く)

これはどういう妄想なのか

自分はアダムにとって必要な救済は、親からの愛でも親への正しい愛でもなくて、誰かを愛し誰かにちゃんと愛されることだと思っているので、こういう話になりました。だから上に書いたはなしは趣味です。妄想だからね。

簡単に言えば「愛の奇跡」かなあ。悪いやつが、「こいつは本当はイイやつなんだ、とにかく私は信じている」という無償の愛を受けることで、本当にイイやつになってしまう、という奇跡。嘘から出た実とか、瓢箪から駒とはちょっとニュアンスが違う。とにかく愛、愛ですよ。愛で人は変わるのですよ。

なんでこんな感じになったかというと、「悪から善への転換」という1クール使ってもいいくらいの大事業なら、こういう話が出てきそうだよね、という感覚による。他には少年漫画的な「正義への目覚め」とか、ハードボイルド的な「漢の約束」とかがあるかもしれない。どれも等しく尊いものだから、気分によって好きに妄想すればいいと思う。そうする。

アヌンナキ(シェム・ハ)を絡ませない理由

自分の中では、「片翼アダムはシェム・ハに愛されて育ち、シェム・ハらアヌンナキから人類を託されたから善人になった」というタイプの妄想はちょっとしっくりこない。

なんでかというと、「自分に人類を守護する資格は無いと思っているが、それでも人類を護ろうと思っている」という描写と整合性が取れない気がするから。なんというか、この葛藤は「人間を好きになる」という過程が無いと生まれてこないと思うんだよね。「命ぜられたから護っている」だと自発性が薄くて葛藤することが無さそう。

あと単純に、「ちゃんと育てられたのでちゃんとした性格になりました」ではお話として面白くなくない?これが一番大きな理由かもしれない。

シナリオライターに感心しているところ

妄想を進めていくうちに片翼アダムはよくできたifキャラだな、と感じるようになりました。つまり、「原作で改心する素振りすら見せなかった悪役を、どうやったら説得力を持たせて改心させられるか」って課題をスマートに解決してるんですよ。

改心させる手段が「愛の奇跡」でも「正義への目覚め」でも「漢の約束」でもなんでもいいんだけど、まずは悪人であるアダムを信じることから始めなければいけない。当然、作品内外から次のような批判が来る。どうしてそんなやつを信じるんだ、絶対に裏切られるぞ、お前は頭がおかしいんだ、エトセトラエトセトラ。

このような批判は正しいんですよ。何故なら悪から善になるという「結果」だけがこれらの手段を肯定し尊いものとするから。むしろ批判されなければ信じる意味が無くなってしまうんだから積極的にした方がいい。

片翼アダムはこの「結果」だけを見せ続けてきたのが本当に上手いと思う。だって今後片翼アダムの過去が明らかになって、作中でどれだけ批判されたとしても、プレイヤーは彼を信頼しようとする誰かの味方になれるわけじゃないですか。お前は間違ってなんかいないんだぞと声をかけてあげられるわけじゃないですか。プレイヤーはアダムが人類守護のために働くちょっとトラブルメーカーな善人になるって結果を知っているんだから。そうやってプレイヤーを巻き込みながら一緒にアダムを救済していく、そういう地盤固めを地道に続けてきたというのが素晴らしいし、ライターは根性あるなあと思います。前提として美少女アニメの男キャラ(しかも元ラスボス)だからね、アダム。

まあ『金色に輝く想い出』で片翼アダムが敵に回った時に、少しでも「死なないでアダム!」と思わせられたなら、それはもうライターの勝利だよねって話ですよ。自分は負けたので今後も彼のことを応援していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?