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DVから脱出するために

1. 自分が最も信頼できる人に相談する

相談することは、とても勇気のいることです。

なぜなら「私が悪いからこんなことをされるんだ」と洗脳されているため、そもそも相談するという思考が生まれにくいからです。

また、「恋人や元彼とこんな状態になっているなんて恥ずべきことだ」とも感じてしまいます。

しかし、あくまで私の場合ですが、「そうは言ってもやっぱり今の状況は明らかにおかしいよな…」と気づくタイミングがあるはずです。

彼と離れたあと、友達と会ったあと、どうしようもない自分に泣いてしまったあと、そんなときに「どうか今の状況から逃れたい」ときっと思うタイミングがあります。


私の場合、DVが最も悪化したタイミングでたまたま親友に会い、私の異常に気づいて何か悩みがあるのではないかと聞いてくれました。

その瞬間に涙が溢れました。そして途切れ途切れ話しました。

「自分は殺されるかもしれない、元彼にDVを受けている、暴力をふるわれたり、お金を巻き取られたりしている…」

どう思われるだろう、軽蔑されただろうか、恐る恐る彼女の顔色を窺うと、彼女もまた涙を流していました。

「つらかったね。気づかなくてごめんね。絶対助け出す。」

そう言って、警察署に私を連れて行ってくれました。

本当に感謝しています。


被害者は決して悪くありません。警察に行くのも大袈裟ではありません。

自分一人でなんとかしようと思わないでください。助けを求めてください。



2. 警察に相談する

これも難しい話です。もし警察に行って邪険にされたら…彼に警察へ行ったことがバレたら殺されるのではないか…そんなことばかり頭に浮かんで、勇気が出ないのは当たり前です。


でもどうか、その勇気を一歩を踏み出してください。世界が変わります。


私が警察署へ行った際、もちろん警察署なんて初めて入るのですから戸惑いました。やっぱり場違いだったのでは、門前払いされてしまうのでは…

そう思いながらも、受付らしきところに座る女性へ声をかけました。

「あの…元彼が…殴ったりとか…」ここで詰まりました。こんな話警察にしていいんだろうか、そう思うと言葉が続きませんでした。

すると受付の女性は「わかりました。担当の部署までお連れしますね。」

そう行って「生活安全課」と書かれた部屋へ私を招き入れました。


しばらくして、大柄な女性警察官が部屋へ来て、私の前へ座りました。

「つらかったね。でも来てくれてありがとう。もう大丈夫。安心していいからね。本当はもっと早く来て欲しかったけどね笑」

きっと受付の様子から、DV被害の相談だとわかったのでしょう。

その瞬間、ここへ来て良かった、助かるんだ、と涙が溢れました。


これは最近知ったことなのですが、日本の女性の4分の1はDV被害に遭ったことがあるそうです。申告しない人もいるでしょうから、実際の数はもう少し多いと考えてもいいでしょう。


その後やって来た男性警察官も、対応に慣れていました。

加害者の情報、いつからなのか、どんなことをされたのか、お金はいくら取られたのか、怪我した時の写真はあるか、やりとりをしているLINEはあるか等、おそらくDV被害専用に作られたと思われる調査用紙に書き込んでいきました。

泣きながらぽつぽつ話す私を、決して急かすことなく、静かに頷きながら話を聞いてくれました。今まで話せず喉につっかえていたものが取れたような気持ちでした。


質問が終わると、「話してくれてありがとう。あとは任せてね。」と言い、加害者へ電話をかけていました。

隣の部屋で電話しているはずなのに、声はまる聞こえで明らかに彼が抵抗している様子が伺えました。

このまま彼が認めなかったら、私はただの妄想野郎だと思われて家へ帰り、彼にまた殴られるのだろうか…


私の不安を察知したのか、女性警察官が「別の部屋に行きましょうか、ここの部屋、窓がないから落ち着かないでしょう?」と、別の部屋へ案内してくれました。

観葉植物とテーブル、椅子がそれぞれ1つずつ。窓はあるものの外はあまり見えない。そんな殺風景な部屋でしたが、とても落ち着きました。

ここにいる限り自分は守られるのだと思えました。そうしてまた泣きました。


結果4時間ほど電話で問い詰めることで、彼はDVを認めました。私の家の合鍵を受け取りに警察が向かいました。

その間に、「今日は家に帰らない方がいい、電話をしていた4時間のうちに合鍵のスペアを作っている可能性が高い。泊まるところを探しなさい。」と言われ、いろんな人に電話をしました。

しかし私の状況を知る人は皆断りました。

理由は明確です、誰も巻き込まれたくないのです。

藁にもすがる思いで、高校卒業以来連絡をとっていなかった友人に電話をかけてみました。すると、「何があったの?大丈夫?遠慮なく泊まりに来て。」と。

その時泊めてくれた友人にも感謝しています。


警察同伴のもと自宅へ帰り、必要最低限の荷物をまとめました。

そのあいだ警察官は私の部屋に盗撮・盗聴器がないか探していました。

何かを回収しているようだったので、おそらく仕掛けられていたのでしょう。しかし私には特に何も報告することはなく、さっとポケットへ隠していました。


荷物を持って警察署へ戻ると、合鍵と共に1枚の写真がありました。

「この人で間違いないですよね?」

そう言って見せられた写真には、パトカーに乗った満面の笑みの彼が写っていました。

そのとき感じた心の底からの恐怖は一生忘れないと思います。

そしてやっと、ああ彼は私のことを決して愛していたわけではないのだと思いました。


その後も友人宅を転々としたり、警察から「今日は家の近くにいないようです」と連絡があった日には自宅へ戻ったり、落ち着かない生活を続けていましたが、結局実家へ帰りました。

その時も親には事情を説明できず、「大学も休みに入って暇だから帰ってきた。」と嘘をつきました。


実家ヘいる間も警察から毎日報告がありました。「今日はいた」「今日はいない」と。

いない日が続いたので、もう大丈夫だろうということで自宅へ帰りました。

久しぶりの自宅で安心する気持ちと、今の自分の状況を思い出してまた泣きました。


警察は必ず味方になってくれます。大袈裟かな、なんて思わないでください。立派な犯罪に巻き込まれているのです。自分は被害者なのだと認めることは勇気のいることですが、命より大切なものはありません。

警察へ助けを求めましょう。

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