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〈学習成果をカタチにする〉授業成果展     SDGs基礎 「私たちのSDGsアクション」     太田裕通先生

こんにちは。武蔵野大学武蔵野CLS学生スタッフです。
武蔵野CLSにて開催中(2023/12/15迄)の授業成果展示を紹介します。
第1回目SDGs基礎の成果発表について太田裕通先生に伺いました。

太田裕通
2013年京都大学工学部建築学科卒業後、同大学院工学研究科建築学専攻修了、博士後期課程研究指導認定退学、博士(工学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、2018年より京都大学大学院工学研究科建築学専攻助教。2021年4月より現職。専門は建築・都市計画、デザイン学。また建築家ユニットOKAAAを共同主宰し設計活動に取り組む。

個人ホームページ:https://hirotoota.net/
太田研究室:https://otalab.info/

Creating Happiness Program(CHP)
SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、持続可能な社会をつくるため国連加盟193ヵ国が2016年~2030年の15年間で達成するべく掲げた国際社会共通の目標です。SDGsの掲げる「誰一人取り残さない」という基本理念は、武蔵野大学の建学の精神と共通します。そのため、SDGsに基づいた授業「CHP」で個々の学生が問題意識を持って、主体的な学びと実践の姿勢を身に付けられるようにします。
SDGs基礎では、「世界は幸せか」を問うとともに、グループワークやチーム作りなど、学びの基礎力を身に付けます。

武蔵野大学HP
https://www.musashino-u.ac.jp/academics/basic/initial.html

武蔵野クリエイティブ・ラーニングスクエア   通称 : 武蔵野CLS
武蔵野大学 武蔵野キャンパス5号館にあり、学生の授業における到達目標のサポート、自学自習・グループ学習支援を主な目的として設置されています。
武蔵野キャンパス7学科所属の学生スタッフが運営。現在18名。
今年度 展示スペースを拡大して「学習成果をカタチにするとりくみ」を推進中。1階は86席 2階に54席。全館Wi-Fi・電源完備です。                                               広々としたスペースを、ぜひご利用ください。

武蔵野大学 武蔵野クリエイティブ・ラーニングスクエア【公式】
@Musashino_MCLS

小さなことでも「本当にやってみる」

CLS:太田先生のSDGs基礎クラスは「わたしたちのSDGsアクション」を課題にされていました。授業を聞くだけではなく、グループワークや発表を行っています。どのような点がポイントでしょうか。

本学の先生方が執筆しています
 URL:https://amzn.asia/d/3gXtdgT

太田:SDGs基礎は本学が作成した教科書「SDGsの基礎」(上:写真)をベースに学びますが、SDGsという大きなテーマをどのようにして学生たちが自分事にしていくかを工夫しました。そこで座学だけでなく、学生の関心に基づいて9グループに分け、学生が学外で実際に行動して成果を発表してもらうことにしました。短期間でポスターというカタチにするところまでできたのが良かったと思います。私が問いを出して学生が答えるという授業よりも、学生側から問いが投げ掛けられるように授業運営を工夫しました。

そして、私が担当したのは薬学科1年生のクラスですが、学生たちは実際にインタビューのアポイントを取り、話を聞きに行ったり、料理をして食べてみたり、スマホを使わない実験をしてみたり、キャンパス内のバリアフリーマップを作ったり、身近なジェンダー問題の啓蒙動画を撮影したり、、、とても面白いグループワークをしてくれました。提案だけで終わらず、実際に行動して「本当にやってみる」というアクションをしたことが1つの成果だと思います。この授業では「どんな小さなことでも本当に行動する=アクションする」ことを大事にしました。

各グループの活動を見ていると、受講している学生も楽しそうな様子でした。入学して早い段階の授業であったためか、グループワークを授業に取り入れることで、学生同士が親しくなるきっかけを作れたと感じています。

自分の幸せを自分で実現していく

CLS:この授業での響学スパイラルは学生の未来にどのように活かされるのでしょうか。

新たな「学び」のカタチ

太田:本来、大学の授業は答えを出すだけに留まりません。教員も未来への正解を持っておらず、社会に正解がある訳でもありません。そのことを踏まえて考えると、「学生が自分で問いかけ、自分で解答を出す」ことは、オリジナルな成果につながり、モチベーションも上がるのではないかと思います。

私は「問う」から始まる響学スパイラルを、オリジナルなことができる「学びのカタチ」と解釈しています。私のゼミでも、学生それぞれが自ら面白い人生を歩んでほしいと伝えています。ひとりひとりが個性を持ってオリジナルなキャリアを築いてほしいですし、自分の人生を「こうしよう」と意志を固め、実現していけることは幸せなことだと思います。

いつもの授業のように、和やかに沢山お話くださいました


建築デザイン学科の学びとSDGs

CLS:太田先生の研究分野とSDGsの関連性を教えてください。

太田私は建築や都市のデザインを専門にしていますが、この分野はそもそもSDGsの全般に関連していると私は考えています。専門領域に特化して先細るのではなく、様々な分野の方と対話しながら、連携して社会を変えていくような領域だと言えます。例えば、スラムとは住まいが脆弱だったりインフラにアクセスできなかったりする居住地のことですが、そうした地域の住環境を居住者と一緒に改善していく取り組みは、「11住み続けられるまちづくり」だけでなく、多くの目標を包括した取り組みです。また、ヨーロッパでは古い建物に価値があるとされていますが、日本の住宅は新築の価値が一番高く、年数が経過するとどんどん目減りしていき、中古家屋の建物価値はなく、土地の価値のみが残っている状況です。SDGsの「つくる責任 つかう責任」からみると、これは果たして、持続可能な取り組みと言えるでしょうか。近年ではリノベーションやコンバージョンなど年月が経過しても使い続けられるデザインの実践が増えており、人間だけでなく建物も取り残さないようなアプローチと言えるかもしれません。このように建築デザイン学科の学びはSDGsの様々なゴールに関連した学びといえます。

展示はフィードバックが届くスタイルに進化するといい

CLS:今年度はCLSに展示スペースを設けしました。太田先生がCLSに期待することはありますか。

太田学生が授業成果を出して一番嬉しいことは、フィードバックをもらうことだと思います。建築デザイン学科ではデザインの課題提出が多く、時間制限のため選出された学生しか発表する機会がありません。時間の制約もあって難しいのですが、終了後に少しでもコメントが先生や友達からもらえると嬉しいだろうな、と授業運営を工夫しています。CLSでの展示がフィードバックに繋がる循環を作れるといいなと思います。

また、CLSに各学科の成果展示が集まることで、他学部他学科の学びを、「こんなことをやっているんだ!」と、学生たちが知る契機に繋がるのがよいと思います。このCLSの展示スペースに7学科分の研究室の紹介などが並ぶと、きっと面白いですよ。

他学科とのコラボレーション

CLS:武蔵野CLSスタッフは武蔵野7学科が集まって活動しています。SDGsの授業中に先生は「居住者との対話が大事」と話されていました。先生はこの学科と一緒にコラボレーションすると面白そうな学科はありますか。

太田:CLSのある5号館グリーンホールは建築家の原広司先生が設計していますが、本学にはもう1つ原先生の設計した附属幼稚園があります。建物自体は勿論かっこいいのですが、それ以上に園舎を使用する園児と先生たちが作り上げた遊び環境の密度が濃くて感動しました。例えば幼児の発達や遊び・心理などを研究されている先生とコラボレーションすると、もしかしたら新しい研究ができるかもしれないと思います。先生方がCLSの展示スペースで出会って、対話のきっかけになるとよいですね。教員がCLSにふらっと立ち寄る雰囲気があってもよいと思います。


いかがでしたか?
太田先生の工夫が詰まった授業運営を伺うことができ、よりSDGsへの関心が深まりました。
SDGs基礎のポスターは12/15(金)まで展示しています。
みなさん、ぜひ武蔵野CLSにお立ち寄りください。

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