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〈学習成果をカタチにする〉         書道 授業成果展                            廣瀨裕之先生 

こんにちは。武蔵野大学武蔵野CLS学生スタッフです。
武蔵野CLSにて開催中(2023/12/15迄)の授業成果展示を紹介します。
第4回目書道の展示について廣瀨裕之先生に伺いました。

廣瀨裕之
本学教育学部教授・専門は書道・書写書道教育・書道史
書家としてパリと東京新宿にて個展。中学校・高等学校・大学の書写書道の教科書編集執筆を経る。
現在、全国大学書写書道教育学会副理事長・毎日書道展審査会員・(公財)書道芸術院評議員・西東京市文化財保護審議会委員ほか。著書に「広瀬舟雲の書・パリ紀行」「刻された書と石の記憶」。ほか論文多数。

廣瀬先生の研究
田無神社・弘化二年銘「石盥」考 : 刻された書の 美の考察を中心として
著者 : 廣瀬 裕之  / 雑誌名 : 武蔵野教育學論集 / 発行年 : 2017-08-15https://core.ac.uk/download/pdf/132268821.pdf
■尉殿権現社(現・田無神社)の手水鉢と田無村の名主・下田半兵衛さんについて書かれています。

武蔵野教育学論集 第2号

武蔵野クリエイティブ・ラーニングスクエア   通称 : 武蔵野CLS
武蔵野大学 武蔵野キャンパス5号館にあり、学生の授業における到達目標のサポート、自学自習・グループ学習支援を主な目的として設置されています。
武蔵野キャンパス7学科所属の学生スタッフが運営。現在18名。
今年度 展示スペースを拡大して「学習成果をカタチにするとりくみ」を推進中。1階は86席 2階に54席。全館Wi-Fi・電源完備です。広々としたスペースを、ぜひご利用ください。

武蔵野大学 武蔵野クリエイティブ・ラーニングスクエア【公式】
@Musashino_MCLS

ずっと前から学習成果をカタチにしてきました

CLS:今年度からCLS内に様々な学習成果をカタチにするため、書道展示も可能なスペースを設けました。今後CLSに期待することは何でしょうか。

廣瀬 : 他大学を見ると、研究成果のポスターや作品等の展示スペースが図書館の一室の壁面等に常時確保されていることが多く、私は「本学にもあるといいなあ」と、赴任当時から熱望していました。しかしなかなか実現しませんでした。武蔵野キャンパスには1号館2階に古くからある「学生ホール」がありますが、移動壁面の老朽化で、近年では書道部等の展示以外あまり活用されていないようです。

ところが、今回のCLSにおける展示スペース創設企画は、まさにこの夢の実現であり、書道の掛軸展示もできる高さのパネルも完備され、とてもうれしく思いました。これからは、研究室から飛び出して、研究や活動の成果を、学内外に広く発信しつつ地域に貢献していくのが大学の責務だと考えています。ようやく武蔵野大学の智の発展を下支えするコーナーが武蔵野キャンパスにできたと、とても感激しております。

CLS2階展示スペース

今回CLSに展示した書作品は、武蔵野キャンパスの建つ地域への貢献の一環として、今年10月、西東京市民文化祭展示部門(会場は、市中央図書館隣の「きらっと」)に「武蔵野大学書道+造形」として参加し、出品したものです。例年、2年書道プレゼミ生は漢詩の草書による創作を、3年ゼミ生は、西東京市民の方々に喜んでいただけるように、ここのところ毎年「西東京市」・「田無」・「武蔵野」をテーマとした言葉や詩文の書を制作し、絵が得意な者は絵を添えてもいいとして伝えていました。田無神社の龍神様や田無タワーの絵を添えたものなどがみられますね。この書作品については誰でも内容が読めるように書かれていますので、市民の皆様にも親しみやすく人気の展示となっています。一昨年は、この展示に西東京市長もご来場され、激励してくださいました。来年度は、武蔵野大学100周年の記念すべきお祝いの年なので、これをテーマとした作品群をみんなで創作したいと考えています。

4年卒業ゼミではそれぞれ取り組む書の題材を決め、本学での4年間の学びの集大成としての掛軸や巻物などの大作を1年間かけて制作しています。そして完成作品の解説や完成までの制作・研究過程を記した副論をあわせて提出します。毎年1月中旬に、学生ホールで、卒業制作書展を開催。これはバラエティーに富んだとても見事な作品群です。ぜひ鑑賞にお越しください。

皆さん、卒業制作の展示も見にいらしてください

国際化とは日本の文化を学び語ること

CLS:廣瀬先生の授業では、大学生になって初めて科目としての「書道」を学ぶ学生も多いと伺っています。大学で書道を学ぶ意義は何でしょうか。

廣瀬:私の授業ではまず中国における、古代から現代までの漢字を中心とした文化、具体的には書体と書風の変遷の歴史や書の技法を学修します。その後、日本への影響と日本の書の古典と歴史を学びます。漢字は中国で生まれ中国で育ち、日本に伝わってきました。そこからまた日本では新たに仮名を創出しました。今やこれらの文字を用いる書道は、中国と日本の伝統文化として大きく発展しています。書道における両国の関係はとても深く密接です。私は、書を学習することを通じて、文字文化に興味を持っていただき、先人が守り育ててきた伝統文化を知り、さらに次の世代に伝え大切にする心が少しでも育ってくれればいいなと考えています。特に漢字について知識と愛着を深めてほしいと思っています。

書作品は縦書きがほとんどですが、国際化に伴い漢字と仮名と数字とアルファベットなどを含む現代の言葉に適した表現の「横書きの書」の世界も、これからは必要と考え、自らも実践して発表しております。書の文化は、日本と中国のものだけではなく世界に羽ばたいていってほしいと思っています。

本学に、中国・台湾・韓国からだけではなく、時には欧米からのお客様がいらっしゃると、紅雲台の広い畳の部屋で書会を催し、書作品を揮毫しあい、友好を図る場を設けています。また、海外のテレビ局から取材をしたいとの申し出があり、書道ゼミのみんなで書道パフォーマンスのようなことをしたこともあります。

これらは、まさに生きた国際交流ができる機会であり、ゼミ学生たちは緊張しつつも、片言だが会話でき、交流することができたととても喜んでいました。よく国際化の話題が出ますが、自国の文化が理解できなければ、他国の方に自国のことを正しく伝えられないため、とても大事なことだと考えています。これらの機会を契機として、自国の文化にさらに興味関心を深めてほしいとも思っています。

昨今ではパソコンを利用することも多くなっていますが、サインは自筆です。適当に書くのではなく、正しい行書や草書で書くと知的な印象を相手に与えられます。字がうまいと頭がよく見えるという利点があります。

1924(大正13年) 東京都中央区築地に「武蔵野女子学院」を創設 築地校舎玄関(上:写真)
出典: https://www.musashino-u.ac.jp/guide/profile/history.html

「1000年伝え続ける石碑」がコンセプト ~創立100周年記念碑~

CLS:廣瀬先生が手掛けられている、創立100周年記念碑制作について教えてください。

廣瀬: 本学の創立時は"武蔵野女子学院"という名称でした。1924年に現在の築地本願寺の一角に創設され、昭和初期に現在の武蔵野キャンパスの地に移転してきました。本学発祥の地、東京都中央区の築地本願寺の境内に来年2024年の創立記念にあたる5月に「武蔵野女子学院発祥の地」と刻された碑を本学院100周年記念碑として建立することとなりました。碑の裏側に100年の歴史が刻まれています。本学の歴史が石碑を通じて1000年後の未来にも伝わってほしいので、日本の石で一番摩滅しにくいといわれる庵治石(あじいし)を選びました。碑形も1000年間、建立時の形をなるべくそのまま保てるように、つまり摩滅する箇所をなるべく減らすため、余計な飾りはつけず、地震にも津波にも耐えられるように考案いたしました。庵治石は、香川県高松市の山から産出される高級石材で、 花崗岩のダイヤモンドと言われます。詳しくは別の機会にお伝えします。

今夏はほとんど毎日、本学書道教室でこの碑に刻すための書の制作に没頭し渾身の力を込めて揮毫しました。碑の完成そして除幕式をとても楽しみにしております。

武蔵野大学は200周年、300周年…1000周年祭ができる学校に永遠に発展してほしいと願っています

いかがでしたか。
どんな質問をしても、いつの間にか石碑の話題に辿り着く廣瀬先生の話術に圧倒された取材スタッフでした。
先生の関わった石碑の除幕式が楽しみですね!
書道展示は12/15(金)まで展示しています。
みなさん、ぜひ武蔵野CLSにお立ち寄りください

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