PSVR2とグランツーリスモ7がヤバい

 発売1周年を迎えるグランツーリスモ7。この1年色んな事がありましたが、2月22日に発売されたPSVR2でグランツーリスモ7をプレイしたところ、あまりのヤバさのあまり言葉を失いました。何がどうヤバいのか、ジャストで同じ趣味をもつ友人があまりにもいなさすぎたためはき出す場所が無く、今までNoteを使ってこなかった私がそのヤバさを書き留めておこうとNoteを残す事を決意しました。

1.描画がヤバい

1つめとして、まず描画がヤバいです。何がヤバいってGT7のグラフィックを劣化させず、なおかつFPSも落とさずHMDに描画させること。
表示させるだけだから別に?と思うかもしれませんが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のモニタに映像を描画することは右目と左目、2つの画面に映像を同時に描画する事になります。
PSVR2のスペックとして片目で2000×2040の解像度があり、両目にすると4000x2040の解像度になり、約4Kの解像度になります。
VRでゲームの世界に入るということはその世界に入りこむということ、それにも関わらずどんなに顔を寄せても粗がほとんど目立ちません。これは一体どういうことなの・・・これには2つの大きな技術が使われています。

アダプティブテッセレーション

 これはPS3時代のグランツーリスモ6から採用されたポリゴンの表面をなめらかにする技術です。
 通常はテッセレーションと呼ばれる技術ではありますが、カメラの距離などに応じてポリゴンの分割数を変化させ、効率的にポリゴンをなめらかに見せる技術。それがアダプティブテッセレーションと呼ばれるものです。

フォービエイテッドレンダリング

 上記で説明したアダプティブテッセレーション。効率的にポリゴンをなめらかに出来るとは言いましたが、ぶっちゃけ描画負荷はとても高いです。こんな負荷の大きいアダプティブテッセレーションを2画面同時にしかも数台分行うなんてとても恐ろしいことです、そこでPSVR2に搭載された視線の動きを追従する機能を利用して、フォービエイテッドレンダリングという機能で描画負荷を減らしています。
このフォービエイテッドレンダリングというのは、今このNoteを読んでいるあなたがこの文字を集中的に追いかけて文字を読んでいると思います。その今読んでいる文字の周辺は実際ぼやけて良く見えていないと思います。その性質を利用して、視線の先だけ高解像度で描画してそこから周りに向かうにつれて徐々に描画の解像度を下げて負荷を減らす。という技術です。

この技術を利用する事によりPSVRの解像度である4000x2040ピクセル全てのピクセル全てに描画処理をする必要が無くなり、描画効率が飛躍的に向上します。
 ちなみに、アイトラッキング対応のHMDを利用しても、ソフトウェア側でフォービエイテッドレンダリングをサポートしてないと使えない事が多いです。

2.光がヤバい

 ここまで、描画がヤバいという話をしましたが、ぶっちゃけそこまではヤバくはないです。ヤバくはありますがこの光がヤバいと比べたらそこまではヤバくないです。
 では、実際何がヤバいのか?と言うのを次は解説していきます。

Rec2020

 突然謎の暗号みたいな文字が出てきましたが、これは色空間と呼ばれるものの1つで、今まではRec.709と呼ばれる色空間で作られていました。これはsRGBと呼ばれる色空間に近く、sRGBという単語を聞いた事がある人もいるのではないでしょうか?
 へんてこな暗号を並べられてもよく分からない人が多いかと思いますのでかみ砕いて話すと、以前まではテレビの色表現の技術が進化して今までは出せなかった色が出せるようになり、その色に合わせて新しく作られた色の規格で、つまりこのRec.2020というのはRec.709と比較してもの凄く色鮮やかな表現ができるようになりました。

HDR

 さて、そのRec.2020。なんとHDRという技術と相性が良いです。
HDR????何それ?????というまたもや謎の単語がでてきました、これはハイダイナミックレンジと呼ばれるもので、この単語には色んな意味があります。ここで紹介しているHDRはテレビで使用されるHDR10というk
 ~中略~
 ということで、分かりやすく言うと「色を表現する階段の段数が多い」ということです。例えば同じ高さの中で階段の段数が増えていくとどうなるか?1mの高さに対して階段が3段だと見た目はギザギザしていますが、1mの高さに対して階段の5000兆段あると、それはもはや階段ではなくなめらかな坂と言って良いです。
 つまりHDRも同じことで、今まで使用されていたSDRという呼ばれるものは色空間に対して256段しかありませんが、テレビで使用されるHDRは1024段の階段があります。上のBT.2020ではRec.709に対してもの凄く色鮮やかな表現ができるようになったと説明しました。つまり色の幅が広がる→そのままの階段を使用すると色がギザギザして見える→せや!段数を増やせばええんや…!→HDR
 という形で、HDRを利用する事により色鮮やかでなめらかな表現が出来る様になりました。

BT.2020+HDR=光

 ここで本題の光がヤバい。に入ります。良く「HDRは色が鮮やか」という謳い文句を聞きます、これは間違っていないですが正確に言うと「光がヤバい」です。色というのは発光するものや、光が物体に反射して残った光の波長が目に届いた物を色として認識します。鮮やかではない色。というのは、暗い色が多いですね。つまり目に届く光のエネルギーが弱い事になります。逆に光のエネルギーが強ければ強いほど色が鮮やかになる。鮮やかになるほどの強い光を出せるということは「光がヤバい」ということです。
 かみ砕いていうと、PSVR2から発せられる光量が強く、通常のHMDでは体験できないような、太陽のまぶしさ。暗い中での人工光のまぶしさ。そのような光を体感できるようになったのです。
 GT7をプレイして「現実感が凄い」という事を話す人が多数いますが、今までのHMDでは体験できなかったRec.2020とHDRの恩恵が強く関係していると思います。

 ちなみに、HDR対応のHMDはあるものの。対応したソフトは限りなく少ないです。

PS5+PSVR2という最大のメリット

 ここでPS5とPSVR2に最大のメリットが出てきます。その最大のメリットとは「使用するデバイスが完全に固定されている」ことです。
 例えば、iPhoneやandroidのスマホ。テレビやPCのモニターの色を比較したことはないでしょうか?これはメーカーの意図・価格など様々な理由により画面ごとの色の違いが産まれています。
 ただ、GT7が現状使用できるデバイスはPS4とPS5。そしてVR体験に関してはPS5に限定されています。これは裏を返すとPS5とPSVR2に合わせて色をチューニングできるから、計測した数値の元、意図した色を確実に出せる事になります。これは、色の鮮やかさや光の強さも同様です。この環境下の中、PSVR2の為にチューニングされた光の表現は、PSVR2のスペックのなかでGT7の映像表現を最大限引き出す事が出来るようになるのです。

5.闇がヤバい

 闇がヤバい?どういうこと?ってなりますよね。これはPSVR2がディスプレイに採用している有機ELというものが関係しています。従来のHMDは価格や熱の問題などでほとんどの場合はLCDと呼ばれる液晶が使用されています。このLCD、なんと画面が真っ暗になってもうっすら明るいんです。それと比較すると有機ELは真っ暗。漆黒の闇に包まれます。この漆黒の闇に包まれた状態でHDRの光を浴びる。
もう光と闇のコントラストがヤバいです。

4.音がヤバい


 音もヤバいです。正直な所音の事は詳しくわかりませんが、PS5から3Dオーディオという機能が追加され、音の表現力が高くなったとの事です。また、GT7ではレイトレースという技術を利用して、発生した音が壁などに反射し聞こえる音なども含めて物理近似的にシミュレートされた音が立体的に聞こえるとの事です。映像に加えてこの立体的な音が加わる事により、現実感が更に強くなる感じがありました。
 具体的には車の音などもそうですが、反響音や環境音。音1つ1つに対する拘りをもの凄く感じます。ただBGMが鳴ってる。ただSEが鳴ってる。とは違う、HMDを被りヘッドホンをする事により、本当にその空間にいるような錯覚に陥る体験を感じます。

5.レースがヤバい

 さて、ここまでの現実感。実際にレースをしてみます。もはや現実です。HMDの映像は現実を見まごうような光につ包まれ、音もリアルに反響し立体的に聞こえます。迫力がヤバいです。
 ここまでリアルになると、逆に違和感が出るレベルです。「エンジンの音の振動を感じない…」「太陽の温かさを感じない…」もはやどんどん難しい欲求が出てきます。ないものはしょうが無い。そう思いながらPSVR2でレースをしてたら3台が1列に連なって走ってる横を高速で横切ろうとした瞬間、真ん中の車が突然はみ出してクラッシュ。

マジで心臓が跳ね上がりました。

それくらいにはGT7とPSVR2という環境は現実を強く錯覚する環境といえるでしょう。


6.価格がヤバい

 価格ヤバいよね…流石に高すぎるよね…と言うと思ったでしょう。違います。あり得ないほど安いんです。
 え…PS5は50,000円。PSVRは75,000円分かります。ぶっちゃけ高いです。
でも、例えばフォービエイテッドレンダリングをする為に、視線を認識する機能のついたHMDのほとんどは15万以上します。
 また、PSVR2以外で唯一HDRに対応したHMDはなんと250,000円します。しかもなんとコントローラーは付属しません。HMDだけでこの価格です。さらにこのHMDには視線を認識する機能がないので、その機能を付けるとおそらくHMDだけで300,000万を超えるでしょう。
 ちなみにPSVR2の解像度は、現行のHMDでは平均的なレベルのもので、大体40,000~50,000円ぐらいの価格帯と同じぐらいです。これ以上になってくると100,000~600,000円と価格が上がれば上がるほどスペックも向上していきます。
 ただ、これはあくまでHMDのスペックが上がるだけで、そのHMDのスペックを最大限に引き出すには高価なPCが必要になってきます。
 私がPCVRで使用しているものはPimax5Kという両目5120×1440解像度のPSVR2と同じぐらいの物を使っています。
 そしてHMDに映像を流すグラフィックボードというものがRTX2080Tiと発売当時20万ぐらいしたグラフィックボードですが、ゲームによっては30fpsぐらいしかでません。
 そのグラフィックボードを搭載してその他諸々詰め込んだPCが大体40万ぐらいですが。30fpsぐらいしかでません。
 しかも解像度を下げていますが。30fpsぐらいしかでません。
それと比べるとたった125,000円で700,000円近いスペックのPCVR体験が出来るというわけです。マジで安いです。
 それだけお金を詰んだとしても、現行のPCVRゲームでは体験できないHDR+VRを体験出来るのは、PSVR2ならではのの最高のVR体験ともいえるでしょう。

7.感動がヤバい

 以上を踏まえて。感動がヤバいです。
PSVR2+グランツーリスモ7。オススメです。


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