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野村克也の息子に怒られた話

唐突ですが、皆さんはプロ野球選手に怒られた経験はありますか?
僕は一度だけあります。100%僕が悪いし、最後はめちゃくちゃその人がカッコよかったのでその時の話をします。

僕は中2の頃友達と川崎市多摩区にある巨人の2軍球場に自転車でよく行ってました。距離にすると23km。
なんでそこまでして巨人の2軍が見たかったんだよ。巨人嫌いなのに。
一度友達が寝坊したと言い、後から23km1人で自転車を漕いでやって来たやつがいました。
なんでそこまでして巨人の2軍が見たかったんだよ。

僕に限っては別の友達とディズニーランドに行く約束を迷わずドタキャンして巨人の2軍球場に行ったことがあります。
なんでそこまでして巨人の2軍が見たかったんだよ。徳光和夫でも迷いはするだろ。

なぜ中2という多感な時期を全て巨人の2軍に捧げたかというと、、

サインが欲しかった。

ただそれだけです。なんでサインが欲しいのかは正直自分でもわかってなかったような気がします。ただとにかくサインが欲しかった。

「サインお願いします」毎度死ぬほど緊張しながら言ってた記憶があります。プロ野球選手からしてみれば、小砂利みたいな少年がオドオドしながら言うのが可愛かったのか気さくに応じてくれました。

そして事件は起こります。

当時巨人の2軍でコーチをしていた野村克則さんにサインを求めました。(もう2軍のコーチにまでサインを求める境地まで来ている)

野村克則さんと言えばノムさんの愛敬で親しまれた名監督野村克也さんの息子さんであり、その方自身もプロ野球選手として活躍され色々な球団でコーチをされてる方です。(※現役時代の登録名がカツノリだったので以下はカツノリさんと書きます)

いつものオドオドモードに入りながら微弱な声で「サインください」と言うと、今まで他の人には笑顔でサインを書いてたカツノリさんの表情が一変

「あ?なんて言うたかわからんのじゃボケェ
              はっきり喋れ」

なんか格言みたいな書き方になってしまいましたが、しっかりボケェと言われました。

いや、文字だけじゃ今一つ伝わらないか。ただ威圧感、口調がとにかく怖かった。冗談でもなく金剛力士像だと思いました。

ただ、ここまで来て怒られて帰るのもなと思い、結構大きめの声で「サインください」と言いました。

すると

「おう、それでええ」

「坊主野球やってんのか?」

「がんばれよ」

めちゃくちゃカッコよかった。先程の怖さは微塵も感じなかったです。これを機に頼みごとをする時だけははっきり喋るようになりました。
それ以外はまぁ

ただその時元プロ野球選手に怒られて、その後野球やってるんなら頑張れよってエールまで送ってもらったにも関わらず、その怒られた少年は何をとち狂ったか今吉本の芸人になってるんです。

物語のその後として一番奇妙でしょ。

そのサインは今でも大切に保管してます。

最後まで読んでくださった方誠にありがとうございました。








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