ムロタケイトの魂

今回は僕が12月に出演する舞台

劇団肋骨蜜柑同好会『殊類と成る』について記します。

画像1


"酔わねばならぬ"

気がついたら、見知らぬ駅のホームだった。
ここがどこなのかも、どうやって来たのかもわからない。
ぼんやりした意識の中で、男はやがてこんなことを考える。
一体これはどんな始末だ。
自分はもう、完全に人間ではなくなってしまったのだろうか。

偶因狂疾成殊類
災患相仍不可逃

今宵もあの山のどこかで
十六夜の月に照らされて



というのが本作のあらすじでございまして勘のよい方ならばチラシの絵とあらすじで『山月記』を思い出すかと思います。

台本執筆中ではあるのでどこまでかはわかりませんが本作『殊類と成る』は『山月記』を下敷きにというか影響をかなり受けた作品になると思います。

『山月記』中島敦氏の代表作で僕は確か中学校だか高校だかの教科書で読んだ覚えがあるんです。

皆様は知ってますか『山月記』。

画像2

当時学校の教科書で読んだときはほとんど印象には残っておらずしかし冒頭の一文「隴西の李徴は博学才穎(ろうさいのりちょうははくがくさいえい)」だけはやたらと記憶に残っております。

どんな話か雑に語るとある男が虎になっちゃった。

こちら青空文庫に全文掲載されております気になる方は読んでみてくださいませ。https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.html

まだ作品作りも序盤なためなにを喋ったものかと思うのですがネタバレを気にするのも非常に億劫なのでなんとはなしに山月記からなる自分の話をします。

所謂変身譚というものにあたるのかもしれませんが別に本の中でなくとも自分自身が虎ではなくともなにか自分ではないもの人間ではないものに思える瞬間というのはあるような気がしています。

主人公のりちょうは変身の原因を自身の醜い内心に相応しい姿に変わっていったからだと吐いていますがどうにも自分の内心が姿形に相応しくないと思う瞬間てありませんかね。

あるいは自分の内心にはこんな醜いものが潜んでいたのかと自覚したりとか兎に角内心と外皮のギャップといいますか。

例えば僕は今年の6月にあった『よしむらプロレス』という団体のプロレスの試合を欠場してしまいました。

その時は精神も体調も最悪でそれこそ内も外もわからん自分はいったいなんだというように混濁していたのですがその欠場した代打で参戦してくださった選手がこちら。


その名も『室田渓人の魂』

画像3

この仮面をかぶり血を全身に浴びているのが僕の魂だそうです。

参考までに現在の私はこちら。

画像4

これも何の写真なんだという気はしますが明らかな内外のギャップを感じます。

僕自身が一番驚きましたまさか自分の内心がこのような姿だったとは。

試合当日は布団で寝込みながらも実際俺の魂ってどういうことなんだどんなやつが出てくるんだとツイッターに貼り付いておりましたら唸るチェーンソーを携えてこの怪物が入場してきたんですからまあ面食らった。

当時の僕の内心はこういう状態だったらしいです。

それこそ山月記に当てはめるならりちょうが虎になってしまったなら僕は自分を追い詰めていった先にはこのモンスターになるということですかね嫌ですな。

しかし僕の不甲斐ない欠場を補ってくれたのだから異類の魂にはかなり感謝をしているんですが。

僕は自分の魂というか内心はこんな姿だと予想してたんですが違いました。

画像5

非常に見辛くそして絵が下手くそ。

このなぞの宇宙生命体みたいなのが自分の内心であると一時期本気で思っていました。

そう思うようになった敬意は省きますがやたらと肥大化した脳みそに一物がくっついてるイメージですね。

人としての手とか胴体とか諸々のパーツは全てなくなってデカ脳みそと一物と目とかろうじて足だけという。

今はまた違いますが当時の自分はこう思っていたみたいですね。

というように(どういうようにだ)半ば冗談混じりではありますが自分という人間の内に潜んでいる怪物なり獣なりなにか予想もつかない一面であったりそういうものを否応なしに感じる瞬間どうしようもなく飛び出してしまう瞬間というのは誰しもにある気がします。

それのかたちや影響は本当に千差万別でしょうし寧ろ中にはそういった異類のものに成ってしまいたいという人もいるやもしれません。

それこそ僕はどうにもうじうじと自分と虎との間をいったりきたりする時が最近は減りましたがしょっちゅうあります。

今回の作品『殊類と成る』がどこまで山月記ないしは中島敦の影響を受けるかはまだわかりませんがこういったなにがしかを内包した作品になるのではと大雑把に予感をしております。

まだまだ稽古序盤。
丁寧かつ挑戦しながら作品を練り上げていきたいと思います。
出演者の皆様の魂は果たしてどんなかたちをしているのか個人的に非常に楽しみにでもあります。
その片鱗は少しずつ見えてきました恐らく。

今後もたまにこちらのノートとツイッター(@ muro_kei)で舞台についての情報や主観を発信していくので気になりました方はよろしければ劇場に脚を御運びくださいませ。
皆様のもつ異類の魂も刺激するような作品にできたらと思っております。

最後に詳細を書いて終わります。

ありがとうございました。


劇団肋骨蜜柑同好会
『殊類と成る』

12月5日(木)~10日(火) @Geki地下Liberty

"酔わねばならぬ"

🌖予約/当日 3800円
当日劇場でのお支払を希望の方↓
https://rokkotsumikan.com/reserve/form?id=syurui&member=murota

🌙前売 3500円 (300円安)
事前支払いを希望の方↓
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/018ayy10iuzt9.html

🌕公演詳細はこちらをご覧ください↓
https://rokkotsumikan.com/stage/12th/

画像6

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?