落とし物語②
前回までのあらすじ
今年の3月にキャップを落とした私は、
ようやく重い腰をあげ交番に出向いたが、おまわりさんはお留守で、その場にいた蚊を仕留めて立ち去ったのである。
どうしても今すぐにおまわりさんに『落とし物をしました!』と言いたかった私は、その足で交番Bへ出向いた。
しかし交番Bも不在(パトロール中の看板あり)。
何となく、このまま帰りたくなかったので、その足で、先日入口のロールカーテンを降ろしかけたスーパーへ。
さらにその足で、ローソンへ(こないだ初めてカフェオレ買ったら美味しかった!夜に自宅で見る映画用)。
それから、最初の蚊の住まう交番へリベンジしようとしたら…何やら軽い事故があったようで、パトカーやおまわりさん大集結。
おまわりさんの自転車を見て、『そうか、蚊の交番もB交番も誰もいなかったのはこれか!!まだ時間かかりそうだから帰るか』
帰宅したわけである。
夜9時前、身支度を整え、いざ交番へ。
交番行く為だけに出かけるのって人生初かもしれない…
着くと、若めのおまわりさんが座っていた。
私がガラガラっとガラス戸を開けると、若めのおまわりさん(以下、若巡査)が緊迫感出しながら『…どうしました?』とすくっと立ち上がった。
私は、大丈夫ですよという口調で『落とし物です』と答えた。
『ではこちらに書いてください』と、落とし物の届け出用紙を渡され書いていると、若巡査がしきりにカレンダーを凝視。
よく見ると、白いカレンダーの手前で蚊がオラついている。
そういえば、線香の匂いを強くなっているのは蚊取り線香の台数を3台に増やしているからだ。
するお若巡査が、机に移動してオラオラ中の蚊をバンと仕留めた。
この交番は、蚊についてとても過敏になられている様子。よくわかります!私も夏というカテゴリで一番蚊が苦手。おばけよりも!
『実はさっき、こちらで大物1匹仕留めました』とちょっと言ってみたかったが、かなり実直な厳かな空気だったので、大人しくしているのが賢明であろう。
話は戻り、落とし物の形状や日付、推定の場所をかなり具体的な伝えたけれど、遺失物センターの私のキャップらしきものを、『ここで正解!』とは言えないようで、若巡査は奥の先輩警官のところへ。
かなり明るい元気な声で、『それなら飯田橋だなー!!先に電話してもらったほうがいいね!!!』と、先輩の声がもう全て筒抜けであった。
若巡査が飯田橋の電話番号を紙に書いている間、とにかく明るい警官は『今ここで、はい!こちらがあなたのものですね!と渡せる世の中でなくてですね〜1回お電話で問い合わせてもらったほうがいいかもしれません!!』と笑顔でお話し下さった。
最後に、遺失物届けに書いた落とし物の日付(いつからいつまでが2行に渡っている)について、『3月18日から11月11日までってどゆことですか??』と、とにかく明るい警官に問われ、『11月11日は、3月18日と同じ意味のチョンチョンです』と言うと、『アハハ!!これは11月11日に見えるなあ!!!』と本人(私)を前にして若巡査に楽しそうに言い続け、もはや私が見えてなさそうだったので、
『あの…それでは失礼します。ありがとうございました』と大人しく帰りました。
第二ラウンド 完
※写真は相変わらずちょうどいいのがないので、少し前に撮影したものを付けときます。