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お宅訪問〜暗転編〜

今年の夏。
友達が『某花火大会のあまり知られていない穴場を知っている』と教えてくれた。

それは、花火大会が開催される地区の地元民である彼女の家からすぐ近くの小高い場所だという。
以前、そこを歩いている時、迫力満点の大きな円形の花火が見れたらしい。
今回、そこで一緒に見ようと待ち合わせた。

開始10分前、その小高い場所には同じ目的らしき2組が待機していた。
友達は「具体的にどのあたりから見えたのかは忘れてしまった」と言っていたので、とりあえず1発目があがったら、様子見て移動する事にした。
次第に増えていく観客。これは大いに期待できる!!めっちゃ楽しみ〜!!!

しばらくして、バリバリバリッと音が鳴り、ビルの向こうの空が明るくなった!
2発目も、空を切り裂きながら立ち登るような音が鳴り響き、夕方の淡い紺色の空がたちまち緑や赤に染まるも、花火は見えず。

「あっちだ!」
友達が指差す方向に、観客たちが移動しはじめていた!小高い場所の端に、いつの間にか10人くらい。1箇所にだいぶギュッとなってるから、その範囲がベストポジションなのだろう。
我々もいそいそと、「混ぜてくださ〜い!」という雰囲気で加わった。

花火は高く上がると円形の完全体で見え、低めだと欠けたり見えなかったりの状態。
友達は『前は、家で見るのより、ここで見た花火の方が大きかったんだよ〜』と言っていたが、位置的に『花火会場→彼女のマンション→小高い場所』となり、「そんな事があるのか!?か、科学現象??」と私の知力では解明できないクエスチョンもあった。

30分くらい彼女の家越しに、花火が見えたり見えなかったりが続き…「もしかして、きみの家のベランダの方が見えないか?」と問うと、「うちは散らかってるからだめなのよ!」との事。
一度はあきらめたものの、彼女の家のベランダから花火会場までは特に遮るものがなく絶対よく見える事間違いなし!特に無理強いはしていないつもりだが、うちらの間柄上、何度かプレゼンさせていただいた。
「そしたら、ベランダまで目隠しするから!!」という一言が決定打かはわからないが、なんとお家に連れていってくれる事に!
途中、彼女はお家にいるお母さんにお電話しているようだった。

実はこれまでも、何度か彼女の家に入りたいアピールをしては「今度片付けたらねー!」「大丈夫!私は全く気にならないから」みたいな攻防戦を繰り広げ、隠されれば隠されるほど見たくなるというのが本能。
この時、『花火が近くで見れる!』という事より、『今まで上がれなかった友人宅についに上がる時が来た!』の方がインパクト大だったのかもしれない。
外で飼われていた犬が、とうとう家の中に入れた時の興奮と同じ感情だと思う。

さてさて、彼女の住まう家の前に着き、私は約束(勝手に自分でした約束)通りに、帽子を目まで覆い、目をつぶって中に入らせてもらった。
目を閉じた状態でインすると、お母さんが登場!そしてご挨拶!靴を脱ぐと、目をつぶっていたのでダンボールに大激突してしまった。
「あああ、ごめんなさい!」というと、「目を開けていいよ!」と言われ、そうさせてもらった。
すると…。

なんと、家が停電したかのように真っ暗だった!!!

彼女に導かれ、ゆっくり進んでいくと、奥の部屋に到達した。
ここも暗闇に包まれていたが、急に部屋が一瞬ぱあっと明るくなった。
開けたカーテンの間から、花火の光が部屋全体に広がったのだった。

花火の光ごしに、一番窓側でデスクチェアに座っていた人物がゆっくりくるりとまわり「こんばんは」と言った。その間も花火は上がり続け、逆光で顔は見えなかったが、初対面の弟さんだった。
こう言って大変失礼なのは重々承知なのだが、一番近い感覚は、『最後の黒幕の登場シーン』であった(本当にごめんなさい)。
こんな風にマンガの世界観での「はじめまして」は人生初!

その後、私は友人とそのお母さんとでソファに座って花火を眺めていた。
とっても近くて、花火の全てを堪能できるかなりの特等席。本当にお家に入れてくださってありがとうと感謝の気持ちでいっぱいだ!
ちなみに、どうやら家が暗転しているのは、花火がよく見えるようにする為らしい。すてきな発想!


すると、
弟「こんな良い所あるのに(友人の名)は外に見に行って残念だなって言ってたんだよ。なんで外行ったの?笑」
友人「そしたら早く電話してよー!お母さんがちらかってるからって言ってたから〜」
お母さん「私は言ってないわよー!笑」
という会話を、本当に連続で3回繰り返し続けていた。
お母さんとは昔ご飯に行った事はあったけれど(もちろん友人も一緒に)、弟さんは今日はじめましてで、まだお顔も見れてなかった状況だけど…どうしても今言いたくなった一言を言わせてもらった。

「何回、おなじ話をしてる…!!!」と。

その後も、見事な花火が続き、
最後の花火は、思わず全員が声が出てしまうような大迫力の美しさでした。
今年の夏、頑張ったご褒美のようでした。

家で見させていただいた彼女一家に、心からありがとうございます!です。

写真は手持ち花火大会をご覧ください

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