村田の経歴【IFA編】(4/4)
いよいよ最後になりました「IFA編」です。
「なぜIFAになったのか」
「証券マンでは実現できなかったこと」
「0件0円からどのように基盤拡大したのか」
「業務委託契約社員がなぜIFA企業をMBOしたのか」
等、現在進行形の取組みも含めてお伝えします。
では、さっそくお話していきます。
1.なぜ野村證券をやめてIFAへ?
冒頭「野村證券を辞めてなぜIFAへ?」に回答すると、
<対IBD>
①顧客と心理的距離が近いところで働きたかった
②IBD的ライフスタイルが思い描く幸せに合致しなかった
<対大手証券>
①看板がない証券マンとして挑戦したかった
②転勤なし、収益ノルマなしで顧客に向き合える環境を求めた
という理由だった。
2.IFA転身時、顧客は0件0円スタート
IFA転身時の顧客基盤は皆無で0件0円スタートだった。そのため資産形成層に対する「証券×保険×不動産」を中心としたアドバイスに注力した。毎年100名以上のお客様を通じて『保険・不動産の知識』『資産全体の管理方法』『紹介営業』を会得できた。これらが、資産運用層へのご提案にも活かされている場面は多い。
IFA&保険代理店への転身時に誓ったのは「提案内容はお客様にとってのベストを追求する」だった。手数料が10倍違っても判断基準はその人のためになる選択肢であること。せっかく大手証券を辞めたので挑戦したいことだった。そして紹介だけで業界5年目に突入できたのでこのスタンスは間違ってないと信じたい。
資産運用層のご紹介パターンは主に4つ
お客様
お客様以外(友人・知人)
パートナー(士業、各種事業者等)
お客様のご両親・ご親族
資産形成層の方とお会いしている時期はありがたくも④のパターンが多かったと思う。
証券会社からIFA(業務委託)として独立した理由は
「①自分の人生を生きたい」「②看板ナシで挑戦したい」だった。
「①自分の人生を生きたい」
組織人としての行動に窮屈さを感じており、やりたいことを純粋に追求できる環境を得たかった。
「②看板ナシで挑戦したい」
金融マンの付加価値の源泉は自分だが、看板ナシでそれが一層明確になるからだった。
IFA(業務委託)になって得たのは『生きてる実感』だ。家庭があると4畳一間というわけにもいかず生活コストはかかる。基本給はないため「動かねば〇ぬ」という感覚は常にあった。しかし成果がダイレクトに反映される環境は新鮮だった。これは給与キャップがある日系証券とは大きく違うところだと思う。
野村證券を辞めたとき、報告の順番は「妻⇒会社⇒実家」だった。母は応援してくれたが父は驚き、親戚中からも『アンタ考え直しなさい!』と電話が鳴りやまなかった。実家では三日間深夜2時まで会話したが折り合わなかった。1年ぐらいは不満の様子だったが活動報告を通じて漸く理解してくれたようだった。
転職時に『自分の人生だ!』と勢いづくのも大事ですが、お世話になってきた方達に応援してもらえるとやはり嬉しいものです。先に書いた失敗を踏まえて、弊社メンバーには可能な限りインタビュー記事を書かせてもらっています。これは「①周囲の理解を深める」「②初心を大事にする」2つの想いを込めているから。
3.IFA(業務委託)への転身の恩人
IFA(業務委託)への転身のきっかけは、先の保険代理店経編でも触れた、経営者キンノスケ氏(@Kinnosuke_Star)だった。
彼は当時「保険×証券×不動産」を標榜しており、IBD退職を迷っていた時『どうせ辞めるなら成功しかないですよ』と背中を押してくれた存在。そして入社からMBOに至るまで最大限に理解・サポートしてくれた恩人である。
キンノスケ氏は野村證券を経て、プルデンシャルで目覚ましい成果を挙げ金融ワンストップモデルで起業した鬼才。その後は人材事業・英会話事業を手掛け、現在はラッパーでHipHopチャート1位を飾り、いまは4月9日にプロデビューを控えるプロボクサーである。
#いつか半生が映画になるはず
4.雇われ社長➝MBOでオーナー社長へ
私のIFAキャリアは、
「業務委託IFA(個人事業主)」
⇒「IFA(雇われ社長)」
⇒「MBOによるIFA(オーナー社長)」
全ての立場を経験しました。そして、その都度「どういう生き方をしたいのか」を問いかけてきた。ちなみに人生の選択理由を掘り下げておくと、大抵の苦難に対抗できるので結構オススメです。
業務委託IFAから雇われ社長になるきっかけは突然だった。オーナーと散歩中、『村田さん、証券部門の代表やりませんか』と声をかけられた。プレイヤー志向で入社していたことは理解してくれており十分に考える時間を与えてくれたと思うが、結果受諾したのは恩に報いたかったからに他ならない。
雇われ社長の時は、最大限やりたいことをやらせてもらっていたので不満はなかった。しかし、グループ方針の変化もあり、雇われ社長であることのリスクも感じるようになってきたのも事実だった。
「お客様を生涯担当するIFA」が資本の論理で解雇される可能性もある。生涯の生業とするには不安定な状況だった。
当時はあくまでもプレイヤー志向であり、今後50年以上にわたるお客さまサービスの安定を図るには「所有と経営の一致」が必要だと考えていた。
選択肢は「①新規IFA会社発足」か「②オーナーからの株式買取」であった。①は顧客負担と無給期間が発生、②はM&Aレベルの話であり決断は簡単ではなかった。
そんなある日、急転直下でオーナーのキンノスケ氏と話が成立した。結果、IFA業界初のMBOという形でオーナー経営者になるに至った。
※参照記事➝https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000044380.html
彼の器のデカさエピソードがあるが、本人許可を得ていないので差し控えておく。今でも彼が行動指針になることも多く、深く感謝している。
#キンノスケ氏 (@Kinnosuke_Star)
雇われ社長時代にMBOの話が進んだきっかけはある企業からオーナーキンノスケ氏に買収打診がきたからだった。
驚くべきことに彼はその提案金額よりも低い金額でMBOに応じてくれた。「なぜ?」と質問したところ『自分の葬式を想像して人に恨まれるようなことはしたくなかった』と即答。本当に男前である。
M&Aはよく結婚に例えられる。年収も大事だけど最後は相性、みたいな話。IBD時代のロングリスト作成時には、経済的条件や外形的なシナジーが気になりがちだったが、大型M&AもIFA時代のMBOも最終的な合意は感情的な部分だった。貴重な体験をさせてもらったと思う。
5.金融業界に思うこと
振り返ると、IFAとして丸5年経ちました。順調であったり苦々しいことがあったり様々です。この経験が金融業界の肥やしになり、お客様のためになることを願って、金融業界の魅力・実践から生まれた経験・金融業界への想いを書いていきます。
キャリアとしてIFAが至高なんて言うつもりはなく、証券会社の人のキャリア形成の参考にもなれば幸いです。
役に立った経験・スキル
今も昔も富裕層営業に従事していますが、途中でコーポレートファイナンス(投資銀行)や資産形成層(保険代理店)を経たことで、遠回り感が拭えないことがありました。
ただこうした経験全てをお客様に活かせるのが、自由度の高い独立型金融アドバイザーだと思います。人生が価値に繋がるので本当に面白い。
投資銀行を経て活きたのは「企業組織や活動に対する理解」や「経営者思考への理解」です。野村リテール時代はB/Sに対する提案活動という感じでしたが、業界動向や企業戦略に対する理解が進んだためお客様の悩みに対して共感が増しました。共感力は想像力に繋がるので、ご提案の切り口が広がりました。
資産形成層を経て活きたのは「①ライフプランニング能力」と「②保険業務の経験と知識」です。
①は商品コモディディ化の流れで重要性が増すと考えますし、長期的関係を築く上で有用です。②は実務レベルで経験することで法人経営者に対する保障提案も自信が持てるようになりました。
金融業界の魅力
<金融営業の魅力①>
金融営業は「実力が数字としてダイレクトに反映される」世界です。年齢・学歴にすがる人々には何も保証がないシンプルな世界。 界隈の皆さんも先輩社員から身だしなみ・言葉遣い・マナー・金融知識・話す内容・声色・表情・身振りについてボコボコに指導されてきたと思います。
これも全ては総合力を向上して、信頼・顧客満足・収益を獲得するため。
ちなみに私の新卒初取引は忘れもしない33万円(東芝1000株×公募価格333円)でした。これが真っ当にキャリアを重ねると金額が億単位にグッと上がってくるのが面白いところです。
<金融営業の魅力②>
金融営業社会人1年目のとき、キザな先輩から『お前、同窓会楽しみにしてろよ。圧倒的に同級生より成長してるから。』と言われました。
冷静に考えれば失礼な話ですが、実際にシャカリキに取り組んできた事実は自信になるので【社交的な場で引け目を感じることは一切なかった】と記憶しています。
没頭できる環境を求めるのであれば金融営業は競争も激しく面白いと思います。
<金融営業の魅力③>
野村證券を選んで一番幸福だったことは、常に『尊敬できる人』が近くにいたことです。かつてはお食事会(飲み会や合コンとも言います)を通じて、様々な職場環境をヒアリングしてきた私ですが『尊敬できる人がいない。。』という話はよく聞きました。なので、これも魅力の一つなのかなと。
野村には自己の成長はもちろん他人の成長にも気を払い、厳しくも見捨てない方が必ずいらっしゃいました。このような人たちに囲まれると視座が自然と上がり体幹からしっかり鍛えられるイメージです。
独立してからお話しても、やはり気持ちの良い人が多いなと感じることが多いですね。
<金融営業の魅力④>
限界に挑戦できる。ここでいう限界とは"体力的"と"思考的"な意味になります。少し長くなりますが、お付き合いください。
金融業界には毎時、毎日、毎月で異常な目標数字へのこだわりがあります。営業マンは実績に関わらず、相当なハイプレッシャーをかけられます。そして見込みのお客様が尽きても、月が変われば新しい目標数字に向かって走らなければいけない。
絶望しかありませんが、到底無理な数字を前にしても「出来っこない」という思い込みの枷を外して、体力の限り行動するしかないのです。でも不思議と達成できるようになるんですよね。
これは人生において、結構重要かなと思っていて【20代は特にボロ雑巾のようになるまで働け】という言葉はこのためにあるのではと思います。
突破してきた限界値を知っておくと自分がどこまでアクセルを踏めば良いか分かりますし、限界を突破してきた経験があると困難を前にしても狼狽えない胆力が備わります。一生使えるスキルです。
私が独立をしてフルコミの世界に挑戦をしようと思ったのはこれまでの経験から「ここまでやればなんとか形になる」という感覚値があったからです。おかげで30代もボロ雑巾になるくらいのスタートでしたけど笑
My Little Loverの「自分の限界が どこまでかを 知るために 僕は生きてる訳じゃない」という歌詞とはまるで逆の話です。人は選ぶかも知れませんが、成長したい人にとっては最高の環境だと断言します。
身につけて良かった基礎習慣
【身につけて良かった金融営業基礎習慣】を5つ取り上げたいと思います。
①走りながら考える
②他責ではなく自責思考
③不安なこと嫌なことは書き出す
④想像するクセをつける
⑤人の時間を奪わない
詳しく解説していきます。
<身につけて良かった金融営業基礎習慣①>
【走りながら考える】は訓練次第ですぐに身につくスキル。何も考えてない人は、顔つきで速バレするので要注意。私も社会人1年目に『「ふぅ~疲れた」みたいな顔で帰ってくるな。帰社したら次何をするか考えながら移動しなさい。』と指導された。次の行動を意識するだけで行動の速度が上がっていく。
<身につけて良かった金融営業基礎習慣②>
【他責ではなく自責思考】は基本中の基本。商談が断られたとき、リスケされたときに相手のせいにするのではなく「何がだめだったのか、どこを改善できたのか」と瞬間で反省モードに入ることができると、ずっと成長できる。
他責思考の方は言葉尻から責任感の無さが滲み出てくるので要注意。人のせいにする営業マンは大切なことは頼まれません。
また、独立を考える人にとっても必須スキル。指導してくれる上司はいないので他責にしていると人がどんどん離れていくという静かな自滅パターンに陥る。
<身につけて良かった金融営業基礎習慣③>
【不安なこと嫌なことを書き出す】正直、営業は良いことばかりではない。気がかりがあれば週末も落ち着かない。そのような時は「不安なこと嫌なことを書き出す」ことをおすすめします。
まず不明瞭な不安要素が明確にできる。次にそれが「いま対処可能なのか」「考えても仕方ないことなのか」を客観的に判別できる。これだけで不安はかなり緩和されるはず。仕事の悩みは仕事で解決しましょう。
<身につけて良かった金融営業基礎習慣④>
【想像するクセをつける】は隙間時間に使えるスキル。例えば頭の中で商談場面をイメージする。
「席に着いた一言目は何なのか」
「商談の流れはどうするか」
「ゴールはなんなのか」
「想定質問は何があるか」
「回答はどうするか」
これをやる以前と以後では成果が如実に変化します。
#実体験
<身につけて良かった金融営業基礎習慣⑤>
【人の時間を奪わない】こと。これは独立すれば強烈に意識させられますが、企業勤めのうちは意識しないと身につかない部分。身につけるとお客さまと近い目線でコミュニケーションが取れると思います。
時間を奪う代表格は「目的のないアポを入れる」「だらだらと商談時間を過ごす」「ドタキャンする」。証券営業で経営者アポのリスケはまずありませんが、それだけ相手も時間に厳しいということを示していると思います。
6.最後に
さて、ここまで私の金融人生を4編にわたってお伝えしてきました。合計約1万6千文字という長文にお付き合いいただきありがとうございます。
振り返って私自身が、野村證券リテール➝野村證券IBD➝保険代理店➝IFAと経験してきたことを思い返すいい機会にもなりました。私が15年間を凝縮してお伝えしたので、なにか1つでも参考になるところや共感いただけるところがあれば幸いです。
私自身、今ようやくスタートを切ったような感覚です。まだまだやっていきたいこと、成長したい意欲があふれています。これからも、大小様々なチャレンジをしては、成功も失敗もしていくでしょう。しかし、それらを経験として消化し、最終的に自分の望んだ方向にもっていくのは、小さな泥臭い努力を積み重ねしかないと思います。
そういう意味で、金融業界は最高の環境だと思います。人間的成長が結果に直結する世界だからです。
私もこれまで多くの先輩方や仲間から学ばせていただいてきたから今があります。私の場合はたまたま運がよく、周りに超優秀な人たちがいて助けられてきました。上には上がいる世界ですが、私の経験がもしかしたら、誰かの役に立てるのではないかと思い拙筆ではありますが、筆を取らせていただきました。
少しでも日々の業務にお役立てて頂ければ、これ以上嬉しいことはありません。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
村田憲昭
P.S.
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