一歩踏み出したその先に広がった世界

私は10年以上精神疾患と戦い
時には寄り添いながら生きています。

外に出れないことの方が多かったこの10年。

引きこもることに慣れてしまい
外の世界には何も興味がありませんでした。

綺麗な景色を見ても綺麗と思えず
そんな自分が憎くて最低だと病んでしまう日も。

私の心はいつも曇り。
雨すら降らない日々が続き
心はどんどん干からびていきました。

そんな時に出会ったのがあるバンドの音楽。

当時の私は音楽も聴く気力がなく
前向きな歌詞にまた病んでしまうという
音楽は素晴らしいもので元々大好きだったのに
その大好きだったものが嫌いになってしまうことが怖く
聴かないようにしていました。

2020年~2021年の年越しの瞬間に
やっていた音楽番組を寝れないから
すごく小さな音で流し
少しでも年越し気分を味わおうとしていると
テレビの中から流れる音楽に
全身で私は体当たりをし
全身でそのアーティストの音楽を浴びに
テレビに近づいた。

明るい歌詞だけではなく
心の暗い部分の歌詞も歌っている
力強く繊細な声で歌う姿
その姿だけでも私の力になるとその日に確信しました。

すぐにそのアーティストを調べ
久々に色んな曲を聴き
完全に心を奪われた私は
もう数時間前の自分とは違った。

ファンクラブに入会し
その数ヶ月後に行われる予定の
ライブに申し込んだ。

次の日からライブに行くための体力作り。

数ヶ月引きこもりだった私が
1日1時間の散歩を夜にしている、、

その姿は自分なのに
何故か他人のように気がしていた。

一歩、たった一歩でも進めたことが
私の勇気になり希望の光が見えてきた。

数ヶ月が経過しライブの当日。
私にとっては外の世界との決戦の日でもあった。

心は快晴なのに少し雨が降っている。

少し重い足取りだった、、
直前で電車に乗ることが怖くなった。
「無理だ」と思いながらも
「今日は生で音楽が聴ける」と言い聞かせ
電車に乗り込んだ。

しかしそんなに簡単なことじゃなかった。
3駅に1駅くらいの割合で電車から降りて休む。
手の震えはずっと止まらないままで
30分で到着するはずだったのに90分近くかかっていた。

到着してから頓服薬をまた温くなったお茶で流し込む。
「私なら大丈夫」とひたすら心の中で唱え続けた。
普段ならこんなことも出来ないのに、、
何故か今日はポジティブな状態でいれる。

グッズの列に並んだ。
相変わらず私の手は震えたままで
こんなに人がいる場所も久々で
まるで違う世界に急に紛れ込んでしまった感覚。

グッズを購入し
人気の少ない路地のような場所に身を隠し
少しだけ自分の心を休ませる。
まるで鬼とかくれんぼをし息を殺して隠れていた幼少期のように。

開場時間まであと数時間、、、
この間に死んでしまったらどうしようと
ひたすら考え込むのが嫌になり
座れる場所を探して座り込んだ。

もう少しで開場時間だった。

再び私は会場に向かった。

たくさんの人が並んでいた。

一目散に自分の座席に座る。

少し落ち着いて深呼吸をすると
ライブ会場ならではの匂いがした。
この匂いは私は大好きだ。
それだけで少し心が落ち着いた気がした。

腹痛の予兆が突然襲いかかり
トイレに逃げ込む。

私が恐れていること、それは
ライブ中に腹痛に襲われることと
ライブ中に発作が出てしまうことだった。

自分1人ならいいけど
周りの人全員に迷惑をかけてしまうことが怖かった。

頓服薬をまた入場時に交換したドリンクで流し込み
何も考えないようにステージを眺めた。

あっという間に開始時刻が来た。

会場の照明が一気に消えた。
音楽が流れ始めて眩しいくらいの照明が
ステージの上の楽器たちを照らし始め
メンバーが入場してくる。

照明がパッと明るくなり
その照明に照らされる人たちは
テレビの中でしか見たことのない彼らと
イヤフォンからしか聴いたことのない音だ。

鳥肌が止まらなかった。
さっきまで恐怖で震えていた私の身体が
今度は興奮で震えてきている。

この日を心の底から待っていた。

私が好きになった音楽は私の心を動かした。
そして引きこもりの私を外に出してくれた。

音楽を全身で感じて全身で浴びる。
音符のシャワーが会場全体に降り注ぐ感覚だ。

そしてその場にいる全ての人の身体に
その音符のシャワーは入って行った。

そしてその音符のシャワーは
ここにいる全ての人の心を浄化していった。

ここにいる人たちはみんな彼らの音楽を
愛している人たちだった。

こんなに愛で溢れている場所は
今この時間の中で他に存在するのだろうか。

私の思考もそのくらい大袈裟に膨らんだ。

歌はもちろん
MCで語られる話は私のハートを突き破り燃えた。

生きる意味を教えてくれたのも彼らだった、
そして生きていれば必ず楽しいことが起きると
教えてくれるのも彼らだ。

その日から私の人生も変わった。
月1でライブに行くようになり
初参戦から2ヶ月後、遠征をした。

彼らの初アリーナを見届けるために
新幹線に乗り込んだ。

そして私はここ数年感動して泣くことなんてなかったのに
終始、声が出るくらい泣かせれた。

私に喜怒哀楽が戻ってきたのここの辺からだ。

そして初アリーナを成功させた彼らは
この日から有言実行を今日まで繰り返している。

夢を叶えても新たな夢を追いかけ続ける姿は
とても純粋で綺麗で透き通った水のようだ。

苦しい思いを何年もしてきた彼らだからこそ
見えている景色がそこには広がっていたのだと思う。


上を目指し夢を叶え続ける彼らに出会って
半年が過ぎた頃、、、

私には夢かできた。

何年ぶりの夢だろうか、、、

その為に私は勉強から始めた。
毎日、布団から出られなかった私の今の生活は
朝8時に目を覚まし1時間散歩をして
そこから勉強をする。

好きなことが私をどんどん進化させて強くさせてくれる。

小さい何年も開かないままだった
私の蕾が今は徐々に開き始め
開花に向かって日々を走り続けている。

枯れないようにたまに休憩しながら
誰よりもゆっくりとしか進めないけど
それでも成長を止めないように必死に生き続けている。

笑われたっていい。
もう何も気にしない。

また枯れてしまうくらいなら
何を言われても私は私らしく蕾を咲かせようと生きると決めた。


今までの20数年の私の人生は
枯れている時間の方が長かった。
それでも優しい言葉と共に注がれる水のお陰で
私は生きてこれたのだと思う。
その存在は母だけだった。
母1人でもその存在は何よりも大きく支えられていた。

そこの音楽もプラスされた今の生活は
今までで1番幸せです。

今後何も幸せが私の訪れなくても
私はこの日々を過ごせている今の環境に
すごく感謝しているし支えられている。

半人前以下の私が夢に向かって今
頑張ろうと必死に生きています。

毎日が晴れではないし
雨の日が続くこともあるけど
数は少なくても晴れの日があるからこそ
雨の日も楽しむことができています。

雨が降ったら傘をさして休むか
屋根のある場所でその雨が止むまで休めばいいんです。

挑戦することの大切さを
私の好きなアーティストは教えてくれました。

病んでいると挑戦できない日々が続きます。
急に大きなことに挑戦しなくてもいい
小さなことでもそれは挑戦なんです。

自販機に行けた。
コンビニに行けた。
少しでも部屋から出れた。

もうなんでもいいんです。
あなたが「挑戦」だと思えばそれは誰になんと言われようと「挑戦」です。

心を休ませるには自分なりの速度がとても大切。
長距離マラソンに例えて
周りに抜かれようと後で抜かせばいいんです。

抜きたくなかったら無理に抜かなくてもいい。

ちょっとずつあなたの速度で生きれれば大丈夫。

真っ暗なトンネルから
一歩踏みだしたその先には
明るい光が真っ直ぐ私を照らし出し始めた、、、


#一歩踏みだした先に

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