【データ検証】道悪になったら○○が良い、○○が悪いは本当なのか?(芝編)

しっかり調べてたら結構時間が過ぎてしまいましたが、宝塚記念は重馬場となり、大外一気でブローザホーンが勝利しました。
宝塚記念だけでなく、これからの季節は雨予報どころか予報すらないゲリラ雷雨も発生します。
そこで、道悪(稍重、重、不良)になった際の傾向を調査し、巷でよく言われる「道悪になったら○○になる」「道悪になったら○○が良い」「道悪になったら○○が悪い」を調べてみました。
結構な労力になったので、まずは芝だけでお許しください。
なお、距離・競馬場は不問にしてます。
※データ期間:2022/6/24~2024/6/24


Q.道悪になると荒れやすくなる?

まず、道悪になると難しい、荒れる、人気馬が信用できなくなるといわれます。(筆者の感覚です)
それが本当か、調べてみました。

1~5番人気馬の馬場状態別成績

まず、1番人気馬の勝率~複勝率は明確に良馬場が合計平均を超え、それ以外(道悪)は合計平均を下回っている。やはり1番人気馬の信頼度は落ちるといえそうだ。
そして、2,3人気はややばらつくが、4,5番人気は明確に道悪のほうが合計平均よりも好走率が高い。
1番人気が信頼できない分、2番人気~5番人気くらいの上位ライバル馬たちの好走率があがりそうだ。

8~12番人気馬の馬場状態別成績

どれくらいの人気馬をピックアップするかは迷ったが、道悪はやはり道悪のほうが好走率は高い。一方で良馬場の人気薄好走率は低い。
というわけで、タイトルに対する答えは「YES」でよさそうだ。

Q.道悪は斤量が軽いほうがよい?(重いほうが不利?)

雨が降ると背中に背負う斤量がより不利になるという話をどこかで聞いたことがあるようなないような・・・どっちにしてもデータでわかるはずなので調べてみた。

斤量ごとの馬場状態別成績

最軽量の「~49Kg」は良馬場で強そう。
しかし、「49.5~51kg」は稍重がベスト。
重いほうに目を移すと「57.5~59kg」は道悪のほうが良さそう。
という感じに斤量と馬場状態に相関しそうな傾向が見られなかった。
よってタイトルに対する答えはNoになるだろう。

Q.小さい馬のほうがよい?(馬体重が軽い馬のほうがよい?)

ステイゴールド系に代表されるような小柄な馬のほうが走る印象がある。ただ一方で、大型で力のある(?)馬のほうが良いという意見もある。果たしてということで調べてみた。

馬体重帯ごとの馬場状態別成績

結論から言うと、境界線は480kgかもしれない。
というのも、479kg以下はすべて良馬場が各馬体重帯の合計平均を下回り、稍重以上のどこかで上回っている。
一方、480kg以上になると良馬場は各馬体重帯の合計平均を上回っている。
やはり、馬体が小さいほうが道悪の好走率が高いと考えて問題なさそうだ。
一方でスピード馬場はやっぱり大きいほうが強い。
そう思うと、ディープインパクトってすごかったんだなーと思うわけです。
タイトルに対する答えは「YES」でいいでしょう。

Q.道悪は外が伸びるようになる?内は苦しくなる?

雨が降ると、内側が荒れ、外側がのびるようになる。ただし、あまりに悪くなると内も外も悪くなり、結局はロスのない内枠がよくなる・・・と諸説は多数ある。
というわけで調べてみました。

枠ごとの馬場状態別成績

かなりばらけたので、馬場4状態ごとに見てみたい。

良馬場:1枠から6枠がよい。7、8枠は良くない。
稍重:1枠から3枠が良くない。そして6枠から8枠が良い。(4枠は良いが5枠が悪いので真ん中はフラットと判断)
重:1枠と7枠がよい。(8枠も悪くない)他はイマイチ。
不良:1枠、2枠、5枠、7枠がよい。他はイマイチ。※母数が少ないので注意

これをどう取るかだが、まず重・不良は内・外で偏りが出たというよりは個々でばらけた。よって、重馬場以上になったらもう枠はその時の傾向、もしくは考えないほうがよいだろう。
そして良馬場は6枠までが及第点で7枠、8枠はやや劣る。基本的にロスはよくなさそう。
一方稍重くらいの馬場がちょうど内枠が荒れてきて、外枠が走るようになるという傾向が数字に表れているように思える。これがよく言われる馬場が荒れてきて外が走るようになるという論拠だろう。

タイトルに対する答えは・・・「稍重はYes」で。。

Q.道悪は前が残るようになる?

道悪になると、切れ味が生かせずに前が残るようになる。というのはイメージとしてはあります。あとはタップダンスシチーのJCのように大レースの道悪前残りも記憶に刻まれています。
これについて調べてみました。

脚質ごとの馬場状態別成績

これも、前なら道悪、後ろなら良みたいな傾向がでなかったので、並び替えてみるが、まずマクリはそもそも強い馬ができる芸当ですべての馬場で数値が高いので、いったん除外する。(決まりやすいのは道悪の模様)
ただ、大前提として前からのほうが強い。その点は忘れずにあくまでも各脚質のパフォーマンスが馬場状態により上がるのか、下がるのかの視点で見てほしい。

良馬場:中団からの馬がパフォーマンスをあげる。
稍重:逃げ・先行の馬がパフォーマンスをあげる。
重:先行・後方の馬がパフォーマンスをあげる。
不良:逃げ・先行・後方の馬がパフォーマンスをあげる。

いわゆる差し馬はやはり良馬場で切れる。これは間違いなさそうだが、では追い込みはというと、重・不良のほうがよい。スタミナを溜めたほうがよいということだろうか。
また、逃げ・先行馬でみると、道悪のほうがやはり良さそう。重馬場の逃げだけがパフォーマンスを落としているような数値を示しているが、それでも稍重と不良であげているのあれば逃げ馬は道悪のほうがよいとみてよいだろう。
タイトルに対する答えは「YES、ただし追い込み馬も突っ込んでくる」

Q.道悪はでディープ産駒が走らなくなる?

これはもう個別種牡馬の話になりキリがない。調査期間中の勝ち鞍上位20頭で調べてみた。
まず道悪でパフォーマンスを下げていそうなのが、ロードカナロア、そしてディープインパクトだった。

ロードカナロア産駒、ディープインパクト産駒の馬場状態別成績

そして、以下の種牡馬たちは良馬場よりも道悪(稍重以上)のほうがパフォーマンスをあげていた。

道悪がよさそうな種牡馬たちの馬場状態別成績

ということで、タイトルへの回答については「YES」でよいだろう。
宝塚記念でジャスティンパレスを選んでしまったのは失敗だったが、ブローザホーンのエピファネイア産駒も馬場の渋化はイマイチなので、こういうのはしっかりと個体で見るのが良さそうだ。

エピファネイア産駒の馬場状態別成績

まとめとExcelデータ

おおよそ巷に出回る説は決して間違ってなさそう、という結論が出た気もするが、細かくは道悪でも稍重・重・不良で傾向が異なるのがわかる。実際馬場状態は水物であり、全く同じ馬場というのは基本的には再現されることはない。ただし、マクロでざっくり知っておくと予想の際には効率化できるはずなので、ぜひ参考にしていただければと思う。
ダートも近々やります。




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