きむすば劇場『オムニバース』ネタバレ有感想

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12月24日までチケット買えますので、見逃しちゃったけどどんなのかネタバレでも読んでみよか?みたいな感じでこれを読んでくださってる方、まだ間に合いますのでネタバレ読む前に是非本編を見てみてくださいまし。

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劇場でオムニバースを観た直後、友人とご飯を食べながら感想を言い合いました。


むらまさ「あれはほぼラーメンズだった!!」

友人「いや、あれは木村昴と浅沼晋太郎!!」


僕はラーメンズファン、友人は声優さんや2.5次元舞台に親しむ界隈のお方。
それぞれが一番見えてる部分が違うって感じでしょうかね。


では、内容に触れつつ改めて感想を書いてまいります。


1・『声優 声優』

声優・木村昴と、声優・浅沼晋太郎が、低予算の洋楽の吹き替えをしているコント。
本職ならではのリアリティのあるアフレコシーンの中で、安普請のスタジオの機材の不調で所々音声が途絶えてしまうと言う内容。
声のお芝居、喋りの良さで勝負する声優さんのコントで、声を出さない事で笑いを取ると言う思い切った作りのお芝居でしたねw
ラーヲタの僕としては、「これが小林賢太郎と片桐仁だったら…」なんて思ったりもするんですけど、やはりこれは木村昴と浅沼晋太郎だからこそのものだったような気もしますね。
顔が濃く動きも大きい木村昴の無声の演技があってこそだと思うし、美形美声、芸達者な浅沼晋太郎のあの素晴らしい演技が突然途切れてしまうってところで笑いが生まれる面もあると思いますし。


2・『シェフ 雑誌編集者』

突!!!
THE 小林賢太郎!!みたいなコントですかねw
出てくるのはシェフ・木村昴と、雑誌編集者・浅沼晋太郎。木村昴が好きになったお客さんへ記したラブレターを、浅沼晋太郎が添削するコント。
言葉遊びは小林賢太郎の得意技ですね。
突!!もそうだし、木木村村とか、シェフシェフとか、なんかつい口に出して言いたくなってしまう言葉を詰め込めるコバケンは凄いと思うし、あれを活舌良く聞き取りやすく、そこに居る人物同士の会話として消化できる役者二人の技量の高さに感服した作品です。
テーブルクロス引き失敗するところは、ラーメンズ的に言うと確実に失敗するだろうなと思って、実際きむすばがそれをやる前に笑ってしまいましたねw

すましきどきどがねむとうもおをたなあ


3・『入国審査官 バックパッカー』

入国審査官・木村昴とバックパッカー・浅沼晋太郎のお話。
ここまで比較的常識人で学のあるキャラクターをやってきた浅沼さんが、一転無頼で怪しげな人物を演じていて、演技の幅の広さが流石ですね。ラーヲタの僕からすると、浅沼さんは小林賢太郎味があってとても好きです。浅沼さん、舞台の演出とかなさるとても多彩な人でその辺もよく似ております。
木村昴も、「何をやらせても木村昴」みたいな、貶してるつもりでも最大級の誉め言葉で語られる事のある声優さんですが、ラーメンズで言う片桐仁のように、見た目や存在感の特異性だけを見られがちだけどその裏にある確かな演技力が光りますね、真面目もおふざけもどっちも説得力のある「木村昴」。


4・『宇宙海賊 客室乗務員』

ラーメンズが好きな人なら「これ、ラーメンズのアレじゃん!!」って絶対になるコントですね、ラーメンズ第10回公演「雀」の中のひとコント、『プレオープン』を、殆どそのままリブートしたような内容になってます。
テーマパークのメカ宇宙海賊を木村昴が、お客さんにアトラクションの説明をするキャストを浅沼さんが、それぞれ演じております。ラーメンズだと前者がギリジン、後者をコバケンがやってましたね。
ラーメンズで見た時はやはり「お笑い、コント」なんですけど、きむすば劇場では「シチュエーションコメディ」って感じがしますかね。ラーメンズと比べて衣装がしっかりしてると言うのもありますが、よりリアリティ…テーマ―パークっぽさの深みのある演技によりテーマパーク感が増してると思いました。
「おがくずでーす」が無かったのは少し残念でしたねw
メカメカしい動きの木村昴は圧巻ですし(どうやら瞬きもしてないらしい)、47歳にして可愛い浅沼晋太郎はヤバイっすw
あと、twitter(現X)で読んだんですが、管制塔の声も浅沼さんなのね、見返すと確かに…やはり演技の幅が凄い。


5・『教師 教師』

生徒に人気の体育教師の木村昴、生徒とコミュニケーションをとるのが苦手な理科教師を浅沼さんが演じております。前のコントでキラキラの衣装でハイテンションな演技をしていた浅沼さんが、ここでは陰キャの理科教師をやっていて、高低差ヤバくて風邪ひきそうになりますw
女性にモテるの下りが卑怯ですよねぇ、これはラーメンズが演じると「そんなわけねーだろw」的な笑いになるんでしょうが、浅沼さんが言うからこそ説得力が抜群で面白い、このユニットならではの笑いでしょうね。
ボールが落ちてくる下りは、なんというか小林賢太郎フレーバー満載で、落ちてくる前から「こりゃ昴さんが落とすなw」と思って、そのシーンが来る直前にそれを想像して吹き出してしまって、普通に黙ってコントを見ている人に申し訳なく思ってしまいましたw 模型飛行機が引っかかるくだりもそんな感じでした。分かってるのに笑ってしまう!


6・『声優の卵 声優の卵』

両者ともに声優の卵、彼らを審査する面接官を代わる代わる演じる最後のお芝居。
ラーメンズの第8回公演「椿」からの『インタビュー』と言う作品を彷彿とさせる、突飛なキャラクターを交互に演じる作品となっております。どっちが演じる声優の卵も、「苺あかーい!」とか言い出しそうでしたねw
更にそれぞれが演じる役を変える際にくるりと回る演出が、「CHERRY BLOSSOM FRONT345」の『レストランそれぞれ』を想起させる感じで、やはり僕は「ラーメンズっぽい!」ってなりましたね。
これまでやったコントの色んな部分が一つに纏まっていく感じが、小林賢太郎フレーバー満載で好みでしたねぇ。
しかし役者さんの演技の上手い事。
ラーメンズの『レストランそれぞれ』も、コバケンとギリジンが複数のキャラクターを演じるコントなんですが、そちらはやはりどのキャラになってもコバケンとギリジンなんですが、『オムニバース』の二人の切り替えはもう違う人物になっている感じでキャラが変わってましたからねぇ。
本職の役者さんってことなんでしょうが、流石声優さん、声のトーンだけで違う人って思えます。木村昴なんかはどのトーンでも「木村昴」ではあるんですが、それでも違う人って気がしますから、やはり声の演技の技量の高さなんでしょうね。
浅沼さんの方はもうなんなら声も変わってる感もありましたから。


このような、全部で6つの短い物語がオムニバス形式で披露されましたが、その1個1個は独立してるように見えた各コントが、1個に集合して出来上がったのが、『オムニバース』でした。
オムニバースと言う言葉、wikipediaでみたところ「概念上可能なすべての宇宙(ユニバース)の集合体」らしいんですが、僕はこの作品で初めてその名前を聞き、なんとも小林賢太郎っぽい名前の付け方だなと思いました。
そういえばこの演劇、6つの作品の転換の時間、演者が舞台の上に残ってそのまま客前で着替えつつMCをすると言う変わった趣向をやっていて、それも含めてとても楽しかったんですが、その時に行われた雑談のような演者二人の会話の中で、どうやら各コントに出てくるそれぞれの「木村昴」「浅沼晋太郎」は、彼らの「こうしたい」「ああしたい」のような展望が反映されたキャラクターになっているようで、彼らが思い描く色んな自分たちの集合体と言う作品だったんでしょうかね。


そんな中、僕が何より今公演を「ラーメンズっぽい」って思ったのは、所謂お笑いの「ボケ」「ツッコミ」の役割をどちらかが担っているわけでは無く、それこそラーメンズがやってきた「非日常の中の日常」「バカ二人」って感じの内容だったところですね。
ラーメンズだと、変な人物や可笑しな発言を繰り返す人物が沢山出てきますが、それらは登場するキャラクターとしては面白い事を言おうとしてたり、笑わそうとして捻った事を言ってたりするわけじゃなく、その非日常的なキャラクターの中で普通の事を言ってる、それが僕ら日常の世界から見ると面白い、と言うシステムなんですよね。
それがこのオムニバースには踏襲されていたような気がします。木村昴、浅沼晋太郎が演じる各キャラクターは、非日常と言うほど珍しかったり変だったりするものではありませんでしたけど、それらのキャラクター達として見るとギャグを言ってたり笑いを取ろうとして言ってたりするのではなく、あくまで大真面目、血の通った人物同士の会話の結果なんですよね。
ひょっとしてコントなんてのは大なり小なりそんな感じなのかもしれませんが、僕はオムニバースを見てよりラーメンズのそれに近いなと感じました。作演出がラーメンズの頭脳小林賢太郎なのであり前と言えば当たり前なんですが、想像の何倍も彼の風味が濃厚でファンとしては嬉しかったです。

一方で、じゃあこれをラーメンズの二人がやったらどうなるのか…?
想像出来るところもあり、出来ないところもありました。
ラーメンズはお笑い芸人、木村昴浅沼晋太郎は役者、なんて乱暴な分け方をしてみたところで、ラーメンズだって二人とも役者としても活躍してたりするわけですし、声優のお二人もコメディ的な作品に出演してたりするわけで、実際はそこまで明確にカテゴライズできるものでは無いわけで。
ただ、この記事を書くのにラーメンズの「インタビュー」と「レストランそれぞれ」のコントを見直してみたりもしたんですが、やはり今見てもより笑えるのはラーメンズの方でした。
では、オムニバースの各作品がそれらに劣るかと言えばそんな事も無く、今の時代の、木村昴浅沼晋太郎により演じられた作品たちの完成度も世界への没入感も物語としての深みも、今回見た作品の方が勝っていたようにも思います。
要は、似て非なるもの。
ラーメンズっぽい!と思った僕の考えが間違ってるとは思いませんし、いや、そうじゃない!役者二人の作品だ!と言った友人の言葉も、今となれば頷けます。これは令和のラーメンズではなく、「きむすば劇場『オムニバース』」だったんですね。
オムニバースで二人が演じる各キャラは、二人の役者さんの当て書きみたいなところもありますし、二人にしか演じられない…と言うと言い過ぎかもしれませんけど、二人が一番うまく演じられるキャラクター達ではあったのかもしれません。
彼らの演技、技術、対応力と爆発力でこそ、輝く公演だったのは間違いありませんね。

ラーメンズ、小林賢太郎ファンの僕としては、上記の如く彼の影響が完全に分かる作品で嬉しくもあり、しかし他方「ラーメンズ色を出し過ぎてはいないか?」と言う懸念も、実は観劇後持ってもいました。
宇宙海賊×客室乗務員なんて、書いた通り焼き直しでしたからね。
これを今回演じたことに関して、どういう意図があったのかは僕には分かりません。きむすば劇場の主催で有り唯一の所属役者である木村昴さんが、大好きだと言う小林賢太郎に依頼して今回の『オムニバース』完成に至ったと言う事らしいんですが、木村昴が「ラーメンズっぽく」とオファーしたのか、小林賢太郎が「ラーメンズっぽく」作りたいと思ったのかは知る由もありません。
ただまぁ、長いとは言えないけどそれなりの年月小林賢太郎に接してきた身とすると、自分たちが演じた作品を、自分にオファーをくれた「声優」を生業としてきた人たちが演じた時にどう化学反応を起こすのか、彼の頭のコンピューターで演算した結果、それが良い結果を生み出すと思い至ったからやってみた、みたいな感じだったんじゃないかと勝手に思った次第です。

木村昴、浅沼晋太郎の能力を見たから、その演目をかけることが出来たんじゃないかな、と。
ま、僕としては、最初の観劇後にtwitterに書いた自分のコメントが(特段良い反応はありませんでしたけどw)、結構気に入っておりますので、それをここに再掲して、感想の締めとしたいと思います。


「木村昴と浅沼晋太郎の盛り合わせ、小林賢太郎風味」

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