メニエール病について
遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、今日はメニエール病のおはなしです。
大学病院を離れもう4年近く経過しようとしていますが、難聴を患った方を診察する頻度は変わらず「少なくない」ことを実感しています。
また、難聴の原因の1つであるメニエール病を診療する機会は予想よりも多い、という印象です。
そこで今回はメニエール病についてまとめてみました。
※難聴、めまいに関してご興味があれば以下をご覧ください。
メニエール病ってどんな病気?
簡潔に説明すると、めまいと難聴(もしくはどちらかを)を「繰り返す」病気です。この「繰り返す」というところがポイントです。また、経過中に聴力が変動することも特徴です。
メニエール病は、一昔前の人(失礼)にとってはめまいの原因としてちょっと有名な病気です。しかし、そのほとんど(90%以上)が実際にはメニエール病ではありません。特に耳鼻咽喉科以外の病院で診断されたメニエール病のほとんどは誤りです。ご注意ください。
どのような方に多いか?
几帳面で真面目な性格が多く、発症要因として精神的過労,肉体的過労,睡眠不足が多いです。また、梅雨や台風による気圧の変化はメニエール病の発症に関係しており、天気が悪い日に発作が出現することが多いです。
<メカニズム>メニエール病はどのように起こるのか?
「内リンパ水腫」というメカニズムにより引き起こされます。ざっくり説明すると、耳の器官(前庭、蝸牛)の中でリンパ液の循環が滞ることで浮腫み、水ぶくれが生じてしまい、神経伝達がうまくできなくなることで難聴やめまいが発症します。
<治療法>メニエール病の治療法とは?
クスリを使った治療
基本的には急性感音難聴に準じて行います(↑の感音難聴のリンクをご参照ください。)が、メニエール病には加えてイソソルビドという利尿薬を使用します。利尿薬によって耳の器官の浮腫みを解消することを狙うのです。また、同様の効果を狙った漢方薬を使用することもあります。
そのほかの治療法
そのほか、特殊な機械を用いた中耳加圧療法や、耳の器官の一部を開放する手術療法がありますが、一般的とは言い難いです。特に手術療法は難治性である場合に適応があるとされています。
また、水分をわざと多く摂ることで浮腫みの解消を狙う水分摂取療法がありますが、場合によっては持病の悪化を招くので安易に行ってはいけません。
メニエール病と診断された方へ
残念ながら、メニエール病を完全に克服することは難しく、うまく付き合っていく必要があります。
日常ではストレスのない生活を心がけましょう。しんどいときは適度に休みをとり、リラックスできる時間が作れることが理想的です。
また、一口にメニエール病と言っても経過は様々で、悪くなるタイミングや発作の期間も人によって異なります。自分の発作が起こりやすい状況を把握しておくことも大事です。
ゴッホとめまい
さて、以前めまいの記事でも触れましたが、かの著名な芸術家であるゴッホはめまいを患っていたことは有名な話です。
そのめまいの原因がメニエール病であった説があります。
さらに、少し怖いこちらの自画像は、メニエール病による難聴や耳鳴りに悩んだゴッホが自分の耳を切り落とした後のものだと考えられています。
もちろん、耳を切り落としてもメニエール病は治りませんので、決して真似しないでくださいね。
さいごに・・・
タイトルのサムネイル、分かった方はいらっしゃいましたでしょうか。かつて、俳優の織田裕二さんが出演していた目薬のCMです。
目に目薬で、目にエールを………メニエール!
最後までお付き合いいただきありがとうございました🙇♂️
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