見出し画像

抗菌薬の適正使用について

みなさん、こんにちは。2022年4月より、耳鼻科領域における抗菌薬こうきんやく(=抗生物質こうせいぶっしつ)の適正使用への指針が強化されることになりました。

そこで、今回は薬剤耐性菌やくざいたいせいきんや、抗菌薬以外のクスリについて説明したいと思います。

抗菌薬こうきんやくとは?

抗菌薬とは、抗生物質こうせいぶっしつという言葉をより正しく表記した言葉です。菌、すなわち細菌さいきん」に有効な薬剤です。

かのコロナウイルスをはじめとしたウイルス、カビ、寄生虫きせいちゅうなどには効きません!

抗菌薬の使用によるデメリット

一番のデメリットは薬剤耐性菌やくざいたいせいきんの出現です。

1919年に抗菌薬が発見されて以降、抗菌薬の開発は耐性菌とのたたかいでもありました。抗菌薬の乱用は薬剤耐性菌を生んでしまい、薬剤耐性菌による感染症は特に身体の弱った方にとっては致命的になりかねません。

抗菌薬であるペニシリンの開発はドラマ仁-JIN-でも描写されていました。

また、近年では「かぜ」の原因が細菌感染症からウイルス感染症に移り変わってきており、抗菌薬の有効性よりも、不必要な抗菌薬の使用が薬剤耐性菌を生むだけではないかと懸念けねんされています。

実は耳鼻咽喉科は抗菌薬をよく使用します。

いや、ほんとごめんなさい。

言い訳ではありませんが、その理由の1つが慢性副鼻腔炎まんせいふくびくうえん蓄膿症ちくのうしょうにおけるマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンやクラリシッド)の長期使用が挙げられます。これは抗菌薬を原因となる細菌をやっつけることを目的とした使い方ではなく、副鼻腔の環境かんきょうの改善を目的としています。使用期間は数か月に及ぶこともあります。

しかし、こういう背景があるからこそ、耳鼻咽喉科での抗菌薬使用は改めて見直す必要があります。

薬剤耐性菌について

薬剤耐性菌について、詳しい動画を以下のURLからご覧いただけます。

抗菌薬を使用せずに症状の悪化があった場合には抗菌薬を使用します。

ご理解ください。よろしくお願いいたします。

抗菌薬以外のクスリ(当院採用のもの)について

1)カルボシステイン、アンブロキソール

鼻水や喀痰を溶かし、排出はいしゅつしやすくします。

2)抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン、オロパタジン、レボセチリジン)

鼻水が出る量を減らします。アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患にも使用します。

3)アスベリン

咳止めです。呼吸中枢こきゅうちゅうすうに働きかけて咳を減らします。

4)ホクナリンテープ

咳止めです。気管支きかんしひろげます。

わからないこと、疑問に感じることがあれば診察中に是非お尋ねください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?