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鼻が悪いと中耳炎になる?ー親が気になる子どもの病気 Part.2ー

「耳を痛がる」「耳を気にしてよく触っている」…そんな時は中耳炎かもしれません。中耳炎ってなあに?どうして中耳炎になるの?今回はそんなおはなしです。

中耳(ちゅうじ)ってどこ?

下の図をご覧ください。耳の穴の奥にある鼓膜(こまく)、さらにその奥を中耳と言います。(図の赤線で区切られた範囲です。)そして、図の中の耳管(じかん)、これが中耳炎にとってのキーになります。

耳管(じかん)ってなあに?

耳管は中耳と鼻の奥で繋がっているトンネルです。この管で、呼吸をすることで中耳の空気の入れ替えも同時に行なっています。

飛行機で高い時に行った時や、トンネルに入ったときに「耳がこもる」ように感じたことはありませんか?それは中耳の中の空気の量が減ったり増えたりすることが原因で、そんな時は耳管の働きで中の空気の量を調節して元に戻します。

今回は詳しく話しませんが、疲れている時などには耳管の動きが悪くなり、なかなか耳のこもりが改善されないことがあります。

鼻と耳管の関係

耳管の働きが悪くなるときは、鼻かぜや鼻のアレルギーで鼻での呼吸が悪くなる時です。鼻でうまく呼吸ができないことで耳管での空気の入れ替えができなくなってしまい、中耳でバイキンが繁殖してしまったり、水が溜まってしまって中耳炎になります。

また、「鼻をすする」と耳管がつぶれてしまい、中耳炎の悪化の原因となるので、鼻をかむ練習をしましょう。

大きく2つある中耳炎の種類

お子さんの中耳炎には大きく2つあります。1つは痛みを伴うことの多い急性中耳炎、2つ目は「中耳に水が溜まる」滲出性中耳炎(しんしゅつせい中耳炎)です。それぞれの説明に入る前に、まずは鼓膜を見てみましょう。

正常な鼓膜

鼓膜は正常であればほぼ透明で、鼓膜の内側が透けて見えます。

急性中耳炎

痛みを伴うことが多いです。急性中耳炎になると鼓膜周囲が赤く腫れ、重症であれば発熱や、膿が溜まることもあります。

滲出性中耳炎(しんしゅつせい中耳炎)

耳の違和感、聞こえにくさが出現します。小さいお子さんですと、「耳を触る」ことで訴えかけることがあります。

滲出性中耳炎では軽症では鼓膜が凹み、重症では鼓膜の内側に水(滲出液)が溜まります。水が溜まると聴こえに影響し、言葉の発達の遅れとしてあらわれることもあります。

中耳炎の治療法

痛みが強い場合は痛み止めを使用しますが、鼻炎の治療が中心となります。鼻かぜ、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎…原因を見極めて治療をします。

「鼓膜を切る」ときは?

鼻の環境を良くすることが中耳炎の治療につながりますが、以下の2つの状況では鼓膜を切る(鼓膜切開)をすることがあります。

①急性中耳炎で膿が溜まり、痛みが強いとき
膿を中耳の外に追い出し、痛みを和らげます。

②滲出性中耳炎が長引き、聴こえや言葉の発達に影響を及ぼすと考えられるとき
水を外に追い出し、聞こえの改善を試みます。場合によってはチューブを入れることもあります。

一昔前までは、中耳炎の治療として鼓膜切開が積極的に行われていましたが、今日では主に「聴こえの改善」を目的として限られた場合に行うことがほとんどです。

また、切った鼓膜は多くの場合再生しますが、時に鼓膜に穴が空いたままになってしまうこともあります。

中耳炎が長引くとき

先述した通り、中耳炎の治療では鼻炎の治療が中心になることが多く、治る順序としては鼻→耳となります。

しかし、アレルギー性鼻炎副鼻腔炎があると鼻の治療にも時間がかかり、結果として中耳炎もなかなか治らない、ということがよくあります。

また、鼻が良くなっても、すぐに耳が良くならないこともあり、根気強く治療を続けていくことが大事です。

日常生活で気をつけることは

よほどひどくない限り、入浴や水泳などのスポーツに制限は必要ありません。鼻をすするようであれば、ご両親から子どもに声をかけて鼻をかむ練習をさせてください。

さいごに

いかがでしたか?中耳炎は子どもにとっては身近であり、聴こえにも影響する病気です。鼻も耳も見た目ではわからないことが多いですが、「よく耳をさわって気にしている」ような症状があれば早めに受診してください。

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