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マクロライド系抗菌薬(クラリシッド)について

梅雨入りの気配が漂ってきました。(この記事を書いている間に梅雨入りをしてしまいました。)いかがお過ごしでしょうか。

さて、以前の記事で抗菌薬こうきんやくの適正使用のお話をしました。

抗菌薬を最初から必要とされるケースは限られますが、状況によっては使用せざるを得ません。一方で、抗菌薬を使用することに不安を感じる親御さんも少なくないと思います。

そこで、今回は耳鼻咽喉科で長期にわたって使用されることが少なくないマクロライド系抗菌薬けいこうきんやくのお話を使用と思います。

感染症かんせんしょうと戦うのはその人の身体からだ免疫めんえきであり、多くのクスリはそれを手助けするためにあります。

抗菌薬はある意味で特殊なクスリです。感染症の原因である細菌を直接やっつけるからです。(ウイルスには効果はありません。)

しかし、抗菌薬の使い過ぎは抗菌薬が効かない耐性菌たいせいきんの発生につながってしまうため、安易な使用は避けられるべきです。では、なぜマクロライド系抗菌薬を取り上げたのか?その理由をお話ししたいと思います。

マクロライド系抗菌薬けいこうきんやくとは

今回取り上げたマクロライド系抗菌薬とはクラリスロマイシンクラリシッド(以上、当院採用薬品)などのことです。マクロライド系抗菌薬は細菌を直接やっつける以外にも、以下の別の効果を持ち合わせています。

・免疫を調整する。

・炎症をおさえる。

☆気道上皮の線毛運動を活性化、改善させる。

この働きこそ、マクロライド系抗菌薬を使用する大きな理由の1つになります。鼻かぜや副鼻腔炎ふくびくうえんの原因がウイルスであろうが、細菌であろうが、この働きを期待できます。

気道上皮きどうじょうひについて

鼻やノドから気管きかんにかけて、気道上皮きどうじょうひに覆われています。ここには線毛せんもうといわれる細かい毛が生えており、この‘’毛‘’が細菌などを含む鼻水を体の外へと運び出しているのです。

鼻やノドなどの表面には細かい‘’毛‘’が生えています。

しかし、かぜや副鼻腔炎ふくびくうえんを繰り返すことによって線毛の動きが悪くなることが、さらに治りを悪くしてしまうのです。

線毛の動きが悪いと鼻水などが溜まりやすくなりさます。

この悪くなった線毛の状態を改善させるためにもマクロライド系抗菌薬を使用するのです。

良い線毛のイメージです。

マクロライド系抗菌薬の欠点

1)粉薬がとにかく苦い!

(うちの子どもを含めて)残念ながら、飲むことを嫌がってしまう子が多いです。これはクスリの成分によるもので、製薬会社の研究開発をもってしても味の改善は困難だそうです。

2)お腹が緩くなる。

これには個人差がありますが、便がやわらかくなったり、下痢になったり、ガスが出やすくなったりします。

いかがでしたか?

抗菌薬の使用をよく思わない親御さんも多いと思います。使うべきかどうかは注意深く観察することが必要ですが、ゴールはお子さんの病状が良くなることです。不安に感じることがあれば是非診察時におたずねください。

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このネタがわかった方いらっしゃいますか?劇場版ルパンに登場するヒロイン、クラリスです。クラリスロマイシンの商品名がクラリスだったりします。え?ナウシカだったりクラリスだったり、ネタが古い??

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